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こんな状況認めらっるか!!

ちょっと変えました。

息が切れるまで一心不乱に走り後ろを振り向くと、そこには何もなかった。

ただ、黒い闇が広がっていただけだ。


「もしかして間違えて地獄に落ちちゃったのか。」


冗談は止めようよ。間違えて地獄に落とされるとか笑えないよ。




「黒、黒、どうしたの。」


僕はリリスに起こされていた。ここはどこなんだ。そしてさっきの悪夢はなんだんだ。


「いきなり黒が寝ちゃうからびっくりしたんだよ。」


・・・・・・こいつ、もしかして僕のことを強制的に活動不能にしたのが自分だってことにもしかして気付いていないのかよ。さすが世間知らずだな。ここは僕が気付かせてやらないと。


「・・・・・・・・・・・・。」


え、ええぇぇ、料理に対して注意をしようと思ったのに、口が動かないだと。

しかし目の前にはあの、黒眼鍋がいらっしゃる。


「・・・・・・・・・・・・。」


あぁ、もうどうしよう。解決策が見つからない。もういっそのことこの料理を窓から投げ捨てるか。

でもそんなことをしてしまったら、目の前にいるこの目をキラキラさせておいしいと言ってもらいたそうな顔をしているリリスが泣いてしまうかもしれない。

泣かれると困るのは僕だ。もしかしたらここに置いてもらえなくなるかもしれない。


「どうしよう。」

「もしかして不味いの。」


そんなに落胆したような声を出さないでくれ。俺は今生きるか死ぬかでとても迷っているんだ。


「いや、」

「ならどうしたのだ。魔女の伝統料理は口に合わなかったの。」


地獄の一歩手前に連れて行かれました、なんてことは言えない。多分言ったとしても笑われるだけだろう。しかし地獄の一歩手前があんなに恐ろしいとこだったとわ。

そんな地獄に僕のことを料理だけで連れ行ったリリスの料理は危険物だな。

どうにかして食べるのを避ける方法を考えないと。


「僕、実は料理得意なんだ。作ってやるから食わないか。」

「じゃあ、お昼ご飯に作ってほしいのだ。」


うわぁーーーーーーーーん。無理だもうこれはどこにも逃げ道がないよ。

もうこうなったら最終手段として、この料理を遠くに投げ飛ばすしかないのか。


「もしかして食べたくないのか。」

「リリスは全然口を付けていないみたいなんだけどもいいの。」

「あ、私の分を取るの忘れてたのだ。」

「なら、どうぞ。」


僕は急いでスプーンに具材を乗っけてリリスの口の中に入れた。

・・・・・・ごめん。少し自分の料理の腕を自覚してくれ。文句ならいくらでも受け付けるから。

罪悪感に襲われて下を見ていると。


「黒、食べさせてくれてありがとうなのだ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・えっ。」


何を言っているんだこの子わ。もしかして魔女はあの悪夢を見ないのかよ。

もー疲れた。この危険物を早く撤去してから変身してここら辺にある木の実とか探そう。


「鴉。」


いつも通りならばこれだけでもう鴉になっているはずなのだが、一向に目線が変わらない。

もしかしてと思って頭に手を当ててみると、頭の上にフードがなかった。

いつも深く被っているはずなのになんでなんだ。


「フードを脱がしたのか。」

「顔が見えなかったから見えるようにしてあげたの。でもその首輪は黒には似合わない気がするのだ。」



僕は急いでフードを深く被りもう一度だけ鴉と呟いて、鴉の姿になり窓から飛んだ。

最悪だ。油断した。この目を見られたからにはもうあの魔女の元には行けないだろう。


「忌々しい。」


まったくをもって忌々しい限りだ。この黒目は魔道書の伝説を知っている者の心を狂わせる。

いっそのことこの目を抉ってしまえばいいのだろうが、僕はまだ視界を失いたくはない。


「どうして逃げるの。」

「どうして、追いかけて来るんだ。」

「それは黒が逃げるからに決まっているのだ。」


そこで僕はやっと冷静になった。

リリスはもしかして魔道書の伝説を知らないのか。かの有名な魔道書の伝説を。

しかしそれでもこのフードは外すことができない。


「僕の目を見てなんとも思わないのか。」

「きれいな黒い目なのだな。」

「い、今なんて言った。」


ななななななななななななななななーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なんてことを言ってくれるんだよ、この魔女は。

そして、もう一回言わせるなんてどういう神経しているんだよ、僕は


「きれいな目なのだな。」


さっきよりも大きな声で言われて全身の体温が一気に上がったのが分かった。

や、ヤバい嬉しくて、嬉しくてたまらない。


「黒、早く羽を動かしすのだ。」

「ギヤややゃゃゃゃゃゃ、し、死ぬ。」


嬉し過ぎて羽を動かすのを忘れてしまった。なんて無様な失態。

このまま死んだら絶対あの地獄の番人に一生笑われることだろう。それだけは絶対に嫌だ。


「ふぅ。」


意地と根性でなんとか体勢を戻して木に止まった。


「し、死ぬかと思た――。」

「黒、大丈夫。」


いやーーー、なんで一日でこんなに死にそうな目になっているんだろな。

もしかして神様のいたずらなんですか。そうなんですか。


「黒はすごいね。あんなに高く飛べるんだ。」

「ところでリリス。ほうきはどうしたんだ。」


するとリリスは一瞬だけ顔をものすごく怖くしてから、ものすごくにっこりと笑った。


「降りておいで。」


いや、なんかものすごく悪い予感しかしないんでこのままでも良いでしょうか。



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