プロローグ7
現実世界でドライカレーを食べ終えてゆっくりしているところだった。
「?なんか・・・焦げ臭くないか?」
食べ物が焦げたような匂いではなく、木が焦げているような匂いがする。そんなことを考えていると玄関に通じるドアの近くにある。マンション掲示板(個人用)が点滅していることに気がつく。こんな夜遅くに管理人から連絡が来るとは珍しい。
『緊急連絡!!男女3人により放火され既に2階付近まで燃え広がっております。中に残っている人は、身の安全のためシャワーカーテン及びスプリンクラーを起動させて下さい。何故かわかりませんが、こちらで起動させることが出来ません。皆様の無事をお祈りいたします。』
「・・・・・・は?」
メッセージが来た時間は1時間くらい前である。ちょうどログアウトしてルンルン気分でドライカレーを作ろうと考え始めた頃の時間帯だ。いやそれよりも、1時間前に放たれた火が8階にいる自分の所まで上がってきたと考えた方がいいのだろう。自分の部屋は夜は自家発電に頼っていたので気付かなかったが、自家発電を回していない固定電話はうんともすんとも言わない。ネット回線などは生きているが危険を知らせるモノはすべてマンションからの電気が通っていないとわからない。こんなことなら分けておくべきだった。と後悔するももう遅い。8階まで火が来たということは、シャワーカーテン等は全て無駄に終わったと考えられる。いや1時間もっただけまし、と考えるべきだろうか。この部屋を水浸しにすれば生き残れるだろうか?・・・いや無理だな。時間稼ぎが関の山だろう。ではどうするべきか・・・いや最後に何をしたいのか。
「あぁ、そういえば真のエンドコンテンツ実装されたんだっけ。」
思い出したのは鋼代愛唄に最近実装されてトップ層がレイドを組んでいっても未だにクリアできていない、真のエンドコンテンツと呼ばれるものだった。
「一人でクリアしたら伝説になるな・・・よし逝くか。」
水を流しっぱなしにし、スプリンクラー等も起動させてVRポッドに入る。防水・防火・防雷これ単体で通信可能と色々詰まって70万もした。そんなに盛っても何処で使うんだと思ったものだが、こんなところで役に立つとは。ついでに生放送でもしとくか。