朝宮瑠美と僕〜すれ違う心〜
ヤンデレな短編です。主人公である透視点のお話です。…朝宮さん視点も書くかも…しれません。
読みづらいかもしれませんがすみません…
朝宮瑠美と僕〜すれ違う心〜
俺が目覚めた時
彼女は俺の目の前に立っていた
彼女の服はところどころ擦り切れていてまるで茨に飛び込んだようで肌には無数の傷がついていた
声をかけようとした
が彼女の持つものが見えて言葉を失った
だんだんと近づいてくる彼女の体をよく見ると赤い何かが付着していた
その手に握るものを見たから何かが何なのかわかってしまった
彼女はどうようする僕に気づいているのか違うのか近づいてきて
顔がくっつきそうな距離で言った
「あなたは私が守るから」
彼女は赤い何かがしたたる鈍器を腕を振り上げ
「永遠に愛してる」
振り下ろした
「っ!!!」
また夢を見た
いつものあの夢だ
僕はどこかに閉じ込められ身動きがとれなくてそこに彼女がやってくる
彼女は手に血がついたパールを持っていて最後にそれで僕を殺す
そんな夢だ
けどその夢に出てくる彼女はいつも悲しそうで幸せそうな顔をしてる
(わけわかんないな)
わからなくて気になる
いつも気になってしまう
特に夢を見たすぐ後だと
いつもは気にしても夢のことだと割り切って終わるその時間が今日は違かった
学校に着いても頭にこびりつくように残っていた
(あの人、いつも笑ってるんだよな)
僕を殺す時の彼女の表情は微かに微笑んでいるように見えていた
その表情の中にいろんな気持ちが含まれているような笑み
その表情が頭に残っていた
それが原因だとは今も断定できないがそうだと僕は思う
この時頭に残った表情は朝宮瑠美が現れる予兆だったのでは、と
いつものように朝のHRが始まる
自称21歳独身花山優希先生が教室に入ってきて挨拶する
いつもはその後に出席の確認をするのだが今日は違かった
「転校生の紹介をします。みなさん仲良くしてくださいね。では、入ってきてください」
静かに扉を開いて入ってきたのは黒い綺麗な長髪をもった…まるで
(夢に出てくる人!?)
目を疑った
もう少しで言葉に出してしまうところだったが一旦落ち着く
そんなはずが無い
ただの偶然だ
そう言い聞かせてるところに転校生の自己紹介が始まった
「朝宮瑠美です。私の愛する人を追いかけてここまで来ました。よろしくお願いします。」
ざわめく教室
予想外の自己紹介に少し驚いた様子の先生だったがすぐに場をしずめようとした
先生が指した座席は窓側の1番後ろ、僕の隣だった
(だから空いてたのか)
なんてのんきに考えていたら彼女は僕の目の前にいた
「え、せ、席隣だね…よ、よろしく」
まじかで見るとその美しさがよりわかった
(というかさっきは動揺していて全然考えられなかったんだけど)
その美しさを確かめるのは中断された
「ずっとずっと会いたかった!」
涙目の彼女は僕に言ったんだ
「私が、私が守るから!」
僕を抱きしめて
「ずっと側にいて……」
愛する人は僕だと
転校生と言えばお約束なのは質問タイム
しかしそんな時間は無かった
彼女、朝宮瑠美は休み時間でなくても僕に話しかけたりしてくる
隙がなくても僕のことを愛していると言ってくれる
けど僕は朝宮さんのことを何も知らない
(ただ、夢の彼女に似てるんだよな)
夢の彼女は朝宮さんなのか
それはわからないし聞くこともできない
僕の夢に出てた?なんて聞いたら笑いものだ
「お弁当作って来たから一緒に食べよう」
「う、うん」
けど、こんな関係が続いて言いとも思わない
朝宮さんに聞いて見ることにした
なんで僕を愛していると言うのか
僕には財産も人望も何も無い
近づいて得をすることなんて無い
だとしたら彼女は本気で僕を愛していることになる
それを確かめる
「話ってなに?」
