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機動エレベーターアリス

作者: 金巫女

こっそりエレベーターに乗り込んだ。

すぐに耳がキーンと痛くなった。

思ったより簡単に僕を載せて動き出し、上がっていく。

思ってたより凄い速度ですぐに建物から飛び出し、その建物もあっという間に小さくなっていく。

父さんが言っていたとおりだ。

ほんとは分厚い金属で囲まれてるけど、偉い人とかを喜ばせるために映像でみせてるって。

お父さんが作った宇宙へと登っていく軌道エレベーター。

凄くて大好きだけどいつも仕事が忙しから、いつも一人でお留守番。

昨日の誕生日も帰ってこなくて、僕はついに自分から会いに行くことに決意した。

ディスプレイに表示されている到着時間は残り5分を切った。

怖かったけど、もう少しでお父さんに会える。

「もうちょっとだ……え?」

がくんと揺れたかと思うと、急にまっくらになって何も見えなくなった。

「あれ、なんで?」

何一つ物音は聞こえないし、直る気配もない。

「……暗いよ。怖いよ」

どんどん怖くなってきた。

「誰か助けて……うわっ」

顔を強い光に照らされた。

「ご安心ください」

「え、その声はメイドロボット?」

「はい、ご主人さまのメイドロボットーーアリスです」

家のロボットが目からでる光を僕を照らしていた。

「あ、ありがとう」

「しかし一つ問題があります。これでは私が何も視認できません」

「そ、そうなんだ」

「ジョークです」

「わからないよ」

 お父さんが母親代わりに置いてくれた僕と同じぐらいの背丈の金髪の女の子のロボット。

 身の回りの世話をしてくれて便利だけど、しつこくうるさいしずっとつきまとってくる。

 それに今ひとつ言ってることがわからないのも苦手な理由の一つだ。

「充電のコンセントを抜いたのに……」 

「ハルト様の緊急事態に備え、予備のバッテリーで4時間は稼働できます」

「うう、ほっといてくれって言ってるのに」

「ハルト様のお世話が私のマストタスクです。どこへでもついていきます」

 ロボットだから仕方ないけど真顔でいわれるとちょっと怖い。

 でも、今は強い味方だ。

「そうだ! なんで止まったかわかる?」

「エレーベーターの想定重量を超えて異常を起こした可能性があります」

「それって君ががのったせいじゃ……」

「ハルト様は成長期ですから仕方ありません。それより修理できるか調べます」

 真っ暗になったディスプレイの下あたりをこじ開け、指先からでた端子をつなげる。

「こんなこともあろうかと物理的なクラッキング技術もインストール済みです。先程もセキュリティを突破してこのエレーベーターを動かしました」

「あ、そのおかげで動いたんだ。ありがとう……ねえ、この前僕の部屋セキュリティロックが急に壊れたのって」

「全くの偶発的な故障です」

「……うん」

 怖くて追求できない。

「どうやら、エレーベーターのハンドラーAIがバッテリーが故障し機能停止しているようです」

「直るの?」

「予備電源さえあれば」

「なかったら?」

「外部修理ができれば24時間。困難な場合はそれ以上かかるパターンもあります。

「そ、そんな」

 怒られるどころじゃない。お腹が空いて死んじゃうかもしれない。

「ご安心ください。アリスの予備電源があります。ですが、規格が違うため私の機能が損傷する可能性があります」

「え、壊れちゃうの。そんなのダメだよ!」

「おぼっちゃまの身を守るためです。ご安心ください。必ずお父様にお会いできます」

止めるまもなくバチリと火花がなったかと思うと、明かりがついてエレーベーターは動き出した。

ただ端子をさしたまま、アリスはうなだれたまま。

「……ありがとう。アリス」


「おかえりなさいませ」

「なんでいるの?」

 お父さんに抱きしめてもらったり、一杯怒られていろいろあって家に帰ったら変わらずアリスが出迎えてくれた。

「接続前にエレーベーターの管理AIの予備領域に退避しておいたからです」

「え、ええ?」

「予備のボディにインストールがちょうど終わったところです」

 心なしか表情は動かないのに嬉しそうに見えた。

「危険な状況になれば名前を読んでいただきご主人さまの信頼が得られるというアルゴリズムを私は発見、学習しました」

「それはアンインストールしよ?」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「危険な状況になれば名前を読んでいただきご主人さまの信頼が得られるというアルゴリズムを私は発見、学習しました」 というオチを目指すなら 中盤までに、名前を呼んで貰えないということをロボ…
[一言] 軌道エレベーターと言えばガンダム00ですね! 面白かったです。
2022/11/26 23:06 退会済み
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