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異世界残酷冒険物語  作者: モンゼツナカチョー
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2話 合議



この日は鞍馬の最終テストの合格もあり、全員食事中の酒は控え、食後にミーティングを行うこととなった。




普段、ミーティングが行われるときは、だいたい司会進行をソンヒョンが行い、議長のテツヤが方針を提案する。


それに対して稀にエリナが異を唱えることもあるが、ほとんど毎回黙殺され、テツヤの方針にグィホンとソンヒョンが肉付けしていく形になっている。


議論の苦手なマサト、チカ、ユミコはほとんど意見を述べず、また鞍馬も発言をすることは滅多にない。


ミーティングや会議とは言ったものの、発言者や流れが既に決まっているに等しく、鞍馬は出来レースにも似た予定調和の茶番劇程度にしか捉えていなかった。




今回もいつもの様にソンヒョンが議題を提示するが、今回はいつもの様な暮らしの向上のための話し合いというよりは重要なものであった。




「みんな、とりあえず今日はお疲れ様。鞍馬は今日一人でゴブリンを飼った。戦闘にしてもサバイバルにしても、仕事への参加を任せてもいいと思う。」


「確かに能力はあるけど、経験が少ないことを考えると危険な仕事や単独での行動はまだ早いと思うわ。」


指南役のエリナが口を挟む。


「それも一理あるけど、そうも言っていられない時期になってきた。みんなもわかるように、冬が近付いてきてる。恐らくあと1~2ヶ月もすれば雪も積もって仕事も少なくってくるだろうし、食材の値段もあがるだろう。それに関しては、多少の蓄えはあるが、この家で冬を越すことにはみんな不安があるんだ。」


「確かにこのボロ屋は最低だ。新しいところを探すがいいと思うぜ。」


テツヤが意見をすると、グィホンも同意する。


「そう。新しい家は、なるべく陽当たりがよくて、密閉性の高くて湿気に強い石かレンガの家にしたいね。」


「それがいい。この家にいるとしょっちゅうカビにやられちゃうからね。」


チカが同意すると、ユミコも無言で頷く。


「でもそれにはお金がかかるでしょう。どうするの?実入りのいい仕事なんて最近全然ないわよ。かといって蓄えを切り崩していく訳にもいかないじゃん。」


エリナが意見をする。難癖をつけているようにも見えるが、完全な正論ではある。


「そこで、シーロンの郊外にある移籍探索に参加したい。ギルドが主導して大規模な探索隊を派遣しようとしているんだ。」


テツヤが提案する。しかしここはテツヤの上手いところで、他に選択肢がなくなるように会議を誘導しているのだ。続いてソンヒョンが説明をする。


「参加するだけでギルドから手当てが出る上に、探索で見つけた者はギルドが全て買い取ってくれるんだ。僕が目をつけたのは、遺跡の最奥部にあると言われるアーティファクトさ。それを見つければ、下手したら賃貸どころか一等地の新築を購入できるかもしれない。」


アーティファクトとは、リージョンに点在する遺跡の奥にあると言われている、フィルアニアの文化にとってのオーパーツの様なハイテクノロジーな人工物であるらしい。そのスペック故、非常に高価な値段がつけられることで有名だが、もちろん鞍馬は影すら拝んだことがなかった。


「いいじゃねえか、とっととそいつを見つけて、豪邸を買ってやろうぜ!」


テツヤが同意する。豪邸と聞いて、気分も高揚している様。


「反対意見がないなら、僕らも遺跡探索にエントリーしたい。恐らく期間は1週間後から5~6日、全員参加で行く。」


「ちょっと待って!全員参加!?鞍馬やユミコも!?」


エリナが聞き返す。


今回の会議は荒れそうだ。




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