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異世界残酷冒険物語  作者: モンゼツナカチョー
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2話 仲間

手の震えが収まるのを待ち、装備を外し終えると、自室へ向かう。


自室にて、室内着のチュニックと室内履きの靴に履き替える。


街の外に出掛けるときの長袖の重装備や、舗装されていない道や泥の中を練り歩いてきたブーツは汗や汚れが多く、また室内で着用するには暑苦しい。


洗濯物はを所定の篭に入れると、リビングルームへ向かい、夕食の手伝いをする。


完成を待ち、ユミコ、エリナ、ソンヒョンと食事を済ませると、仕事に出掛けている他のメンバーの帰還に備えて、彼らの食事の下拵えや酒の用意をする。




食事は外に仕事に出掛けている組と鞍馬たちでは食べる時間と作る量こそ違うものの内容は一緒である。


だいたいはパン、スープ、芋等になるが、味付けが現代人向けの濃いめで、フィルアニアで食べる料理と比べると野菜が多く、多少の栄養バランスの均衡が考えられている。


食後、消灯前の酒も節度を守れる範囲では自由に許されていて、鞍馬はこと食事に関しては非常に満足していた。


しかし問題は湿気である。


フィルアニアは多湿であり、霧の発生も多く、密閉性の低い建築技術や陽の当たらない立地も原因となり、洗濯物もろくに乾かないどころか傷んだ床板や壁、収納スペースに発生したカビの胞子で非常に体調を崩しやすい。


一ヶ月も劣悪な環境の牢に監禁されていた鞍馬は何か免疫がついているのか病気にならないものの、その他のメンバーに関しては、普段生活する相部屋の寝室から隔離された病人用の部屋には常に誰か寝込んでいる様な状況であった。




食事を終え、片付け、帰還前のメンバーの食事の下拵え、武器や防具の手入れが終わる頃にはようやく仕事に出掛けていたメンバーが帰宅した。


帰宅したメンバーは四人、


リーダー格のテツヤは長身で体つきのいい坊主で、人相が悪く、コミュニティの創始者であるために態度は大きいものの、危険な役割は進んで受け入れ、頼り甲斐もあり、悪い人物ではないというのが鞍馬のテツヤ評ではあるが、熱血漢ぶりが鼻につき、若干苦手としているのも確かである。


次いで帰ってきたのはグィホン。細身に長髪でチャラ男然としているが、性格は気のいいお調子者で、コミュニティ内でのムードメーカーであり、ユミコと交際している。彼は多少病弱なきらいがあり、寝込むことの多いので、感染のリスクや世話の面倒くささから鞍馬にとっては煩わしい存在ではあった。




もう一人はマサト、地球にいたころはアメリカンフットボールの学生選手であったらしく大柄で、筋骨隆々としている肉体に、短髪に無精髭、潰れた耳。寡黙で嫌らしさ等はないが、鞍馬は彼の体臭が苦手で、敬遠している節がある。




最後に帰ってきたのがチカ。小柄で見た目は派手であるが、戦闘時のサポートや戦闘能力そのものも優秀であるという。茶色の髪に、目鼻立ちの整った美人ではあるが、鞍馬は彼女の高慢な態度に辟易していた。




彼ら四人が命懸けで稼いだ金銭で、鞍馬は二週間の間訓練をするのみでほぼ無収入のままただ飯喰らいの身の上であったため、多少の申し訳のなさと気まずさを抱え、彼ら四人にもまた、自分たちが稼いだ金で鞍馬をはじめとする四人に生活させているというプライドがあるため、傲慢さがあった。




食事中はまさに鯨飲馬食、大声で騒ぎながら会話し、日常生活においても後片付けや自身の武具の研磨等些細なことでも非戦闘員に押し付けるため、鞍馬はもちろん口には出さないものの気にくわないと感じていた。




鞍馬以外のエリナ達四人はどう感じているかは別として、鞍馬個人としては二週間も共同生活が続いているため前述の様に、主に仕事組のメンバーには多少のストレスを抱えていた。



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