「…朝宮さんは」
「あ、まだ名前で呼んでくれないんだ」
「え?」
「名前で呼んでよ…私だってあなたのこと名前で呼んでいるでしょ?」
「ん、でも」
「早く呼んでよ」
「…瑠美」
「なあに、透?」
「…ぁ」
僕の名前を読んだ彼女の微笑みを見て
この人になら騙されてもいいかも、なんて思ってしまった
結局真意は聞けなかった
あの笑みを見せられたら聞くに聞けなくなった
けど、聞かなくてもいいのではないかとも思う
騙されてたとしたら仕方ない
それであんな可愛い子と付き合えるなら大歓迎
「おい、透!」
ある日の放課後、クラスメイトの風成輝彦が声をかけて来た
「今帰りだよな?ちょっと話あんだけど」
「えっと…瑠美、いいかな?」
「…廊下にいるわ」
「ありがとう」
瑠美には席を外してもらった
そうした方が良さげだから
「朝宮さんが来てから付き合い悪くなったよな、お前」
「ご、ごめん」
「別に気にしてねぇよ。けどさ、気になんじゃん…お前、あいつと付き合ってんの?」
「…」
いつかは聞かれると思ってた
瑠美にあまり近寄れない、近寄り難いと感じてるクラスメイトがほとんどで聞かれなかったが
友達はそれでも気にしてくれるものなんだな
「そんなんじゃないよ…ただの友達」
「友達が愛してるなんか言うか?ごまかすなよ…別に言いたくなきゃ無理して聞かねぇけど」
気にしてくれてるのはありがたいけど
僕にも彼女がどう言う存在なのかがわかってないから
答えられない
「ごめん」
「まあ、いいよ。けどこれだけは覚えとけよ。何かあったら俺を頼れ…あんま信じちゃいねぇけど…どうしても感じるんだよ。なんか嫌な予感がするってな」
輝彦はお父さんが住職でその影響なのか勘がするどい
「んじゃまたな」
「…ありがとう、またね」
唯一の親友に感謝して瑠美の元へ向かう
そして瑠美と一緒に帰るんだ
あっという間に時は過ぎて
高校で初めてのの冬休みがやってきた
瑠美が転校してきたのは2学期だから一緒にすごす長期休みは初めて
「毎日あなたの側にいるから」
彼女は1学期最後の日にそう言っていた
その言葉どおり彼女は毎日うちへ来ている
親も僕の彼女だと認識したらしく(
少し嬉しいけど)瑠美を受け入れていた
そして今日はクリスマスイブの日
瑠美と一緒に出かけることになっている
…デートなんだろうな
人生初のことだから緊張している
ー♪ー
ケータイが鳴った
確認するとクラスメイトの女子からのメールだった
『急にメールごめんね。話したいことがあるの…本当に急だから、来れなかったら来なくていいから…来れたら…来て欲しいな。待ってます』
こんな感じの文(あと待ち合わせ場所)
確か瑠美との待ち合わせは夕方(女の子にはいろいろと準備があるらしい)だから午前中の今からなら問題ないだろう
「わかった。今から行くよ…っと」
メールを送信してからすぐに家を出る
準備はもうすでにしてあったし
「…あ、透くん!本当に来てくれたんだ!」
待ち合わせ場所に行くとすでにメールの送り主、渡瀬綾子がいた
髪型はあまり詳しくないんだけど、僕でもわかるポニーテールと言うやつだ
だから彼女のことは印象によく残ってる
「午前中は予定なかったから…で、話したいことって?」
「あ…えっと、もうそろそろお昼だから、一緒に食事してからにしていいかな?」
「うん、別にかまわないよ」
2人で近くの洋食屋へ入った
「透くんはこのあと朝宮さんと…デートなの?」
「っ!!」
吹き出しそうになった
食事をしながら会話をしていたら急にそんな質問をされた
「いや、付き合ってないよ…瑠美と僕は」
「え!だって…朝宮さんは…あ、愛してるって」
「僕は瑠美のこと全く知らなかったから…流れで一緒にいるけど」
そう
瑠美が付きまとうから僕も合わせてる
僕と彼女の関係はそんな感じだ
