持ち主が不幸になる
持ち主が不幸になる絵があります。
その絵はアトリエで油彩を用いて描かれた後、最初に、偉い富豪さんが買い取ったのです。
ですが、この絵を額縁に入れて飾った途端、外せなくなったのです。
でっかいお屋敷の壁に飾ったそうなのですが、壁から外すことも額縁から外すことも出来なんだのです。
それだけじゃありません。
その絵を買ってから、奇妙な声が聞こえるのです。
うぅぅ、とか、ぅぁああ、とか。
うめき声のような声が、毎夜毎夜聞こえるのです。
それに、体調も悪くなって、食欲もなんだか沸かなくて、ふくよかだった富豪さんは痩せこけてしまったそうなのです。
気味が悪くなった富豪さんは、その絵を売りに出すことにしました。
とは言っても、壁から外すことが出来なんだのですから、普通には売れません。
ですからその富豪さん、壁を切り取って、壁ごと売りに出したのです。
物好きな方が居るもので、呪いの絵、なんて名前で売られたその絵はものの数日で買い手がついたそうです。
でもその絵が運び込まれた日、そのもの好きな方の家が燃えてしまったそうです。
大変な大火事だったそうで、三日三晩もかけてようやく火は消えましたが、家財一切殆ど燃えてしまったそうです。
でも焼け跡にたった一つ。
まるで火事なんて無かった様に綺麗な、額縁が残っていたそうです。
壁も絵もほとんど焼けてしまったのに、その額縁だけが、無傷で残っていたそうなのです。
持ち主が不幸になる額縁だったんですね。