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石造りの建物についた。
どうやらここは中継地点となっている場所らしく、街へ向かう馬車が出るそうだから、それに乗ることにした。
そこらへんの落ち葉を拾い集めて手に入れたお金が、すべてなくなった。といっても、元の母数が大きかったわけではないから、当然だ。
荷物が詰め込まれている中に僕がぽつんと座っている。まるで僕自身が商品のようだ。それを口にすると馬車の御者は大笑いしたが。
街へは思ったよりも早く着いた。日が落ちる前にたどり着くことができたので良かったが、生憎と文無しの御身分であらせられるので、森で落ち葉を拾い集めて、お金を増やしておく。
スキルの能力なのか、拾い集めた落ち葉は、落ち葉ストックというほぼ無限の容量を誇る異次元空間に収納されるようだ。
あとは、枯れ葉や青葉に関係なく、木の種類によって落ち葉から手に入る経験値が違うようだ。お金は大差ない。
街につくと、荷を降ろす御者と別れ、門に入る。
意外にも門番はいないようで、街の中も人の気配があまりない。
人の気配なんてかっこよくいったが、僕が見つけられるのは落ちた髪の毛やごみ、塵、埃といったものだ。
それらの少ない街は過ごしやすいものかと思ったが、全く違うようだ。
手当たり次第にドアを叩いても返事はない。門の近くの住宅街にはまるで人がいないのだ。
ただ、反対側に行けば、おじいさんやおばあさんが居て、温かいご飯をごちそうしてくれた。
「よく来たのぉ。お疲れじゃろう。ほら、マリーや、飯を食わせてあげようや」
「そうしましょうね。おばあのご飯は若い子には合わないかもしれないけど、どうか食べてって」
と、半ば強引に、ご馳走になった。
味は素材の味が引き出されたもので、齢八十を裕に超えるであろうお婆様の叡智が詰まっているものだった。
個人的には、もう少し味の薄いものが好きだ。ボリュームは十分すぎるほどで、どうしてここまで優しくしてくれるのか、疑問だったほどだ。
それは次の日の朝に理解することとなったのだ……
「おはようございます。ご馳走から泊まる場所なんて、何から何までしていただいて、感謝してもしきれません」
「ええんじゃ。わしらはあんたの半分も生きられんじゃろう。だから、少しのお節介で天国へ行こうとしてるだけなんじゃよ」
なんて歳を卑屈に言っているが、おじいさんもおばあさんも、二人ともかなり元気に見える。
半分も生きられないのは、僕が若いというのもあって本当になってしまうかもしれないが、それでも、老い先短いとはとても言えない。
きょとんと呆けた顔をしてたらしく、おじいさんが疑問たっぷり、疑うような視線と言葉をかけてきた。
「まさか、君は知らんかったのか! なんと労しい。このような純朴は青年が……」
おじいさんとおばあさんは泣いてしまい、僕はどうすればいいのか、わからなくなってしまう。
「どうして、泣くんですか?」
「それは……ここがもうすぐ墓場になってしまうからじゃよ」
次話 11/3 5:00