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鎧、アジト制圧する

ガチャンガチャン。


 俺は、木箱から出るために動き出した。

 やはり、動くと音は響く。

 と、そこへ扉が開いて。


「だ、だれだ!」


 見張りが案の定、入ってきて、、、


「うわぁ!何だぁ?」

 泥化した地面に下半身が埋まる。

 そこへ、浮かせていた木箱を落とす。


ドガッ!!ガラガラ〜、、、

(ん?木箱から何か出てきたな。)

 木箱の下敷きになってのびてる盗賊を尻目に木箱から出てきた長物を拾い、鞘から抜き放った。

(お?直剣か?)

 ちょうどよい大きさのブロードソードを拾った。

 と、検分している場合ではないな。


「何だ!」

「どうした!!」


 留守番の盗賊二人が倉庫に近づいてくる。

 俺は、倉庫から出て迎え撃つ。


「うわ!あれ、例の鎧!」

「剣をもっているぞ!!」

(ふっふ、今更警戒しても遅い。ほれ、泥化。)


 盗賊たちの足元が急に泥と化し、二人共身体半分が地面に埋まり、身動きが取れなくなった。


「くっくそー、動けねぇ〜!」

「うわぁ!!く、来るなぁ〜!」


 俺は、手にしたブロードソードでしこたま打ち付けた。

 2打目くらいで気絶していたようだが、これも天罰だ。

(よし、これで、このアジトは制圧完了っと。)

 念の為、生体感知で周辺を探る。

 それほど大きくはない洞窟のようで、この先の広間はすぐ外のようだ。

(この生体感知、、、地図も作ってくれるのか。いや、これは空間検知の方かな。ややこしいな、常時発動型も考えものだな。)

 と、思いにふけっている場合でもないか。


 俺は、倉庫の前にある牢屋の方へ向き直り、中の様子を伺った。

 牢屋の奥で二人の少女がこちらを警戒している。

(ん〜、この牢屋の鍵は、盗賊3人のうち、どいつかが持っているのだろうが、下半身が土に埋まっているから、多分、土の中だろうな。不用意に土から出して、目を覚まされたら厄介だから、、、しかたない、このくらいの鍵なら、、、)


カチャン


(ほら、あいた!落ちてた木の枝なんかで解錠できちゃうとは、我ながら出来るやつだぜ。)

 牢屋の扉を開けて、俺が奥の二人に手招きしたが二人は警戒して動かない。

(むぅ仕方がないな。)

 俺は、牢屋の中に入り、二人に近づく。


「ひ。いや!」

「姉さん、怖い!」


 こんななりだから、怖がられるのは仕方がないが、結構ショックである。

 俺はジェスチャーで口がきけないことを表現してみた。


「しゃべれないの?」


コクコク。

 俺は、頷き跪いて、少女たちに手を差し伸べた。


「助けてくれるの?」

コクコク。

 また頷き、彼女たちの警戒心を解く。

 二人が俺の手を取ったその時、お互いの思念が伝わるのがわかった。

「!」


『お?念話が通じる?』

『これは、念話?えっと、あの。助けてくださるんですか?』

『、、、姉さん、助かるの?』

『お?二人共、魔力特性を持っているのか。俺は、口では喋ることができないが、こうして触れてくれれば念話で君たちと会話することができる。』

『そうでしたか。戦士様、なんとお礼を申していいか、、、』

『あ、ありがとう、戦士様。』

『いや、安心するのはまだ早い。君たちの住んでいたとこに送っていくつもりだが、盗賊団が追いかけてくるかもしれん。』


(いや、来るだろうな。奪われた物資を取り返しに、必死になって。)

『そこで、どうせなら、盗賊団が戻ってきた時に壊滅させておこうと思っている。それが完了するまで、二人は俺の後ろに隠れていて欲しいんだ。』

『はい、わかりました。』

『よし、ではまずは、ここから出よう。』

『はい』


 なんとも可愛らしい少女たちだ。姉の方は14、15歳くらいか。妹の方は10歳くらいかな。

(どうして、盗賊団なんかに捕まったのかは、後で聞くとして、盗賊団殲滅への次のステージだ。)

