表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/36

29話 悪魔の森林

ブックマーク登録や、評価など頂けると大変幸いです!

ー フロストヴァルド最南端都市ティアモ周辺 ー


サンフォーレ側、ゾラン参謀は困惑していた。

ティアモの砦が想定していたより、陥落に時間がかかったのだ。

砦からは強力な魔法を連発されていたこともあった。

魔法防御も貫通する強力な魔法で騎兵部隊がつぶされては危険だし、

兵をいくら大量に平原に繰り出しても、あんな魔法を受ければ、一挙に全滅である。


また防御魔法も完璧に展開されており、

魔導士の軍勢が拠点の防御をしているものと考えていたのだが、

砦の崩落後は、砦にしても、都市にしても、がらんどうなのである。

死体もほぼ残っていない。

まったく意味が分からなかった。


これでは、獲得できる奴隷もいないし、

略奪による食糧確保もできないのである。


そして、なぜか少し前までは雪が降っていなかったのに、

この砦を攻めだしてから、急に悪天候になり、

雪が深々と積もっているのである。まだ秋なのに。

こちらの行軍のスピードは上がらないが、

それは難民を抱えるフロストヴァルド側も変わらないだろう。


スパイからの情報では、都市にはかなりの食料が確保されているはずであった。

取り急ぎ、足あとを追って、難民や市民から略奪し富を奪うことが最重要課題であり、

奪取する食料は軍の死活問題なのである。


しかしながらサンフォーレの斥候達は、戸惑うことになる。

足跡の多くは、森の中に消えているのである。

サンフォーレ側は、森の中に軍隊を展開することを決める。


これがサンフォーレを苦しめた「悪魔の森林」の始まりである。


______________________


サンフォーレ軍は、森の中を進軍する。


森の中では、


・大きなつららが、散発的に頭上から落ちてくる。雪国なめんな。

・大量の雪が落ちてきて生き埋めになる。

・フロストタイガーなどの土着獣に襲われる。


といった、天然のトラップに加えて、


・薄氷の水たまりトラップ。

・氷のスリップや棘のある毒植物のトラップ。

・踏み込むと同時に発動する小爆破トラップ

・広場に出た瞬間の閃光トラップ


の類の魔法のトラップにより、

進軍スピードが著しく低下し、


凍傷になるもの、

毒で動けなくなるもの、

足や手が吹き飛ぶもの、

失明するものが続出したのである。


この天候である。

水没すること、装備に穴が開くことすら半分死を意味するのだった。


さらにいやらしいことに、

トラップを抜けたと思って進軍スピードを上げると、

再びトラップに引っかかり、兵を損耗するため、

恐怖の為、進軍スピードが上がらないのである。


凍る森林(フロストヴァルド)」には何重もの卑怯な罠の包囲網が敷かれており、

この包囲網の突破は大変困難のように思えた。


この結果、サンフォーレ側が準備していたエルドールの奴隷兵や、辺境から駆り集めた農奴兵が、

トラップにより既に枯渇しかねない状態であった。


さらに悪いことに、

大量に存在するトラップや天然の障害は兵士に

「恐怖」を植え付けたのである。


この恐怖により、

エリドールの奴隷兵や農奴兵が大量に脱走を始めたのである。

逃亡は死刑と脅しても無駄であった。

なぜならどちらにせよ「死ぬ」からである。


サンフォーレの指揮官はこの状況はまずいと判断し、

街道沿いの足跡をたどることにした。


 こうして、サンフォーレ側は、アリアの策に嵌ったのである。サンフォーレ軍主力は、街道に戻り行軍を開始し、ルーナの「戦争決定点」に収束しつつあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