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鎧、秘密を共有する

「だんな、だんな」

「お?キョウカか?あれ?周りが白くない。」

俺は、馬車の御者台に乗り、馬の手綱を握って、馬車をゆっくり進めている。


「ふっふ、だんなのレベルが上がったからね。だんなの意識がはっきりしている時にでも、こうやって話しかけることができるようになったんだヨ。」

「ああ、あの切り替わりが改善されたのか。」

「そうそう」

「で、どうした?また、アドバイスをくれるのか?」

「ん〜アドバイスというか報告だね。」

「報告?」

「こうやって、普段でも、どんな時でも、いつでも、このキョウカ、私との会話ができるようになったっていう。どう?うれしい?そうよねぇ頼りになる相棒だもんね。うれしいっていいなさい。」

「ちょっとウザい。」

「がーん!」


あ、ベタな落ち込みのセリフと落ち込んだ雰囲気がする。

「いや、冗談だ。すまん、ちょっとひねくれただけだ。」

「ほっ」

(なんかわかりやすい奴だなぁ)

「あ、ところで魔力特性のある人と触れて念話してるじゃない?」

「おう、何かおかしいか?」

「いやそうでなくて、私の声は、だんなにしか聞こえないから、触れている人がいてもね。そこ注意事項でした。」

「そうか。それにしても伝説のキキョウってのは、どんなふうにしてキョウカを作ったんだろうか?高度すぎて理解はできないだろうが、一度会って話をしてみたかったな。」

「え?会いたいの?会うことは一応可能だけど?」

「なに!マジか!っていうか、やはり生きていたのか!」

「ん、だんなのレベルがもっと上がって、私とリンクして、時空の館の飛ぶ場所を予想すれば、、、ってわかる?」

「いや、なんだ、レベルってのを上げればいいのか?それくらいしかわからんし、レベルってなんだ?」「だよね〜。」

「それと、お前、喋り方がずいぶんくだけてきたよな。」

「おっと、あの子たちと話すことがあったんじゃないの?」

「またはぐらかす、、、まぁいいか、なんとなくわかってきたから。」


俺は、レベルってのが経験に基づく思考力上昇なのかな、と思うことにした。

そして俺は、後ろの荷台に乗っている二人に手招きをした。

姉のエルトが俺の左横に座り触れてきてくれた。


『君たちに秘密があるのはわかる。俺にもあるからな。そこでどうだろうか。俺の秘密を言うから、君たちの秘密も教えてくれないか?』


エルトは、はいともいいえとも言わず無言で考えている。


『俺のカンだが、君たちはなにか目的があって村をでたんじゃないか?教えてくれたら、その目的を達成するのを手伝う、というのはどうだ?もちろん、俺の秘密を知ってから断ってもいいぞ。』

『え?手伝ってくれるんですか?』

『今の俺に特に急ぎの用事はないし、君たちが何かに困っていることに手伝えることがあるならだけど。』


エルトは、目を丸くして俺を見ている。

(だから、羨望のまなざしはやめてほしいなぁ)


『わかりました。恩人でもありますし、私達の秘密をお教えします。』

『おっと、俺が先に秘密を言うぞ。約束してほしいんだが、怖がらないでくれ。』

『はい、では。エルミも呼びますか?』

『あぁ呼んでくれ。』


道が悪いので馬車はゆっくり進む。

「エルミ、こっちへ。」


エルミが俺の右横に座り、同じように触れてくれた。

『さて、二人とも、俺の秘密だが、実は、俺はこの鎧そのものなんだ。』

『え?それってどういう意味、、、』

と言い切られる前に俺は、兜を取った。


「ひっ!」「きゃ!」

(やっぱりどん引きか、、、)

