手紙
とつぜんこのような不躾な手紙を送りつける無礼、誠に申し訳ございません。
このような手紙をとつぜんに、びつくりされたことかも知れません。
しかしこれもやむを得ない事情というものがあつたので御座居ます。
私は地方で会社員をしております田中三郎と申す者に御座居ます。
この度、出張にて、車でしばしそちらの地方へと出向いたのでありますが、その道中で轢いてしまつたので御座居ます。
何を轢いたか、ドン、という鈍い音で御座いました。
重いもの、それは例えば60キログラムくらいのものを轢いた様に思えました。
私は怖くなつてしまいました。
思わずそのまま車を走らせ逃げたので御座居ます。私は薄汚い轢き逃げ犯で御座居ます。私は最低な殺人犯で御座います。私はまごうことの無き犯罪者で御座います。
けれどゆるしてほしいのでございます。
どうかあの日のあやまちを許してください。
あの日から声が聞こえるのです。
ずつとずつと語り掛けてくるのです。
私は自首しようと思いました。けれども、道が思い出せません。
あの日、轢いた道が、場所が、あれからがむしやらに走つてしまつたものですから、どこで轢いたのか思い出せないのです。
そんな具合で御座いますから、警察署でも取り合つてもらえませんでした。
私は謝ろうと思いました。
ですが、どこのだれを轢いてしまつたのかてんで分かりません。
ですので、出張した地方の家々に、私が轢いてしまいました方に届くように、不躾ながらこの手紙を投函して回らせていただいております。
このような手紙をとつぜん送られて、困惑したことでしよう。
ですがどうか許してほしいので御座居ます。
申し訳御座いませんでした。
どうか、どうか許してください。
もう車は運転いたしません。
墓を立てて毎日朝昼晩に参拝致します。
毎朝新鮮な水物とお酒をお供えします。毎日線香を上奉ります。
どうか何卒お許しいただきたく思います。
どうか、この声を
とつぜんこのような不躾なお願いを送りつける無礼、誠に申し訳ございません。
このようなお願いをとつぜん送られて、困惑したでしよう。
ですがどうか評価してほしいので御座居ます。
申し訳御座いませんでした。
どうか、どうか評価してください。
もう轢き逃げネタは致しません。
感想を開放して毎日お待ちいたします。
どうか何卒ご評価いただきたく思います。
どうか、評価を