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鎧、エルフの村に滞在する

村に着いた途端、長老が叫んだ。


「皆のもの!安心せよ!エルミが帰ってきたぞ!」


その一言だけで、木々に隠れて見ていただろうエルフが姿を現した。

その数100人ほど。


「おぉ!エルミ様!ご無事でしたか!」

「よかったぁ」

「姫様、お帰りなさいませ、心配いたしましたぞ。」


エルミが馬車から降りて皆の前に出ると、その100人が集まり、全員跪いた。

(何なの、エルミって。長老よりも偉いんか?)


「ビルハインド殿、驚かせてすまない。エルミは特別な存在でな、この村の守護神的な存在じゃ。」

長老がこそっと俺に話しかけてきた。


「皆のもの、ここにおわす白騎士殿、ビルハインド殿の手助けにより、姫は帰参した。無礼のないようにな。」

「白騎士殿、ありがとうございます。」

あちこちから礼の言葉が発せられる。


「では、長老様。今夜は、宴ですな。準備を?」

「あ、いや。その必要はない。各々が好きなようにしてくれ。この御仁は、私の住まいでもてなす。」

「それでは、姫様の好物を集めて、お届けいたします。」

「わかったわかった、それも好きにして良い。」

「皆、心配かけてすまなかった。」

エルミがこうべを垂れる。

その様子に100人がざわついている。


「姫様が我らに?」

「おひとが変わられたのか?」

(ん?これは?この反応は、皆が驚いているのか?ははーん、この姫は、かなりやんちゃでわがままだったんだな。はじめて村から出て、自分の非力さを知ったことで、大人しくなった?)


エルミは、顔を赤らめながら、長老の後ろに隠れてしまった。

と、ここでエルトが長老の前に跪き

「長老様、お願いがございます。」

「エルトか、何だ?」

「ビルハインド様がこの村に滞在中の間、私にお世話を任せていただきたいのです。」

「む、ビルハインド殿、かまいませんか?」


俺は、コクリと頷き、エルトに触れて思念を送った。

それをそのまま、エルトが話す。

「長老様、ビルハインド様からお話と交渉ごとがあるそうです。」

「あい、わかった。では、私の住処に案内しよう。エルミは、天樹様のところへ行くが良い。」

「はい、おじぃさ、、、、長老様、行ってまいります。」


集まったエルフたちも、各々が自分の持ち場に戻っていく。

長老の住処は、村の中央付近にある、ひときわ大きな樹の結構な高さの枝分かれしている間にあった。

長老は飛翔魔術で、俺は、浮遊魔術でその住処にたどり着いた。


「空間魔術もお使いになられる?エルミの話では火、水、土属性の魔術をつかわれると聞いていたが、、、見た目と違い魔術師のようですな。さて、何もないところですが、我が住処で少しばかりくつろいで下さい。」


長老の住処の中は、広い円形ドーム状となっており、天井も高い。

ただ、くつろげと言われてくつろげるわけもなく、部屋の中央にある囲炉裏の周りに座った。

俺の横にエルトがちょこんと座り触れてきた。


『ありがとうな。通訳は助かる。』

『いえ、今の私にはこれくらいしかできませんので。』

(少し落ち込んでいるのか元気がないな。)


エルトは、魔術が使えないので、俺の浮遊魔術でここまで運んだ。

そういうのも引け目に感じているのかも知れないな。

そういえば、エルトが持っている魔力特性の話もしておいた方がいいかもな。

長老宅に居た女エルフ、お手伝いさんかな?が飲み物を持ってきたが、俺は飲めないからな、謝辞のジェスチャーだけしておいた。


さて、長老も座ったことだし、話しを進めようか。

俺は、エルトたちに話したように魔族領で時空の館に入り、鎧に触れて、鎧に取り込まれたことをエルトを介して伝えた。

そして、ここがどこの国なのか、どういう状況なのか、さっぱりわからないことも伝えた。


「そうでしたか。貴方の話を信用しましょう。伝承にあるキキョウ様のお話と一致します。が、キキョウ様については貴方様からのお話以上の伝承は残っていません。何ぶん、ずいぶん古いお話なので。」