 俺達は、盗賊団のアジトから脱出して、近くの森の茂みに隠れた。


『あのぅ戦士様?』

『ん?なんだ?』


 姉の方が俺の後ろに隠れながら手で触れて念話してきた。


『お一人で盗賊団全員を相手に戦うのですか?』

『心配するな。こんなナリだが、魔術の方が得意でな、範囲攻撃可能なものもあるんだ。それに罠にはめて逃さないように策は考えている。』

『罠ですか?そうですか。私達でお手伝い出来ることはないでしょうか?』

『手伝うって言っても、何が出来るんだ?』


 そんなものはいらんっと断るのは簡単だが、彼女達の心意気も無下にしたくないので、一応聞いてみた。


『私は弓が使えます。この子は魔術を使えます。』

『ほう!』


 これは意外だという感じで続きを促してみた。


『実は、あの洞窟から出る時に私の弓を返していただきまして、、、』

『いつのまに!』


 姉の方の手に小型の弓が握られていた。


『きっと、役に立てると思います。』

『私も、ファイアボールを使えます。』


 いつのまにか妹の方も俺に触れて念話を送ってきていた。


『よし、わかった。二人共、子供扱いをして悪かった。そして、いつでも矢を放てるように、ファイアボールを打てるように準備しておいてくれ。』

 俺は、そうして二人の若き戦士にこれからの策を伝えた。


、、、、、、、、

「だぁ〜んな。」

「あれ?白い世界、、、今日はえらく頻繁に出てくるな、キョウカ。」

「だいぶ、魔術を使いこなしているようね。感心感心。」

「いや何様だよ。あと魔力は、本当に気にしなくていいんだな?でかいやつぶっ放して、それで終わりだったら、オレら死ぬからな。」

「うん、大丈夫だって。それより、この二人、エルフだよ。」

「え!なんと!マジか!なんでわかる?」

「見た目にごまかされているね。幼く視えるけど、ダンナより年上かもよ。」

「え?いや、見た目にってそっち?いやいや、人間っぽい姿しているのにエルフ?」


 エルフといえば、特徴的なその耳。

 長耳族と言われているくらいだから、すぐに判別できる。

 しかし、この子たちの耳は至って普通、、、


「えーとね、姿変化のアイテムでも使っているのかしら?」

「そうなのか。でもエルフがなんで盗賊なんかに捕まったんだろうか?」

「そんなことまではわからないよ。本人たちに聞けばいいんじゃない?」


 もっともだ。


「それはそうと何か言いたくて出てきたんじゃないのか?」

「そうそう、そうだった。えーとね、合成魔術の第一段階をクリアしたダンナに更なるパワーアップだよ。第二段階のススメ。」

「え?キョウカが教えてくれるのか?」

「言ったでしょ。私の知ってる魔術も使えるようになるって。」

「そりゃそうなんだろうが、えらく早くないか?びっくりだよ!」

「それは、こっちのセリフだって。ダンナの成長、恐るべし。びっくりは私の方だよ。」

「そ、そうなのか?そんなに成長しているのか?俺が?」

「そうね、私が出てこれるようになってから10個くらいレベル上がっているよ。」

「そうかぁ上がっているのかぁ、、、って、レベルって何だよ?」


「あ、でね、肝心の第二段階の魔術だけど、、、」

「聞けよ、俺の疑問を、、、」

「火球と土塊を撃つことができるでしょ?更にその2つを合わせると溶岩を作れるよ。」

「ほう、凄いな。」

「あと一つ、火球と空間検知の効果を使って、火壁の完成。」

「おぉーこれも使えるな。」


 俺は、14個もの魔術を使えるようになったわけだ。


「えっへん、感謝してね。」

「あぁこれは感謝、マジで感謝だ。ただ、、、」

「ただ?何?不満なの?」

「いや、どっちかつーと不安だな。キョウカへの見返りが一体何なのか?」

「え?あぁ?ん〜、まだわからないね。」


 舌をペロっと出してるキョウカだが、ちょっとだけ怖くなってきたぞ。

 最悪、命を差し出せ、って言われるかも知れないしな。

 ああ、それは、デーモンか。

 しかし、今のところ、俺にしかメリットがないからな。


「じゃぁそろそろお暇するねぇ」

「オイトマってなんだよ、なにその単語?」


 サッと視界が切り替わり、白い世界から森の茂みの中に帰ってきた感じだ。

 もうキョウカの反応もない。

 どれだけ時間が経過したのか?俺は、生体感知を最大限で発動してみた。

(お?おー盗賊団を見つけたぞ。)

 盗賊たちは、アジトに戻ってきているようだ。

(ん?様子が変だな。)


 さらに生体感知で探ってみると、10人と少ししかいない。

(ははぁ襲った隊商に護衛でもいたのかな?返り討ちに合ったようだな。奪ったものはなく、ただ、仲間を失ったのか?しかし容赦はしないぞ。)

 俺は、人助けというより、早く魔術を使いたくて仕方がなかっただけだけど。

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