「…付き合ってないんだ」
「うん」
僕が彼女を好きであろうと無かろうと
きっと
きっと彼女はいつものように付きまとうのだろう
それを嫌だとは絶対に思わないけど
何で?という疑問はやはり消えない
「それじゃあ、どこで話する?」
「…学校の屋上かな」
冬休みだからもちろん学校にひと気は無い
ヘアピンでカチャカチャやれば開く屋上の扉
もう変えた方がいいと思うが今はありがたい
「ごめんね、わざわざ付き合わせちゃって」
渡瀬さんが申し訳なさそうに笑う
「いいよ、気にしてないし」
「そっか、ありがとう」
渡瀬さんはフェンスの方へ振り向き僕に背を向けた
「早速言いたかったこと…言うね」
ーキィーーカシャンー
渡瀬さんがフェンスに手を掛けた
ところどころへこんだフェンスが嫌な音を鳴らす
「私…透くんのことが」
そう、振り向いた時
ドンッ
「え?」
ガシャァァァァァァン
フェンスと共に渡瀬さんは屋上から落ちた
いや、違う
落とされた
「…な、何…してるの?…瑠美」
僕の前にいるのは瑠美だった
なんでここに
どうして渡瀬さんを
聞きたいことはたくさんあった
けど瑠美は笑顔で振り向いた
「なんで渡瀬さんと一緒に出かけてたの?」
その様子からは今人を殺したとは思えなくて
「今日は私と出かける約束だったよね?」
これは夢なのではないかと疑ってしまって
「…瑠美が…渡瀬さんを…殺したのか?」
「うん。多分生きてないと思うわ」
即答
現実が僕を襲う
めまいがする
吐き気がする
頭が真っ白になる
「ぁぁ……」
そんな僕を渡瀬さんを殺した犯人は
「私と一緒にいればいいんだから…私があなたを守るから…ずっと…」
優しく抱きしめた
クリスマス
僕は瑠美と昨日できなかったデートをしていた
昨日僕は急に意識を失った
目覚めたらそこは自分の家で側に瑠美がいた
なぜだかわからないけど午後からの記憶が無くて思い出せなかった
ただ思い出せることが1つだけあった
瑠美が俺を抱きしめてくれていたこと
それが意味してるのはきっと…そういうことなのだろう
だから今日のお出かけのことはデートということにしておく
ちなみに、思い出せ無い記憶について瑠美は詳しく教えてくれなかった
恥ずかしいというのもあったのだろう(瑠美が恥ずかしがる姿はあまり見ないけど)
夜景が綺麗になって来た頃
あまり人がいないけど絶景が見れるという場所に来た
「…瑠美が来てからもう4ヶ月くらい立つんだね」
「うん…あなたに会えて本当に良かったわ」
もしかしたら昨日既に終えたことかもしれないことをしようと思う
これが僕の決めた答え
「僕は瑠美が好きです」
その言葉に彼女はいつもの笑顔で即答した
「知ってるわ」
「…え?」
心の底からのえだった
「あなたと私は相思相愛。それはずっと前から決まっていることなの。…だから、もう離れないからね」
「…うん」
そして、ゆっくりと唇を合わせた
初詣やらいろいろとあったけどもう3学期
久しぶりに制服に着替え瑠美と学校へ行く
…手を繋いで
学校に着いてまず驚いたことが一つ
クラスメイトが亡くなったらしい
亡くなったのは渡瀬綾子さんで、真面目でいつも明るい子だった
僕もよく話してた相手で、ショックは大きかった
僕の気持ちを察したのか瑠美が手を強く握ってくれて…少し心が救われた気がした
「透…なんか朝宮とあったのか?」
放課後、輝彦が話しかけて来た
瑠美には廊下で待ってもらう
「…はずかしながら自分の気持ちに気づきまして」
「…付き合うことにしたってことか」
輝彦は苦い顔をしていた
なんだろうか
「嫌だって言われるのはわかってるが、一応お前のためだから言っとく」
「何?」
「朝宮と別れろ」
「…は?」
せっかく付き合うことになったのに別れろ?
どういうつもりなんだ?
