夏が終わったので
夏が終わった。
夏が終わるのは、さみしい。
どうしてさみしい?
わからない。
夏が終わった。
夏が終わるのは、嬉しい。
どうして嬉しい?
わからない。
夏が終わった。
夏が終わるのは、誇らしい。
どうして誇らしい?
わからない。
僕は夏に希望を抱くのだ。
突き刺す太陽に降り注ぐ笑顔。はじける青春の香り。
だから、夏が終わるのが悲しい。
ああ、まだまだ楽しみたい、だからそんなに早くすぎないで、と、さみしく感じるのだ。
僕は夏に苦手を感じるのだ。
降り注ぐ紫外線にしかめる眉。焼けたアスファルトの臭い。
だから、夏が終わるのが楽しい。
ああ、暑くなくなる涼しくなるぞと、嬉しく感じるのだ。
僕は夏に努力をしたのだ。
放射熱で歪むアスファルトの上を、ひたすら走り続けたのだ。
だから、夏が終わるとやりきった充足感に浸る。
ああ、自分はこの夏走り込んだのだから、きっと体力がついたに違いない、と誇らしく感じるのだ。
夏。
青春。
熱い。
陸上。
僕の夏は終わった。