エルフは長寿命のためか、記録というのを伝承のみでしか残さないようだな。


「この森のエルフの村に立ち寄られた。いくつかのアイテムと村の結界を残して旅立たれた。そうそう、エルトが今使用している姿見の護符も残されたアイテムの一つですな。そして我々では、その護符を模倣して作ることはできなかった。と、この程度ですな。』

(そうか、姿見の護符はキョウカから聞いたとおりだな。しかし、結界はすごいな。)


『この村の結界はよほど強力なんだな。』

エルトが答える。

『この村の結界は、代々、村の神職が魔力をこめて維持しています。今はエルミですね。』

『そうなのか!それは、エルミが居なくなったら大変だわな。』


エルトと念話している間にも長老の話は続く。

「私どもは、この森一帯の結界のおかげで平和に暮らしています。が、それゆえ外部の人族との接触はなく、この森を含む人族の国などの情報はわかりかねます。地理的にエルトラン大陸の北部であること位です。」

(ほぉ魔族領と同じ大陸ではあったか。)


エルトに頼んで俺の話を長老に伝える。

「長老様、ありがとうございます。エルトラン大陸北部であることが知れただけでも有益です、とビルハインド様はおっしゃています。それと、私について、こうもおっしゃています。エルトは、魔術が使えないのではなく、何らかの条件がそろっていないか、もしくは、この村のエルフ達が知らない未知の魔術を扱える可能性がある。と。」

「なんと!」

『え?よろしいのですか?』

『そのまま伝えてくれ。』

「長老様、ビルハインド様は、私を旅の供として、この村を出る許可を願っています。そして、その見返りを用意する。とも。」

「ふーむ、そのエルトの魔術を開花させるということですな。」


おれは、コクリと頷いた。

「ビルハインド様は、このように私を通訳として働いてもらいたい。と言われています。」

「いいでしょう。エルトを出すことを許可します。ただ一つだけ約束していただきたい。エルトの魔術が開花したら、ここに戻ってくること。これが条件です。」


俺は、またコクリと頷き、次元収納から盗賊から奪った品々を出した。

「うぉ!」

さすがの長老もびっくりしているな。

「この中から、この村で役に立ちそうなものを差し上げます。との事ですが、いいんですか?ビル様?」

『かまわない。持っていたって処分に困るものが多い。そもそも盗品になるから、人間の村や街では捌けないだろうし。』


出したものは、食料、謎の陶磁器の瓶、魔術書、あとは、装飾品だ。

「この小麦や芋類は助かりますな。日持ちもしますし、皆が喜びます。この瓶は、なんでしょうな?」(確かに、これは何だろうな?使ってみるのはヤバそうだし、これは保管に戻すか。装飾品も興味なさそうだなぁ。まぁ人間の嗜好がエルフに合うわけ無いか。)


そうして、エルフにとっては不要なものを収納し、残ったのは、俺が盗賊のアジトで読んでいた魔術書とガストからもらった魔術書の4冊だ。

(確かエルフは、こういった書を使う必要がなく、自然と魔術を扱えたんだっけ?)

(そうね。エルフは、精霊の力を借りて魔術として具現化するから、精霊と会話できれば、それでOKなのよ。)

キョウカの説明で理解した。

(では、これも回収しよう。)


そうしようとした時、エルトが興味深げに言ってきた。

「あの、ビル様、これは人族の扱う魔術の書物ですよね?よろしければ、私に少し見せて頂けませんでしょうか?」

『そうか、何かヒントになることが書かれている可能性もあるな。』

俺は、4冊をエルトに差し出した。


「ありがとうございます。時間を見つけて読んでみます。」

『気になったんだが、エルトは、人族の文字が読めるのか?』

『それは、、、、頑張ります、、、』

『あのな、根性だけでは読めないから。それは教えるぞ。というか、これから一緒に旅をするんだ。こちらから言わねばな。文字は教えるから、これからよろしく頼む。』

『いえ、そんな。あ、でも、それもそうですね。読めないと人間の街では困りますものね。こちらこそ、よろしくお願いします。』


そうして、長老からは物資のお礼を言われ、エルトの旅立ちとこの村の滞在の許可をもらった。

滞在の間、エルトに文字を教えるつもりだ。

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