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chapter9:友人は休むことを忘れない

 5月27日

 ――テスト当日の朝。


 この学校の中間テストは、三日間かけてテストが行われる。

 かなーりめんどくさい。


 まぁ、テストは何となくでする思いだったが、賭けをしたせいでそうもいかなくなってしまった。

 負けてしまうと、妹の分と姫野の分という、お母さんかと言わんばかりに作らなければならなくなる。


「はぁー、、眠い。」


 前日は、朝5時までやってたせいか、やけに眠い。

 日頃しないことをするのは、本当によろしくない。


 教室は、やけに静かでいつも話しかけてくる俊哉達も最後の確認と言わんばかりにプリントとノートを確認していた。


「俺も集中するか。」


 そんなこんなで、すべての三日間のテストが終了した。

 結果は来週の月曜日にすべて発表される。

 各学年の上位50名は、屋外の掲示板に名前と一緒に掲載されるらしい。

 まぁ、手ごたえはあったが、流石に順位は高くないだろう。

 結果発表の三日後に期待しよう。


 朝、今日は土曜日。

 テスト明けで寝ていたいところだが、出掛ける予定がある。


「お兄ちゃん、しゅんにぃーが来てるよ。」


「あ、うん、今行くよ。」


 疲れていたのか、アラームを掛けていたのに気づかなかった。

 ベットから出たくないが、ゆっくりと体を起こし、玄関へ向かいドアを開けた。


「よぉ、寝起きだな??、ははっ!」


「すまんな、今準備するから。」

「上がってていいよ。」


「おう、んじゃ、お邪魔するぜー。」


しばらくして準備を終えてリビングへ向かうと、雫と俊哉がゲームをしていた。


「久しぶりだな、二人がゲームしてんの。」


「ん??、あぁ、そうだな。」

「お前ん家に上がる事、そうそうないしな。」


「それもそっか、最後に来たの、高校受験の勉強する時だったしな。」


 もう半年も前のことで、その時に俊哉の妹、楓ちゃんも来ていた。

 雫と楓ちゃんは、俺らの迷惑にならないようにゲームをしていた。

 時間的に、飯を作るときに4人リビングに集まった時、楓ちゃんが手伝ってくれていて、代わりに俊哉が雫の相手をしていた。

 まぁ、雫がゲーム強すぎてボロボロに負けてたけども。


「今日は勝ってんのか??」


「ふん!、勝ってると思うのかよっ!」


 集中していた。

 しかし、惨敗なようだ。


「ぎゃー!!」

「また、負けた、、」


「しゅんにぃー、弱すぎー。」


 笑いながらに煽っていた。

 俊哉は「もう一回!」と言っているが、流石にお出掛けの時間だ。


「しゅんにぃー、出掛けるんでしょ?」

「また今度遊びに来た時でいいから、行きなよ。」


 その言葉を言われた俊哉は体をシュンとして、俺と玄関を出た。


 ――家を出てからの道中。


「なぁ、今日どこに行くか聞いてないんだが、どうするんだ??」


「あぁー、この前、楓と一緒に買い物しに行ってただろ?」

「俺も一応妹が世話になってるからな、雫ちゃんに何か買ってあげたくてな。」


 へぇ~、なんか友達として完璧すぎんよ俊哉...


「そ、そっか。きっと雫も喜んでくれると思うよ。」


 そして、再び俺はショッピングモールへと来たのだった。


「しっかしまぁ、相変わらずここは広いなぁー。」


「そうだな、子供の頃はよくはしゃいだもんだな。」

「でも、俊哉何買うか決めてるのか??」


「いや、来てから決めようと思ってたからな。」

「楓と一緒だったら考えるのも少し楽だったかもな。」


「まぁ、俺もあいつの好きな物、言うて知らないからな。」

「学校で一緒に居る楓ちゃんの方が俺より詳しいかもだからな。」


「んじゃ、俺は少し周り見てくるわ。」


「おけ、俺は日用品買いたいから生活コーナーら辺に居とくよ。」


「はいよー、またあとでな。」


 そう言ってお互いに分かれた。


 しばらく日用品を買い、時間が空いたのでモール内を歩いていると―――。


(あれ? あの人って...)