「朝宮はダメだ、うまく説明はできないが嫌な予感が強まってんだよ」
「嫌だよ、僕は瑠美が好きなんだ」
「…っ。こうなる前に言っときたかったんだけどな。お前になんでか電話繋がらなかったんだよ…くそっ」
輝彦はイラついてるのか頭をかきむしって言った
「俺はお前のことを唯一の親友だと思ってる。だから俺はお前の幸せを願ってるんだ。嫌がらせでこんなこと言ってんじゃねぇんだ。…それだけわかって欲しい」
唯一の親友
僕もそう思っているよ
「わかった…けど、瑠美とは別れない」
「透!」
「瑠美と付き合うことで不幸になるなら、そのくらい乗り越えてみせるよ。ありがとう、輝彦」
瑠美が待っている
駆け足で教室を出た
ある日の放課後
「あれ、誰か瑠美どこに行ったか知らない?」
瑠美がすぐに何処かへ行ってしまった
「あーさっき風成と屋上とか言ってた気がする」
「ありがとう。行ってみる」
駆け足で屋上へ向かう
「あ!瑠美ここにいたんだね」
やっぱり屋上にいた
けど、瑠美一人しかいない
「輝彦も一緒に来たんじゃないの?」
何かあったのかフェンスは布で囲われていて景色を見ることができない封鎖された屋上
瑠美は振り向かず黙っている
「ねぇ、瑠美?」
「風成くんならそこにいるよ」
瑠美が指差した方を見る
丁度瑠美の体に隠れて死角になっていたので瑠美の隣へ移動した
「っ!!ぉえぇぇぇ!!」
吐いてしまった
そこに輝彦はいた
いや、輝彦だったものがいた
「…瑠美…こ、これ…ど、うしたの?」
瑠美の顔を見ようと向いた
その顔は笑っていた
「透と別れろって言うから殺しただけよ?」
その笑顔は見たことがある
それも
ここで
クリスマスイブの日に
全てを思い出した
「っあ…ああ…る、瑠美…君は」
何者なんだ?
「これで私たちの邪魔をする人はいなくなったわ。…帰りましょう?あなた」
何もわからない
わからないけど
『嫌な予感がする』
『朝宮はダメだ』
『多分生きてないと思う』
『殺しただけよ?』
僕は
「透?」
僕は
「早く帰りましょう?」
「近づくなっ!!」
朝宮瑠美を信用してはならないんだ
「とお…る?」
「お前は!2人も人を殺したのに
、平然としてる!おかしいだろ!人を殺したんだぞ!」
「それは私たちの邪魔をするから仕方なかったのよ」
「仕方ないで人を殺して言い訳ないだろ!そんなの人じゃない!」
「…嫌よ…言わないで透」
「そんなの化け物だ!」
全てを言い切った
渡瀬さんの思い
輝彦の思い
それを無駄にしたやつに
「…それでも私は透を愛してる。愛してる限り…私たちは相思相愛でしょう?」
そうだと確信した笑顔で聞いてくる朝宮瑠美
それはもう決まっていると言いたいように
でも僕はそれを
「僕は君のことを愛していない」
否定する
「嫌いだ」
「嘘よ…嘘嘘嘘嘘嘘ウソウソウソウソウソウソ…」
壊れたように呟く朝宮瑠美
「…そう…わかったわ」
呟きが終わると何か吹っ切れたようにこちらへ歩いてくる
「どこかですれ違っちゃったのね。うん、けど大丈夫」
そしてあの笑顔で僕の前へ立ち
「やり直しましょう。一緒に」
僕の胸を刃物が貫通した
「…っぁ!!!」
熱い痛い熱い痛い
刺された
おそらく輝彦のこともこれで殺したんだろう
見落としていた
「私と一緒に生まれ変わりましょう。新しい人生を送るの。けど私たちはずっと一緒にいられるわ」
「私達はずっと一緒…大丈夫、何かあっても、2人の心がすれ違っても、あなたの気持ちは私が1番知ってるから」
「次会う時は、あなたに気づかれないように守るから。私とあなたはずっと、永遠に一緒。そのためだったらなんだってする」
「…それじゃあ、生まれ変わって会いましょう。私も追いかけるから…すぐに…」
bad end
どうも、ヤンデレ彼女に囲まれて、という作品を書いてる人です。
だからヤンデレの短編なんです。
ヤンデレ彼女に囲まれて(ヤン囲)はまだ始まったばかりでヤンデレ成分足りないんです。
だからこれで発散(笑)
この作品をざっと読んでいただくとわかるように、朝宮瑠美はなんで透を愛してるのか…とか
あの夢はなんなんだよ…とか
いろいろまだ疑問があると思います
それはそのうち書く可能性がある朝宮瑠美視点の次作に期待してください(^_^;)
ヤン囲が更新できず読者には申し訳ないんですが、ぜひヤン囲ってなんだよ?と言う方も読んでみてください
ぱっと見でいいです(泣)
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
面白いと思っていただけたら嬉しいです
感想等お待ちしています
※誤字等の報告はしなくて大丈夫です。暇な時に確認、編集します