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捕縛された騎士の最期

「くそが!」

 深夜、ブルーは牢屋の中で壁に八つ当たりをしていた。

 気絶していたブルーが目を覚ましたのは牢屋に運び込まれて少しした後であった。

 起きたことがラズベ・ミックスリーに伝わるとブルーは鉄格子越しで数年ぶりに実の弟と対面することになった。

 話した内容は簡単なことであった。

 守闘士を殺したのは本当か。

 町中で彗星術を使ったのは本当か。

 内容はそう言った質問だけだったのだ。

 弟の顔を見て苛ついたブルーは全て投げやりに本当だと答えてやった。

 そしてラズベは王に報告次第、追って裁判が始まると言ってブルーの前から立ち去った。

 ブルーは苛立ちが隠せなかった。

 自分は王直属の騎士で王の次に偉いのだと、殺した相手は誰からも憎まれていたような屑で殺しても問題は無かったと、考えれば考えるほど苛立ちは増した。

 そして短剣で戦いを挑んできたあの青年とその場から逃げ出した少女、戦いの邪魔をしてきたこれまた数年ぶりに会うマヴィットに対し強い殺意が湧いた。

 ここから出たらあのゴミどもをすぐに殺しに行ってやるとブルーは強く思ったのだ。

 そしてその時、牢屋の扉から音が聞こえた。

 見ると牢屋の扉が少し空いていた。

 静かにその牢屋の扉を押すとやはり鍵が外れていたようで牢屋の外に自由に出れるようになっていた。

 ブルーは忍び足で牢屋から出ると慎重に周囲に見張りがいないか確認した。

 すると幸運にもどこにも見張りがいなかった。

 ブルーは牢屋部屋を飛び出し、市庁舎の玄関扉を目指した。

 市庁舎の中は暗く、人の気配は無かった。

 ゆっくりと市庁舎の玄関扉を押すブルー。

 すると玄関扉にすら鍵がかかっていなかったのか扉はすんなりと開いた。

 「ふふ、あはは。彗星よ、私に味方してくれているのか!」

 これ以上ない幸運を感じたブルーはそう言って市庁舎を飛び出し空を見上げた。


 「ブルー!」

 聞き覚えのある少女の声が遠くから響く。

 その時、首筋が急激に熱くなった。

 「ゴフッ」

 息が出来ない。

 声も出せない。

 手を喉に当てると血が溢れかえっていて手が真っ赤に染まった。

 ブルーはその場に倒れ込みながら最後の力を振り絞って自分を刺した相手を見た。

 凶刃の主はフードを深く被っている吸血鬼。

 そのフードの隙間から頬に傷があるのが見えた。

 そうか、正体はお前だったのか。

 吸血鬼が走り去る足音とそれを追いかける足音が聞こえる…。

 最後にそう思ってブルーの意識は、命はそこで途絶えた。


 翌日、王直属の騎士であるブルーの遺体が発見された噂は一瞬で町中に広がったのだった。

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