機械皇子
こんにちは、Noahです。この間とある批評サイトで小説の書き方を勉強してきました…。基本的なことだけでもしっかりして、面白さとともに読み易さも追及して行きたいです(*'V`)
僕の周りを取り囲む、生暖かい液体の感覚……
皮膚を撫でながら上昇していく細かな気泡がくすぐったい……
ここはどこ……?
不思議な暖かい気分に包まれた中で、少年はその瞳を開いた。自分の周りを取り囲むのは透明な液体。液体自体は透明であるはずなのに何故か、碧い。その青に汚染されたのかそれとも元からなのか少年の瞳も濃い藍色だ。色素の薄い金髪はそこそこ長さがあり、怪しい触手の様に波に乗せて漂う。綺麗な顔立ち…年は、16才。
……16才……
この碧い世界はまるで海の様に少年の瞳に映った。少年はその海の中に生まれたまま、白い肌を晒して浮かんでいた。己の足下を見れば、遥か遠くの底の方にピンクや紫の鮮やかな珊瑚が見える。体は浮遊していて……だけど呼吸はできる。
不思議だ……
不可解な世界。だけど……とても綺麗で愛おしい。このまま波に身を委ねて、また眠ってしまおうか……。だって、とても気持ちがいい。
?
そのとき、少年の藍色の瞳は光り輝く何かを己の前方にとらえた。目を凝らして見てみると……それは淡い桃色の、石。小さな小さな、かわいい宝石。何も無い碧の中で、寂しそうに浮かんでいる。
欲しい
彼は右手をのばした。目の前に浮かぶ桃色の宝石を掴むために。
届く。もう少しで……
!!!!
いきなり、何かが少年の足をちぎれんばかりに引っ張った。突然の痛みと、一瞬にして覚醒した恐怖。おそるおそる、痛みの元を見据える。
長い……コード?
それは怪しくうねり、少年の足首にしっかりとその手を巻き付けている。
あまりに強く、あまりにキツく。
一本ではなく、何本もの無機質なコードの様なものが、少年の足を掴み……奥に、この世界の底へ連れて行こうとする。
……い……嫌だ
多大なる恐怖につき動かされ、少年はもがいた。だんだんとコードは本数を増しながら……やがては、
足から胴へ
胴から胸へ
そして首へ
口へ
頭へ
長く長く伸びるコードは幾千本にもなり、少年の手足を、体を、拘束し、そして締め付け、引きずり込む。
とっさに目の前の宝石を見ると、……遥か遠くに。少年からはだんだんと離れて行く。
もぅ、手を伸ばしても届きはしない。
突然、胸が苦しくなった。呼吸する度にその肺には冷たい水が入り込み、暈を増し、少年を苦しめる。
頭が
体が
痛い。
呼吸ができず、意識は薄れて行く中で、少年は輝く何かをとらえた。
あの宝石――?
もぅ伸ばせない、指先すらも動かせないその腕は、コードに巻かれて空しく虚しく空を切る。
暖かかったのに、
優しかったのに。
今は只の、ここは死の海。
やがて、その光は輝きを増し……そしてそこから、何千万というコードが少年に向かって飛び出してきた。
あぁ――もぅ、終りなのか
コードの群れは勢いを落とすことなく、少年を飲み込んだ。痛みすらわからない。きっともぅ少年の体は、原形すら止めていない。
目の前は闇に支配され。思考回路は停止して……もぅ悲しみ以外見出だせない。