(このぬいぐるみ、かなり可愛いのだけれど、この機械はどうやって動かすのかしら。)

(お金を入れるところだと思うのだけれど、よく分からないわ。)


 俺は遠目にUFOキャッチャーの前で、たたずんでいる彼女を眺めていた。

 まぁ、なんとなくたたずんでいる理由が分かる気がする。恐らく操作の仕方が分からないのだろう。

 どんだけお嬢様なんだよ。


 俺は彼女に声を掛けることにした。


「よう、何してんだ? 姫野さん。」


「ひゃっ!!」


 UFOキャッチャーを凝視していた彼女はその声に反応してビクッとしていた。

 少し驚かしてしまったようだ。


「ああー!! すまん! 驚かせるつもりじゃなかったんだ!」


 こちらを向いた彼女はぷくーっと頬を膨らませフンっとしていた。

 機嫌を損ねてしまったようだ。


「なに? 休日まであなたに会いたくないんだけれど?」


「会ってすぐにそれは酷じゃないか??」

「せっかく、目の前の可愛らしいぬいぐるみを取ってあげようと思ってたのになー。」


 そう煽ると、彼女は「ハッ!」っとした表情をし、UFOキャッチャーを一度見て、俺の方をもう一度見て、またUFOキャッチャーを見た。


 なんか、俺がいじめてるみたいじゃないか...


 「それ、そんなに欲しいのか??」


 「え、あ、いえ、そこまで欲しいわけでは、ないわ。」


 彼女はその言葉と同時に気持ちを押し殺すようにシュンとした表情をしていた。

 いや、ほんとに俺がいじめてるみたいじゃねぇーかよ!!


 「あぁー! わかったよ! 取ってやるから少し機嫌治せ。」


 俺は機械の前に立ち、一回、また一回と操作をした。

 隣に居る彼女は少し張り付くように取る様を見ていた。

 

 そして、開始4回目ぐらいでやっとぬいぐるみが取れた。


 「ほらよ。」


 下から出てきたものを取り出し彼女へ渡そうとした。

 目を輝かせながら見ていたから、すんなり受け取るのかと思ったが彼女の事だ、そうもいかなかった。

 

 「ん? どうした?」


 「あ、いえ。」

 

 彼女は何故か躊躇っていた。

 まぁ、分からなくもないが俺はこれを持ち帰ってもいらないから、受け取って欲しいところだが…


 「他人から施しを受けるのは嫌か?」


 「そんなんじゃないわ。」

 「その、いつもあなたばかりに頼ってしまっていると思って。」


 「なんだ、そんなしょうもない事かよ、いいんじゃねぇか? 友達なんだし。」


 「と、友達…そうね受け取っておくわ。」

 「ふふっ!」


 そう言って彼女は素直?に受け取ってくれたが、ありがとうは欲しかった。まぁ俺も欲張りすぎか。


 そうこうしていると時間が過ぎており、俊哉を待たせるわけにもいかないので、ここでお別れすることにした。

 

 「すまんな、友達待たせてるから、もう行くわ。」


 「えぇ、私こそごめんなさいね。」

 「それと、ありがと…」


 彼女は少し大きいぬいぐるみで顔を隠しながら照れくさそうに言った。

 可愛いやつめ!


 そうして姫野と別れた後、辺りを歩いていると俊哉を見つけた。

 見ると手にかなりの荷物を持って歩いていた。

 

 「おーい、しゅんー!!」


 彼は「お?」とした感じでこちらを見て彼も手を振っていた。


 「お前なんだよ…その荷物量。」


 「いやはや、生活品とか買ってるとついな、ははっ。」


 「にしてもだけど…もう買い物はいいのか?」


 「あぁ、もう流石に持ってかいるのがしんどくなるからな。このぐらいにしとくよ。」


 「そうか、んじゃ帰りますか!」


 そうして俺らのテスト明け休日は幕を閉じたのでした。


  …――――「はぁ…優くん元気にしてるかな。」

 

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