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こんな料理は嫌だ!!

僕が目を覚ますとそこは小さなベッドだった。


「僕は確か森に居たはずなのだが。」


不思議なこともあるものだ。もしかしてリリスがここまで運んでくれたのか。

もしそうなら、めちゃくちゃ喜ばなくちゃいけないな。


「私が運んでやったのだ。」

「ところでお腹が減ったんだけど。」


ここまで運んでくれたような優しい方ならご飯もくれるよね。


「図々し過ぎるは、お前がベッドを占領している間、私は床で寝ていたのだ。少しぐらい感謝するのだ。」

「いやーー、ご飯を食べ終わたら言おうと思っていたんだけれども。」

「感謝するタイミングが遅すぎるのだ。」


だっておいしそうな匂いがリリスからするんだもん。そんなおいしそうな匂いをふりまかれたんじゃ自然とお腹が空いてきてしまう。


「リリスはお腹空いていないのか。」

「もう少しで起きると思って丁度作ったところなのだ。料理の腕には少しだけ自信があるから期待して待っていると良いのだ。」


おぉ、リリスが照れた。魔女も顔を赤くして照れることがあるんだな。

まぁ、僕みたいな特殊な家の出だって一応人間らしく生きているからな。当然と言われれば当然か。


「今日の朝食は久しぶりに来た客人を祝うために、黒眼鍋なのだ。」

「黒眼鍋ってなんだ。そんなに気を遣わなくても普通でいいぞ。」

「せっかくのお祝いなんだから豪華なものにしないといけないのだ。」


ドアが開かれるとふんわりと良い香りが強くなった。

しかし黒眼鍋。聞いたこともないような料理だな。祝いとか言っていたし、もしかして魔女の伝統料理なのか。


「黒、食べるのだ。」

「なんなんだよそれは。」

「黒眼鍋だよ。」


それはさっき聞いたから分かる。だけどもこっちにだって理解ができない料理を出されたら反応に困るって。


「黒、変な顔してるのだ。」

「そんなことはどうでもいい。」


今は僕が変な顔をしていることなんてどうでもいいことだろう。むしろこの目の前にあるプルンとした眼球だらけの鍋をどうにかしてくれ。まずこれは食えるのか。


「おいしいのだ。」

「見た目がグロすぎないか。」

「見た目と味は関係ないから気にせず食べていいのだ。」


うぅ、確かに。匂いはとても美味しそうなのだ。もしかしたら味はとても美味しいのかもしれない。

が、見た目がひどすぎる。鍋いっぱいに埋まった眼球がギョロリとこちらを見ている。


「えい。」


黒眼鍋をじっと見ていると、口の中に眼球が放り込まれていた。


「んんん、」


目の前が勢いよく反転して視界が黒くなった。

なんだなんだ、あれ、なんかこことても綺麗なところだな。ここはどこなんだ。

白い花が沢山咲き乱れていて、風も穏やかだ。心が落ち着く。

後ろを見てみると白い骸骨がこっちに迫っていた。すごい勢いだ。

穏やかな風景には不釣り合いな風景だ。思わず見なかったことにしてまた前を見ると、目の前にも白い骸骨が迫ってきていた。


「ちょっと待て。」


僕の心の安らぎを返せよ。ってかなんで白い骸骨に俺は追われているんだ。

あとここはどこなんだよ。もしかして僕はリリスに嵌められたのか。


「前も後ろも骸骨だらけ。・・・・・もしかしてここは地獄なのか。」

「いや、正確には地獄の一歩手前だよ。」

「んなことはどうでもいい。」


空からのんびりととても間の抜けた声がした。


「そうですか、あ、私は地獄の番人やってます。気軽にバンバンって呼んでくださいね。」


知るかよそんなこと。ってかバンバンって呼びにくいわ。てか、この状況で冷静に会話ができるのならあの骸骨のことを話してくれ。骸骨に追われるような体験はないんだ。


「あの骸骨は僕になんか恨みでもあるのか。」

「多分ないですよ。」

「じゃあなんで追いかけてくるんだ。」

「鬼ごっこをしたいからでしょうか。」


絶対に適当に言っただろう。

この状況で鬼ごっことか本気で笑えないよ。もしかして捕まったら死ぬのか。あの骸骨に食われて死ぬのか。


「だったら、鬼ごっこらしくするために、この包囲網を破ってくれないか。」

「うーん、でもなー。」

「このまま僕が捕まっても見ているお前は楽しくないだろ。」

「仕方がないな。地獄の一歩手前まで来たお客さんにサービスしてあげます。」


よし、道が開いたらすぐに突っ込んで行こう。そしたらそのまま走って逃げよう。

声の主がどんな姿をしているのかもわからないが、僕は早くここから逃げてまともなご飯を食べたい。


「でもリリスのことは怒っちゃだめだよ。リリスには悪気がないんだから。」


なおのこと悪いわ。僕はこんなホラー現象を体験しているんだぞ。

それを悪気がないで解決して良いのか。


「それにちょこっとだけ、地獄の一歩手前まで来ただけじゃん。」

「それがちょっことで済むのかよ。」


むしろ怒られるべきだろう。あんな料理は即刻辞めさせるべきだ。

これから一緒の住む者として身の危険を感じてしまう。


「怒らないと何も改善されないと思うけど。」

「約束してくれないのなら、道を作るの止めちゃおうかなあ。」


それってほとんど脅しじゃないですか。拒否をしたら僕、死んじゃうじゃないですか。


「あぁもう仕方がないな。約束するよ。」

「初めからそう言えばいいのに。じゃあ、行くよ。1、2、3、ハイ。」


ええぇ、ちょっといきなりすぎないかい。

何もない空から突然雷が走って骸骨たちも群れに大きな道を作った。

その一瞬の光景にしばし見とれていたが、骸骨がどこからともなく現れるのを見て走った。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

これからも狂犬は微力ながらがんばっていくのでよろしくお願いいたします。

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