自動販売機
自販機で見慣れない飲み物を見かけること、ありますよね。
カニ雑炊とか、あたたか~いコーラとか、瓶に擬態した缶ジュースとか。
それは何の変哲も無い自販機でした。白い機体に飲料メーカーのロゴが貼ってあって。
なんならスタンプアプリが使えて。QR決済もICカードも使えて。
でも、なぜか、そこには奇妙なものしか置いていなかったのです。
前述のような、 *飲み物* と言って差し支えないようなものではなく、
いや、カニ雑炊は食べ物ですけれども、
*血* とか、*生ゴミ 東京* とか、 *目* とか、
そんな、飲用を想像するだけで吐き気を催すような文字が、シンプルな黒い缶に書かれているのです。
その日、私はなぜだかどうしても気になってしまって、 *血* を一缶購入しました。
不思議と後ろ暗い気持ちから、周囲を見渡しながらプシュリと缶を開けると、ほんのり血腥(ちなまぐさ)い香りが漂って来ました。
買ってしまったのだから、と、
エイヤという気合とともに口へ一口含んでみますと、
途端に口の中に鉄のような錆臭(さびくさ)さが広がります。
口の中を切った様に、量が量ですからそれ以上に、口を満たす匂い。反射的に嗚咽(えず)いてしまいました。
でも、本物の血のようなその味から、
服に着いてしまったら容易に落ちないのではないかと思い、口元を抑えて必死に堪えました。
徐々に鉄臭さに慣れてくると、その奥に隠れていた甘みが感じられます。
流石に缶一缶、それも大きめの500mlを飲み干すのは無理でした。
そうっと側溝に流し込んでしまいました。
空き缶は、家で表面を削ってゴミに出しました。原材料には *血液(ヒト)(非加熱処理)* とのみ書かれていました。
その後、ヒトの血液が見つかったと近所で話題になっていたそうですが、その頃私は肝炎で入院していたので聞きませんでした。
東京にある自販機なんですが、ガラナが売ってました。
ご丁寧に北海道限定とも書いてありました。