「姉さん、、、」

「えとえと、魔物、、、ではないですよね?」

俺は、兜を取り付て、コクリコクリと頷いた。

怖がっていた二人だが、しばらくして、又、俺に触れてきた。


『俺は元々人魔族の鍛冶師だったんだ。ちょっとしたことで魔王軍に追われることになって、逃げている先に謎の館が目の前に現れて、、、』


俺は、ここまでの顛末を二人に話した。

『そうだったんですね。私は、私達は、ビル様のその話を信じます。』

『そうか、信じてくれるか。ありがとう。』


姉妹揃って、頷いている。

『では、次は私達の秘密ですね。』

『うむ。』

『私達はエルフです。』

『うん。』

『あれ?驚かれないんですか?』

『いや、そうなんだろうなぁっと。使う武器が弓だったり、火球だったり、見た目は人間の子どもなのに成人並みの力を感じたし、、、』(そもそもキョウカから聞いていたしな。)


『そ、そうですか、やはりビル様は凄い方ですね。』

『なにがどう凄いと思うのかわからんが、いや、それより気になったのは、エルフは自分たちの森から出ないと聞いていたが?』

『はい、実は、私の秘密がもう一つありまして。私、精霊魔術が使えないんです。』

『ほう。』

『原因はわかりませんが、それでそのぅ、村にいずらいといいますか、魔術を使えるようになるため、人間社会に行ってみようかと考えまして。そしてエルミは、そんな私を手伝ってくれると付いてきてくれたんです。』

『なるほど、それで、森を出た途端、盗賊共と鉢合わせした感じか?』

『そ、そうです。びっくりしましたし、反撃する間もなかったんです。』

『それは災難だったな。で、人間社会に伝手はあるのか?』

『伝手はないですが、その昔、人間は魔術を使っていなかったと聞きました。でも、今は使えている。なら、その方法は何かと思いまして、そこにヒントがあるんじゃないかと。』


『なるほどなぁ。ちなみにエルフの仲間からは魔術を教わっったのか?』

『いえ、エルフは特に意識せずに何かしらの魔術が使えますので、その教わるとか教えるとかがよくわからないんです。父や母でさえよくわからなかったようです。』

『そうか、魔術を教えるという必要性がないからかな?』

『そもそも、小精霊の力を感じることができないので、そういう話でもない気がします。』

『そうか、エルトの場合、使えない原因を調べて対策を考えたほうがいい気がするな。』

『そうですか、でも原因なんて自分ではわからなくて、、、』

エルトが泣きそうになっている。

よほど、村で辛かったんだろう。


『君たちの村で過去に同じようなエルフはいなかったのか?』

『はい、長老様もこの村始まって以来だとおっしゃっていました、、、』

『そうか。しかし希望はあるぞ。』

『え?本当ですか?』

『あぁ、今、俺とこうやって念話できているのは、エルトに魔力特性があるからだ。だとすると、使えないのではなくて、使う魔術を知らないだけではないか?つまり、君たちの村の誰も知らない未知の魔術を使えるかも知れないな。』

『なるほど、そういうことがないとも言えない、と?』

エルトの表情がパッと明るくなった。


『あくまでも俺の考えだから、そうとは限らないけどな。』

『いいえ、ビル様のおかげで目が覚めました。やはり、エルフの頭は硬いですね。閉鎖的な環境がそうさせるのでしょうか、、、』


(っと、俺の勝手な思い込みってこともあるが、どう思うキョウカ?)

(ぶっ!急に呼ぶのね。)

(いや、お前だって、今まで急に出てきてたじゃねぇか。)

(そうだけど、、、)

(で、どうよ。)

(ん〜、いいとこついてんじゃない?さすがだんなだね。)

(なにがさすがなんだよ。まぁいいや。)


『まぁ何だ。君たちは一度村に戻って、そのあたりを調べてみたほうがいいんじゃないか?』

『わかりました。村の伝承をもう少し探してみます。』

『それはそうと、見た目を人間にしている方法は何だ?』

『あ、これですね。村に伝わる姿見の護符です。』


エルトもエルミも首からさげていた小さな木製のペンダントを見せてくれた。


『ん?全然、魔力も感じない普通の木製のペンダントっぽいな。』

『この護符に使われているものは、村にある大樹様の枝です。ただ、大昔に作られたそうなんですが、詳細はわからないんです。』

(エルフの感覚の大昔って、想像もつかんが。)

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