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02話 王子の出会い♪

ー 学園都市ヴェローナ ー


 中立地帯の都市ヴェローナに位置するこの学院には、世界各国の貴族や王族の子供たちに加え、剣術や 魔法の才能にあふれた若者が集まっていた。


 魔法学院の北方に位置するフロストヴァルド王国の三男、アッシュ・ノースフォードも入学の日を迎えていた。


「アッシュ様、あまり朝食が遅いと、式典に間に合いませんよ。」


ルーナが準備をして王子をせかす。


ルーナ・ノーヴァはアッシュ王子の付き人・護衛兼家庭教師である。

アッシュのサポートの目的で選抜された、

フロストバルド随一の参謀であり、

錬金術師であり、王国随一の土精霊魔法使いである。


遠方のフロストバルドから、王の命を受け、アッシュの為にはるばる派遣されている。


「よし準備ができたぞ、ルーナ、僕の方が先にでるよ!」


「王子、忘れ物はないですか!」


「今日は式典だけだからきっと何もいらないよ!」


王子は走って飛び出す。

ルーナは遅れて追っていく。


「アッシュ様、待たせておいて、置いていくのは、あんまりですよぉ。」


___王子の手紙_____


兄さん、今日が学院の初めの日です。

修行をしてもうだつのあがらない僕に、

外の世界で勉強させてくれる機会を準備してくれてありがとうございます。

これからどんな生活が始まるか、とてもわくわくします。

_____________


しばらく走ったあと、


アッシュは建物の角で見知らぬ人とぶつかってころんで、

しりもちをついてしまった。


アッシュは非常に驚く。

なぜなら、ぶつかった女性が、

この世のものとは思えないほど、


きれいだったから。


アッシュは、緊張で硬直し、

この一瞬の時間がとても長く感じられた。


___アッシュの手紙____

でも、兄さん、

こんなきれいな人がこの世界にいるなんて、

僕は想像していませんでした。

______________


 アッシュは、目の前に現れたこの世のものとは思えないほど美しい女性に心を奪われていた。言葉を交わすことも忘れ、ただただ茫然と彼女を見つめていた。


ここで追いかけてきたルーナが到着する。


「!!!!」


軍の参謀でもあるルーナは、

王子がぶつかってしまった相手が、

敵国サンフォーレの皇女殿下、

「リリア・サザンウィンド」

であることを確認した。


 これは、外交問題に発展しかねない「異常事態」なのである!


 サンフォーレ皇国は、アッシュ王子のフロストヴァルドにとって第一の敵国である。フロストヴァルドとサンフォーレは長年の係争関係にあり、停戦協定を結ぶだけの関係、小競り合いなども頻発に起きている間柄だ。


 入学当初に発生した敵国の皇女との重大トラブルにルーナは戸惑いながら、どうこの場を収拾をつけるかを考えながら、とりあえず挨拶をして時間を稼ぐことにする。


「こ、これは、失礼いたします。リリア皇女殿下、王子が失礼を申し訳ありません。アッシュ・ノースフォード、フロストヴァルドの王子の付き人、ルーナ・ノヴァと申します」


 しばしの時間経過の後、リリアは少し顔を赤らめながら笑顔でこう話し始めた。


「よいのです。私も暇をしていましたし。アッシュ様に怪我もなくて幸いでした。私は式典にあまり興味もないので、調度よいですから、アッシュ様、私と一緒に街を散策くださらない?猫にでもぶつかったと思って。」


と付き従えていた猫の獣人に目配せをする。


「こちらは、ノワール、わたしの付き人ですわ。アッシュ様、私たちと今日少しだけ、お供頂けますか?」


「は、はい、喜んでお供させて頂きます。」


と、緊張で震えながら王子は対応した。


 こうしてアッシュ王子、付き人のルーナ、リリア皇女、獣人のノワールの一行は、入学の式典を完全にすっぽかして、学園都市の街を散策することになった。


これが両王国を揺るがすことになる二人の出会いであった。


フロストヴァルドの王子、

アッシュ・ノースフォードはこの時、14歳であった。

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