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異世界残酷冒険物語  作者: モンゼツナカチョー
12/42

0話 裏切


それから房内には明るい会話が戻り、故郷の事や今後の事、鞍馬は大いに会話を楽しんだ。同時に、偶然居合わせたこの四人に対し、強い親近感や愛着を感じるようになった。


次の日の日中はデイビー看守は外出し、その間を脱獄に充てることができた。鞍馬との騒動以降、反省した素振りで作業を一手に引き受けていたチュークが言うには、鉄格子は裏面もほとんど錆びてきて、後ほんの少しで壊れそうだという。

ただ、決行時刻が夜間というが、時計もなく、太陽の高さからだいたいの時間を判断することしかできないため、詳細な時刻を決めるために携帯電話を使おうと鞍馬は提案するも、チュークに軽く流されてしまった。一世一代の脱獄であるからして、もっと綿密に計画を話し合う必要があると確信している鞍馬は、明日提案しようと思った。


そしてその夜、鞍馬が布団にくるまって寝ていると、鉄格子を削る作業中のチュークに起こされた。夜も更けて、他のみんなは寝静まっている。


チュークが、決行は明日の夜になるからエネルギーを残すためにもよく寝ておけと言っていたからか。チュークは年齢が一番上で、フィルアニア人であるから当然この世界の事もよく知っているし、何かと頼りになる一面がある。と鞍馬は評価している。


「おまえさんたち、昼間は何の話をしていたんだ?」


恐らく、先ほど話していた自分の住んでいる街の話だろう、セーラは最寄り駅にあるパン屋でベーグルを買うのが好きだと話したなあ、そんな事を思い出しながら、鞍馬は何の気もなしに明かした。


「さっきは故郷の話をしてただけさ。そんなことが気になってたのか?俺たち四人が故郷に帰ったら寂しくなっちゃうな。」


鞍馬のからかいに反応せず、ただただ安心している様子でこう答えた。


「そうか、ならいいんだ……。」


「おい看守さんよお、ちょっと来てくれ。」


チュークは房から出した手を振って静かにベイル看守を呼ぶ。


チュークは看守の見回りのシフトを把握していた。鞍馬が夜間に作業をしている時も、突然制止したと思ったらすぐに見回りが来た。なんてことも何度かあった。今回は何故か深夜当番のベイルではなく、デイビー看守が来た。


「こんな夜中になんだトラスティ、大した用事じゃなかったらただじゃ済まさねえからな。」


「看守さんよお、この小僧が夜中にこそこそしてると思ったらこれだよ、中に入ってきて奥の鉄格子を見てくれ。」



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