最終話
私が触った書類の中に、保険会社から届いた封筒があった。そこには、村岡と書いてあった。
ずっと自分が岡村だと思ってた。次郎くんが村岡とずっと言っていたのも正しかったわけだ。ということは!
やっぱり。表札も村岡だ。なんで岡村だと思ってたんだろう。まあ、そんなことより、次郎くんの話を聞かねば。
ーーー5時間後ーーー
いろいろ聞いた。あの日のことも、その後のことも全部聞いた。いやあ驚いた。そもそも、隣の主人が包丁で目玉をくり抜いてから殺すと言っていたのに、全然違ったのだ。
次郎くんの話によると、あの日主人は夜ご飯に睡眠薬を混ぜ、家族全員を眠らせたあと全員をロープで縛り、口にはガムテープを貼って、その状態の家族を浴槽に放り込み、その後自分も入って、実の息子達と妻の手首を切りつけ、そこから勢いよく出る血液で浴槽を満たそうとしたらしい。
そして全員の血で浴槽が満たされたあと、主人の心も満たされたらしく、自分の手首も切って自殺したらしい。
しかし、次郎くんだけがギリギリ救助され、施設で暮らすことになった。
それから次郎くんは、なぜ父親は心中を図ったのか、なぜあんな殺し方をしようと思ったのか、など、いろいろ考えていた。
そして今、新たな疑問が生まれた。なぜ主人が私に嘘の殺し方を言いに来たのかだ。
何の意味があるのだろう。本当に意味が分からない。次郎くんも分からないと言っている。だからこそ、ここに来たのだ、と。
次郎くんは血液からその記憶を持つクローンを作る実験に成功しているようで、父親のクローンを作ろうとしているらしい。だから父親の血液を採取するために戻ってきたのだと。
しかし、血液はもう無かったそうだ。普通に考えれば分かることだろう。次郎くんは頭が良いのか悪いのか、分からないな。50年も経ってるんだぞ。もう迷宮入りだろう。
残念そうに次郎くんはアメリカに帰っていった。
ありがとうございました




