表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

人生算

昨今のAIブームにまぎれて、俺も深層学習(ディープラーニング)とやらに手を出してみた。

最初は画像に書かれた数字が0から9のどれなのかを判定する、初歩的なAIを学習させた。

そこから応用数学を学び、指にタコが出来るくらいコードを書いて、俺はこの世界に、ドはまりした。

word2vec(単語解析)とか、遺伝的アルゴリズムとか、G(敵対的)A(生成)N(ネットワーク)とか。目に付いたものを片っ端からやっていった。

新しい方法を学ぶと、今までできなかった事ができるようになる。

学習の成果が目に見えて体感できるし、体感できるからモチベが上がって成長する。

年甲斐も無く、まるで幼い頃のブリキのおもちゃの様に、擦り切れるまで遊び倒した。

この為だけに貯金を切り崩してウン十万のGPUだとか、何万もするクーラーだとか、色んなものを買った。買いあさった。

休日は長時間PCに齧り付く様になって、デスクから椅子から新調したし、電気代も大幅に増加していった。


思い付きだった。

ちょうどテレビでやっていた、占いの番組。

手相とか、そういうので人生が分かる。

気になってしまった。興味を持ってしまった。

知り合いの手相を取って、その日の幸福度を1から10で評価してもらった。その日の出来事を記録してもらった。

占いはAIにできるのか。

結論から言おう。できた。できてしまった。


それはとてつもなく高い精度で。その日の幸運を予測できた。

そして、それ以降も。


一月、二月と範囲を延ばしても。

1年後でさえも。


一ヶ月前、予想された。

今日、サイフを落とすこと。

ひと月後、交通事故で大怪我をすること。


三月後、自殺に失敗すること。


五年後、俺は死ぬこと。


ずっと5を越えない幸福度は、その日に10になること。


怖くなった。

データを全て消して、モデルも消して、Pythonもアンスコして、GPUも売っ払った。

新調したデスクも、椅子も、PCも、全部引き払って。


でも、記憶は消せない。

あの日見た占いをなぞるように、5を越えない幸福度で。

あの日見た占いをなぞるように、記憶にある出来事が身の回りで起こっていく。

その度に、恐怖が俺を縛っていく。


占いをなぞるように、俺は三月後に限界を迎えた。

もう無理だった。

占いどおりに屋上から飛び降りて、占いどおりに失敗した。


ようやく理解した。幸福度10という数字の意味を。


俺は5年後まで、この空虚な世界の隅っこで生かされている。

筆者は原理の勉強だけ軽くやって、肝心のコードを一行も書いてない状態です。Pythonまぁまぁやったけど未だにあの独特なfor文が分からぬ。


次回:明日18時投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