悪夢
一回書けたーって思ったのに謎に半分くらい消えました。悪夢です。
みなさん台風大丈夫ですか?
自治体の避難勧告に従って、早めの避難を心掛けて下さい。
彼は、目が覚めると、いつもぐっしょりと汗に塗れている。
驚嘆する程の早鐘を打つ心臓が、口から飛び出るんじゃ無いかと思うような、緊張。恐怖。
カーテンの閉まった、薄暗い筈の部屋が、眩しく思えるほどの、瞳孔の散大。
何か、酷く恐怖を味わったような。恐怖?
ーー恐怖と言うにはあまりにも。絶望。狂気。いや、言い表せない。ボキヤブラリイが足りない。心底からの、魂の奥底からの、恐怖。
けれど、それを何一つ迚覚えていない。
それが夢であったのか、何なのか。
朝には何一つ残って居ないのである。
或る晩の事である。
彼は煎餅蒲団に寝そべり、グイとタオルケツトを引き寄せて、其の日の事を思い返していた。
そうするうちに、やがてウトウトと襲い来る眠気に彼は抗わず、スゥと夢の中へ墜ちていった。
気付けば、彼は暗闇の中に居た。
此処は何処かと、周りを見渡そうとしても、まるで、押さえ付けられているように首が動かない。
首から背中にかけて強い圧迫感を感じる。
痛みは無い。ただ何か、言い様の無い感覚が横たわっていた。
痒みとも違う。眼の前で他人の指を切り落とされるのを見た時、指に走るあの感覚。
透明の靄のような感覚が、彼を覆っていた。
起き上がろうと腹筋に力を入れるが、こわばったように動かない。
足を動かそうとして、そこで初めて足に意識を向ける。
感覚が無い。まるで足が切り落とされたかのように。
そこで、太もものあたりに、先程よりいっそうに強い、奇妙な感覚だけがあることを気付いた。
痛みは無い。思考は異様にクリアだ。
故に加速する恐怖。
異様にクリアな思考が、この状況に対する恐怖をどんどんと増産していく。
得体の知れない感覚。動かない体。ガス灯も月明かりも無い、慣れぬ暗闇。
ーー助けて呉れ!
叫んだ。否、叫ぼうとした。
声が出ない。
喉が、まるで潰れたように、声を出すことができない。
極まった恐怖に、心臓がこんなにも早く動くのかと、ドドドと音を立てる。目が見開かれて、瞳孔がキュウと開いて、暗闇がほんのり見える。
赤黒い柱。朱い本。紅い蒲団。
どれも見覚えがあった。ーー只、どれも一様に赤く染まっていることを除けば。
厭にクリアな脳髄が、我が家が倒壊したのではと思う。
なれば、この赤は。この血は。自分のものか。
大怪我をすると、痛みなど感じないと聞く。
この感覚はそれなのか。
ーー私は死ぬのか。
これ以上があろうかというほどに、口から吐き出されんばかりに、まるで暴走機関車のように、心臓が煩く騒ぎ立てる。
覚えが在った。この感覚。夢。いつも朝起きた時の、ぐっしょりと汗に塗れた、あの時のような。
そう気付いたとき、ぐわんと、世界が揺れた。
目が覚める。ぐっしょりと汗に塗れている。
世界はまだ揺れている。
地震。
未だ夢の内容を覚えて居るのか。ーー何故。
クリアな思考は答えを出す。出して了う。
忘れさせる必要はもう無いのだ。
最早それは予知では無いのだから。
嗚呼、そうか、もうーー
家屋が崩れ去る音と共に、彼はまた暗闇へと戻っていった。
ーー評価を呉れ!
叫んだ。否、叫ぼうとした。
声が出ない。
喉が、まるで潰れたように、声を出すことができない。
極まった感情に、心臓がこんなにも早く動くのかと、ドドドと音を立てる。目が見開かれて、瞳孔がキュウと開いて、暗闇がほんのり見える。
5つ並んだ☆。ブックマーク釦。
どれも見覚えがあった。ーー只、どれも一様に灰色に染まっていることを除けば。




