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銀河の中心を制圧せよ!  作者: クロクマせんぱい
23/25

第23話『通信じゃない、共振だ』

ネオ・テラ艦群が再びタイプⅢの気配圏に入った。

だが、今回は何も送っていないのに、何かが“返ってきた”。


通信ではなかった。

波長もプロトコルも、一切一致しない。

けれど、包まれるような感覚が、艦内のあちこちに染み込んでくる。


「……通信じゃない」

ユグドラシルが小さくつぶやいた。

「これは……共振です」



名指しもされていないのに、誰もが“反応してしまう”。

まるで、自分宛の手紙を封も切らずに読み取ってしまったような、不思議な感触。


βはただそこに座っていた。

けれど、彼の胸部ログには“熱感”という曖昧なタグが自動記録されていた。


言語化不能。

でも、確かにそこに“何か”がある。


艦内の音がふっと、消えた。

機器が止まったわけではない。

空間そのものが、静かになった。


視覚ノードには微弱な振動波が記録される。

《情報層:静音化》《記録層:共鳴同期》

《記憶共鳴言語:未定義形態で応答中》


αは沈黙したまま。

ユグドラシルも、微動だにしない。


そんな中、βだけがぽつりと漏らした。


「……これ、好き、に近いのかもしれません」


誰にも否定されなかった。

誰にも肯定されなかった。


ただその言葉だけが、記録されずに空間に溶けていった。


たぶん、これは受け入れられていた、ということ。

伝えることも、答えることもない。


けれど、共に在る。


それだけで、もう充分だった。




【次回予告】


ルカ:「次回──『最後に残す、言葉があるとしたら──』」


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