第1話『導入の長い裸の美女』
初めてです。
-住宅街を歩く少年
今この文章を読もうとしているあなたへ語りかけています。今頃こんな何の変哲もない普通の高校生の俺『来世 心倉〈らいせ しんくら〉』の、何の変哲もない日常を何の変哲もないあなた方が読もうと目を運んでいるでしょう。ですが、もう大丈夫です。これを読むことで何の変哲もないあなた方は変な小説を読む変哲な人という印象をもたらしてくれるに違いありません。
おっと、語りかけていたら学校に遅刻してしまう、失礼、語りかけはこの辺で……
-学校
普通に授業を受け、普通に趣味の合う友達たちと話し、普通に帰宅する。ね?普通の高校生でしょ?ひとつも変なところはない。なので普通に帰宅もする。部屋に戻りぐうたらスマホをいじってるだけ、こんな毎日が続いてる平凡な男を見ても何も楽しく.....))))
-ドカンっ!!
自分の部屋の壁が壊れた、音が鳴り響く、と思ったのもつかの間、見てみると壁は全く壊れてはいない。
「なっ…???」
突然の音と視界に広がった光景に声を失った、一体今何があったのか、今視界に映った景色はなんだったのか、大きな音はなんなのかと頭の中をフル回転しながら考えたが答えは見つからず、そのまま視界が暗み眠ってしまった。
-朝
目が覚めると、何の変哲もない普通の部屋だった。
「夢見る少女じゃいられない……か、」
起きて直ぐに変な例えを言うぐらい余裕ではあったが、内心動揺が隠せない。
(念の為家族にも話をしてみるか)
「昨日、上の部屋で壁壊れる夢見たんだよね」母や父、そして姉に妹、ペットのハムスターにまで話したが、「何馬鹿なこと言ってんの、早く朝ごはん食べて学校行きなさい?」とテンプレ回答が返ってくるだけだった。
家族に信じてすら貰えず、なんなら変なやつ扱いを受けてしまったが、遅刻はしたくないのでそのまま学校へ向かった。
(やっぱり夢だったのかもしれないな)そう言い聞かせて、歩く道はなんだかいつもより柔らかく感じた、これは伏線でもなんでもなくただコンクリを流し込んだばっかりで柔らかかっただけであり、より一層学校へ行く1歩が重くなっただけであった。
(なんかツイてないなぁ……)昨日まで普通の高校生活を送っていたのに急にこの生活になぜか違和感を感じた。
すると突然目の前に謎の男が現れた!
「少年!私の話を聞いていかないかい?」と言い出したこの男はどう見てもツルッパゲの、小汚いが痩せてはいる普通のおっさんだった。
「なんだよおっさん、こっちは学校行こうとしてるんだ、邪魔しないでくれ」
どういう訳かは知らないが、おっさんが道を塞いで邪魔なことだけはわかった。
「まぁそんなこと言わずに聞いてくれ少年。実はこの先の近い未来に少年は何かとてもすごいことに巻き込まれるから体を鍛えておけ、わかったな少年。」
そんな一方的に言われてもおっさんはおっさんなので、信じずに、
「そうなんですね!ありがとうございます!」と一礼し逃げようとしたその時だった。
ドカーン!!!!!
わずか一瞬だった、昨日と同じような音が鳴り響いたが、今回は確かに目の前のコンクリの塀が破壊されているのが見てわかる。
「なん……だ??」
すると目の前に現れたのは、悪魔なのかモンスターなのか、とにかく見た目が化け物のやつが現れた。さっきのおっさんは猛ダッシュで逃げやがったため、俺も逃げようと思ったが、学校に遅刻してしまうためバケモンを倒さないと前へ進めない、遠回りすると確実に遅刻だ。
「一か八か、、とりゃあ!」
こういう展開はだいたいなろう系で見てきたので、これはなろう系で俺が強くなってるパターンだな!と思い込み、バケモンに腕を振りかぶって飛び込んだ。
-ぐちゃ
バケモンは柔らかすぎてパンチが全く効かなかった。まるで先程踏んだコンクリかのように、
(これじゃ拉致があかねぇじゃねぇか……)なんて、重い腕を引っこ抜く作業が始まった途端にバケモンが攻撃してくる。柔らかいのに重いバケモンの一撃は確実に仕留めようとしてる雰囲気が伝わり、思わず体が反射的に避ける。
「こんなところで殺されてたまるか!!」
自分の腕を引っこ抜き近くにあったマンホールの蓋をフリスビーのごとく飛ばすが、また埋まってしまい効果がなかった。
そのままにバケモンの攻撃が心倉に猛威を振るう。
(くっ…俺もここまでなのか……くそっ、何がなろう系だ、普通にこのまま死ぬじゃねぇか、こういう時は俺だけレベルアップしてたり、トラックで異世界飛ばされてヒロインレースを見てたり、パーティ追放される流れとかじゃねぇのかよ。死んでから本番か?いやこっちの世界にバケモン出てるんだから関係ないよな?だったら普通に死ぬだけやん、つまんなぁ!……あーあ、どうせだったら死ぬ前に急に裸の美女が現れて目の保養になってくれねぇかなぁ?)
「死ぬ前にしてはダラダラと長い心の声だったね」
またまた突然、脳内に直接声が聞こえる。
「だ……れ…………?」
「んー、急に現れた、裸の美女ってとこかな?」
目の前には死ぬ前に見たいと懇願した裸の美女が確かにそこに居た。
(こっちパターンのなろう系だったのか、ん?なろう系って言うのかこれ?まぁいいやとりあえず助けてくれそうだからそのまま待っとこう。)
「だから全部聞こえてるよぉ?あと、倒すのは私じゃなくて君だからね?」
「え?俺?」
意識が朦朧としていた中でまたまたまた突然、何回突然を繰り返せば気が済むのか分からないが、なぜか体が光って手元にビリビリっとしたバールのような物、ではなく剣のようなものが現れた。
「今日だけで色んなもん現れすぎだろ!!」
「いいツッコミだね!少年!さぁそのバールのような物を使って攻撃してみようか!」
(バールのようなものであってたのか、しかも説明がチュートリアルすぎるな、などの色んな感情が出たが、読者はそんなこと思ってないだろうしそのまま進めるか、なんて思ったり、)
「さぁ!思いっきり振れ!!」
「よぉく分からないけど!とりあえずお前を倒す!!!ええええええいい!!」
とりあえず勢いよく振ってみると、バケモンはどんどん萎んでいき、振り続けていくと、最終的に元のコンクリの塀に戻った。
「ナイス少年!」
「ありが…はわわわわ、ふ、服!!」
「ははーん、さてはお子ちゃまだなぁ?服なんて着なくたっていいんだぞ少年、なぜなら私は誰にも見えてないからね、あと今までの時間は止まっている判定だから遅刻も大丈夫だよ」
(思ってたこと全ての答えを先に出してくるこの女は一体何者なんだ…?そしてさっきの光景は一体なんだったんだ……?)
「まぁとりあえず、その武器は周りから見えないからそのまま持って帰ってね!じゃあね!」
「おい、待っ」
俺が喋る頃にはもう既にいなかった。
(とりあえず、読者の皆さん。やっぱりなろう系だったぽいです。
これから普通の高校生では考えられないような毎日が始まるのであった。
チンチラはモルモット 1話『導入の長い裸の美女』
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