第二十七章51 【アンサー・クリエイト/贄喰威(にくい)1】51/序列23席2
【芳一】と【イエロー・ヨングダーメ】の前に現れたのは、【善意の悪神父/ジョウシュキ】だ。
【ジョウシュキ】は、
『さあ、迷える子羊達。
私に悩みを聞かせてください』
と言ってきた。
【芳一】は、この混じりけの無い純粋な男の正体にすぐに気付いた。
この男は自ら操り人形となっている。
別の意識体に自分のしたいことを予め伝え、それに操られる事によって自分の邪念を巧妙に隠している。
そう言う存在だ。
確かに、自分のしたいことをするのに本心がそれを考える必要はない。
結果として同じになるなら、操られて傀儡として動いても同じ成果が出る。
例えば、誰かを殺したいと思ったとする。
それは自分の意思で示せば、邪念が残る。
それで、別の意識体にそれを自分に命令する様に言っておけば、自分自身は邪念を持つことなく、その誰かを殺せると言う考え方である。
自分は正しくあれと暗示を掛けて振る舞い、操られれば良いのだから。
また、直接、別の意思に命じれば多少なりとも本心に邪念が残る。
そこで別の意思を何枚も重ねることでその邪念を薄めているのだ。
伝言ゲームの様に別の意思から別の意思、
そのまた別の意思と言った様に思考を渡り歩かせる事によって自分の悪意を薄めている。
そう言う手法を採っている。
自分の手を汚さないと言う意味とはまた違ったやり方だ。
薄汚いやり口と言っても良い。
これで、聖職者としての資格をパスし、その聖職者に何とかして欲しいと願って縋ってくる弱者を食い物にする。
そう言う意味では非常に狡猾であると言える。
それをこの男は実践しているのだ。
自分自身はあくまでも聖職者として振る舞い、邪悪な行為は操り人形の傀儡として、受動的に行っている。
そう言う事も出来るの【贄喰威】の特徴なのだろう。
【贄喰威】は総じて、悪事を行う事にためらいがない。
その上で如何に法の網をくぐったり、抜け道を探すなどして、自分達の行動を正当化させる。
表面上は正しく振る舞いながらも裏では汚い事を平然と行う。
そう言う連中なのである。
実態が解れば本当に胸くそ悪くなる様な輩。
それが、【贄喰威】と言う存在なのである。
【芳一】は、
「偽善者ってのはお前の様な奴の事を言うんだな」
と言う一言を発した。




