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精霊様からクラスアップについて説明してもらった。
レベルが一定の値以上に達すると、スキルを更なる段階へ進ませることができるそうだ。
ランクの低いスキルほど、クラスアップに必要なレベルは低くなるそうだ。
そして、クラスアップを行うことで、スキルの有するランクが上昇し、それとともに、スキルの内容が変化することがあるそうだ。
『クラスアップはここではできないよ。クラスアップするためには世界樹に行けばいいんだ。何なら今すぐ連れて行ってあげようか?』
と聞かれたので、すぐに帰ってこれるのなら、是非と答えた。
『じゃあ、二分ぐらいかかるから。行ってらっしゃい!』
目の前が白い光に包まれると、また違う場所に出てきた。
これまた目の前にあるのは木で、精霊樹も大きなものだったが、それ以上にこの木は大きい。間違いなく世界樹だろう。
世界樹にクラスアップがしたいと伝えると、無言ではあるが、許可が下りたような気がした。
世界樹はクラスアップを承認すると、自分の枝を伸ばした。
枝からは、雫が滴る。それを飲むことで、クラスアップできた
世界樹が【種まき:E】【草刈り:D】の二つのスキルへ進化したと教えてくれた。もともとあった、【落ち葉拾い:F】も健在とのこと。
クラスアップは一瞬で、実感はわかないが、草刈りや種まきをしたいという衝動があるから、進化したのだと思う。
そして、世界樹から種を授かった。これを植えるといいらしい。ただ、植える場所には気をつけろと再三注意された。しゃべってないけど。
感謝を伝えた時点で、精霊樹の場所へ戻ってきた。
『僕も君にお願いすることはないかな。種まき頑張ってね』
そして、もとの場所へ戻ってきた。
青かった精霊樹はもとの遠くから見たときと同じ緑色になっていた。これはこれで趣があって良いと思う。
「どうだった、ワカバ? 僕は戦闘系のスキルを持つ軍所属の人間だからレベルは教えられないんだ。だから、数値までは教えなくていいよ」
というのは落ち葉を拾う前だ。落ち葉を拾う前は12だったものが388だ。
そんな簡単にレベルが上がるものではないと思う。
「おーい、ワカバ。考え事か?」
世界樹まで連れていかれている間はほとんど時間が経っていないと聞いたが、少しのタイムラグはあったようで、三秒間ほど呆けていたようだ。
「ああ、レベルについて少しね」
「まあそんなとこだよな。じゃあうちに案内するよ。ついて来てくれ」
彼、クレイと仲良くなったのは、僕が落ち葉拾いをしていたことに由来する。
僕も彼も、共通の趣味を持っている。それはもちろん、掃除だ。綺麗にするのではなく掃除をするのが好きだというところまで同じだ。
そして、彼の実家は宿屋を営んでいて、そこにお邪魔することにした。
「ワカバも同じ掃除好きだから、親父に頼んで安くしてもらうよ」
そう彼は言ってくれるが、精霊樹の落ち葉拾いでかなりのお金を手に入れている。今までの落ち葉拾いでは100Gといった程度だが、精霊樹ともなると、100MGにまで増加する。十の六乗だ。一円と100万円ほどの差ができている。
それに加えて、大量の落ち葉を拾うことで、経験値とお金を潤沢に手に入れられた。
「大丈夫。道すがらの分もあるし、意外貯蓄はあるんだ」
「嘘つけ。金がないから死にかけたくせに」
素直にクレイの実家にお世話になります。
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