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昨日一昨日と、クリスマスなので更新を怠ってしまいました。(シヴ6に熱中していた。)
冒険者ギルドの手続きは単純そのものだった。そもそもこの世界の住人の識字率は極めて低いのだろうか、必要な記入欄は全て受付のフィルアニア人男性が代筆してくれた。
その後、ギルドのルール、といっても荒くれ者の集まり故、あってないような最低限のものであったが、を説明され、他に重要なものは、報酬受付は常に利用でき、盗品でなければ大抵のものの売買が可能であること、ギルドへのアドミッションフィー銀貨二枚が支払われるまでは見習い同然であり、請け負える仕事が大きく制限されること、仕事を請け負う際に決まりごとがあること、請け負った仕事を遂行できなかった際には請け負った仕事に応じて罰則が課せられることがある、などであった。
説明を聞き流し終えた鞍馬は、すぐさま隣接する酒場へ行き、全てを忘れるように鯨飲馬食に走った。食事を終え、酒場の卓にて一息ついていると、突然後ろから声をかけられた。
「その格好、あなた地球人?」
振り返るとそこに、鞍馬と同じくブラックアイと思しき東洋人女性がいた。
黒いショートヘアに切れ長の目に黒い瞳、フィルアニア人と人種が違うことは一目でわかるものの、服格好は革の軽鎧、腰にはショートソードを差し、如何にもフィルアニアの冒険者然としていた。
「そうだ。鞍馬って言って、さっきここに来て冒険者の登録をした。君もブラックアイなの?」
鞍馬が辿々しく聞き返す。
「そうよ、私はエリナ、冒険者になったのなら、私も所属しているギルド内での地球人の集まりに入らない?地球人はこの街にも私を含めて何人かいるんだけど、フィルアニアの冒険者は非道く荒っぽくて、集まってお互いに守りあってるの。」
ブラックアイのコミュニティと聞いて、鞍馬の頭にはセーラ達が浮かんだ。
「その誘いは嬉しいんだけど、ちょっと今はその気になれないんだ。ごめん……。」
「そう……、みんなフィルアニアに来てから、非道い目に合ってる。詮索はしないけど、話してくれるから私達は聞くし、気が変わったら来て欲しい……。」
自分は酷い目に合ったのか非道い事をしたのか、こちら側から見るかあちら側から見るか、大きな違いはないと悟った。
「わかったよ……でも今は暫く一人にして欲しい……。今日は誘ってくれてありがとう。」
鞍馬は立ち上がると、何かを言いかけているエリナの脇を通り、ギルドの受付に宿泊施設の説明を訪ねに行った。