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七話

1日2回投稿とかしてみたかったんです。

というわけで本日2話目。

今回は原黒目線でございます。

鬼の清野はもう少々お待ちを。


今日はあーしにとって、人生最悪の日だった。

何が最悪だったかって?

取り敢えず朝登校するまではいつも通りだった。

今日もあーしは玄関でギャル仲間のミキ、サヤの2人と合流して、教室に向かう。

すると周りの生徒はあーし達を見た瞬間、顔を引き攣らせて道を譲るんだ。

毎朝これを楽しみにしてる。

それからミキ、サヤとくだらない話をあーでもない、こーでもないとだべりながら教室に到着。


教室に入ると廊下の時よりももっと直接的な恐怖がみんなの顔に浮かんで、もうサイコー!って感じ!


今日は気分がいいからクソ陰キャ眼鏡でもからかおうと、あいつの席に行くとまだ来てなかった。


「んだよ、あーし達にいじられる以外に存在価値ないくせに」


せっかくアガってた気分が台無し。

これは放課後呼び出し確定コースだね。


しかしいくら待ってもクソ陰キャは来なかった。

まさかよりによってあいつが遅刻するとも思えない。

モヤモヤした気持ちを抱えながらホームルーム中スマホをいじっていたら、


「たのもー!」


頭のおかしな女がとんでもないイケメンを連れて教室に飛び込んできやがった。


どうやらあのおかしな女の言うことには、イケメンはうちのクラスの人間らしい。


って、そんなわけないっしょ。

そんなイケメンいたらあーしが手を出さないわけが無い。

まあこのクラスに来てない人間はいると言えばいるけど……



――って、ええええええええええ!?


あのイケメンが、クソ陰キャ眼鏡!?

いやいやいやいや、そんなわけが無い。

あーしの聞き間違いだろう……。

そう思ってミキ、サヤに目配せをすると、2人とも目玉が飛び出るんじゃないかってくらい驚いてた。

あーしたちは真意を確かめる為にイケメン(クソ陰キャ眼鏡)に脅しを掛けてみた。


するとそのイケメン(クソ陰キャ眼鏡)はあろう事かおかしな女の後に隠れて――。

その瞬間あーし達の中で、このイケメンはあのクソ陰キャ眼鏡だって決まった。


しかしそれはあーし的には最高だった。

最近欲求不満だったし、金貰わなくてもあんなイケメン押し倒せるなら全然アリ。

つまりクソ陰キャ眼鏡の使い道が増えたということだった。

しかしあろうことが、このアタマのおかしな女が暗にこのイジメを解決するとか言い出したんだ。


今思い出しても本当に頭来る!


せっかく教師の弱味を握って好き放題出来てたのに、この女が手を出すことで崩壊したらあーしたちの立場が危ない。

そのままそいつは昼にまた来るとか言って、去っていきやがった。

まあ、いうて負ける気はしなかったし、取り敢えず2年の黒石さんの名前借りて、最悪あの鬼の清野の名前出せば確実にあの女は追い出せるハズ。


昼までは取り敢えずクソ陰キャに手を出すのはやめておいた。

あの女にどこで揚げ足を取られるか分かったもんじゃない。

クソ陰キャはかなり居心地悪そうにしていた。

あーし達以外の女子全員は5分に1回見てただろうし、男子は嫉妬の視線を送ってたんじゃないかな。

面食いのあーしがとんでもないって思うほどのイケメンだしね。

まあ放課後あーしが食べちゃうけど。


そんでもって、待ちに待った昼休みが来た。


また「たのもー!」とか意味わかんないこと言いながらおかしな女がクラスに入って来る。

さぁ、ここからが正念場だ!



結果を言えばうちらの圧勝だった。

おかしな女もジジイが名誉校長とか、かなりやばいこと言ってたけど、『鬼の清野』には叶わなかったらしい、最高の気分だった!

これで何の憂いもなくクソ陰キャに手を出せる!

そう思ってあーしはあいつの肩を叩いて、「放課後あーしについてこい」となるべく低くした声で脅した。

別にこんなことしなくても、あーし達に入学以来イジメられてたこいつなら素直に頷いて付いてくるっしょ。

案の定声も出さずに頷いたクソ陰キャは大人しく席に座った。

よしよし、それでいい。

まあ今回はあいつも気持ちよくなれるからWinWinっしょ。


すると突然、ガタッと音を立ててクソ陰キャが立ち上がった。


ん? 一体どうしたんだ?

クソ陰キャの方を見れば、小さな声で「帰ろう」とか呟いてんのが聞こえた。

帰ろうとか舐めてるとしか思えない。

そう思ってクソ陰キャの腕をつかみ、


「おい、クソ陰キャ。放課後ついて来いって言ってんでしょ、なに帰ろうとしてんの?」


と、イラつきを込めて言い放った。

大抵の男子はこれで大人しくなるし、あーし達の言いなりであるクソ陰キャに関して言えば、オーバーキルだから安心してた。

でもやつは、


「うざいんだよ、いつもいつも。気持ち悪いからくっついてくるな」


と言ってあーしの手を強い力で振り払った。

そのままクソ陰キャは廊下に出て行く。

あーしは呆然と立ち尽くすしかなかった。

きゅーそねこをかむ? とはこのこと何だろうか?

とにかく反抗された怒りとか悔しさとか全部忘れて、全てを驚きが支配した。


我に返ったのはミキとサヤのお陰。

2人に声を掛けられて、クラスメイトに異様な目で見られていることに気づいた。

あんな奴にやられてやがる、結局偉そうなのは雰囲気だけだったんだな、言外にそう言われてる気がして、あーし達はクソ陰キャを追いかけた。

落とし前とかよくわかんないけど、やり返さないと気が済まない!


ミキとサヤが先頭を切ってクソ陰キャに声を掛けた。

「唯に何してくれてんの!?」みたいなそんな感じだった気がする。

その言葉にクソ陰キャは足を止めてこっちを振り返った。

よし、あーしがボロクソに言ってもう一度私の支配下に置いてやる。

何よりクラスメイトに舐められたままじゃいられない。

振り向いたクソ陰キャの顔を、あーしは目をギュッと顰めて睨んだ。

まず視線で牽制だ。

しかし視線を合わせた途端、ビクッと身体に寒気がした。

クソ陰キャの顔はまるで鬼の形相だった。

前にいたミキとサヤは1歩ずつ下がってきて、クソ陰キャは1歩ずつ近づく。


何も言わず、一歩、また一歩と鬼がこっちに向かってくる。

その様子はまるで、まるで……!


「おい」


「ひいいいいっ!」


あーし達は最後にはプライドも何もかなぐり捨てて走って逃げた。


女子トイレに3人で駆け込む。


そしてどれも何も言わずに呼吸を整えた。

あーし達は舐められちゃいけない。

例え死ぬほど怖いことがあっても、

――例え、あの時のクソ陰キャが中学生の頃見た鬼の清野にそっくりだったとしても。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

初めてスマホで執筆してみたのですが、意外と難しいですね……。

少しだけギャルの気持ちが、わかったりわからなかったりしたかも知れません。

また、今回はあくまで自分が思うギャル像を文章にしたので、少しわかりづらいところや、少々の時代背景のズレなどがあったかもしれません、ご了承ください。

ではまた次回お会いしましょう、それでは。

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