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僕は精霊樹にお願いされたから、落ち葉拾いをした。
一枚一枚、きれいになりますようにと願いを込めながら。
バイト先の先輩からは、掃除には綺麗にして喜んでもらうという心が大事なのだと伝えられていた。僕もその教えに従い、綺麗になるようにと心を込めて掃除をしていた。
可能ならば【掃除:S】とかのスキルが欲しかった。
落ち葉を集めて収納する。作業自体は簡単なことだが、一抱えしても全然足りないほど大きな幹を持つ木だ。落ちている葉っぱの量も段違いで大変だ。
『ありがとう。綺麗になってすっきりしたよ』
清掃が終わったときに、依頼者から感謝の言葉をかけられることがある。
僕はできることが少ない人間だから、自分のできることをやってそれを誉められるのはとても幸せだ。
『そうだった。僕が教えてあげるよ、君のレベルを』
本来の目的はレベルを知るため。
一緒に来たクレイ君もいつの間にか落ち葉拾いを手伝ってくれていて、二人で掃除に来たのだと錯覚してしまった。
『君のレベルは388。クラスアップが二回できるよ』