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六話

お待たせしました、六話です。

七時ごろに一度、草案を間違えて六話として五分ほど投稿してしまい、すぐに削除させていただきました。

読んでしまった方は申し訳ありません。

これが本当の六話です!

因みに内容は全く違います……。

そして久々の朝投稿です!

「――君の悩み、私が解決しよう」


「「「「は?」」」」


 ギャル三銃士含め、俺も同時に頭にはてなマークが浮かんだ。


「ちょ、何言ってるんですか!? 悩みを解決って、何が悩みかもわからないでしょう!?」


「こんな光景を見せられて悩みが分からない方がおかしいと、私は思うが」


「つーかあんたいつまでこの教室居るわけ?」


「さっさと帰れよ」


「うざい」


「全く口の減らない奴らだ。まあいい、昼休みに再びこの教室に私は戻ってくる、それまで待っていてくれよ、榊」


 ギャル三銃士の悪口に全くこたえた様子のない謎の女性は俺の肩をポンと叩いて教室から出て行った。


 一体何だったのだろうか。ギャル三銃士たちも興が削がれたのか、「チッ」と舌打ちをして席に戻って行った。


 それから昼休みまで髪を切ったことによる鋭い視線にさらされ続け、授業は全く耳に入らなかったし、時々聞こえてくる自分に関する噂話も気分を害する原因だった。

 今までずっと無視されていた弊害なのだろうか。


「たのもー!」


 昼休みに先輩が来た時にはもうグロッキーで、これから起こる言い争いを聞いていられる気分ではなかった。

 勢いよく入って来た先輩。

 それに警戒を示し、少しずつ近寄っていくギャル三銃士。


「ふーん、よくこの教室にこれたね」


「まさかこの私が大事な後輩を置いて逃げだすとでも思っていたのか?」


「逃げ出してもおかしくない状況だとは思うけど?」

 

 ギャル三銃士の内の一人、リーダー格である原黒唯は自信満々に言った。


「あーしたち上の世代とも結構繋がりあるんだよね、アンタの代で言うと黒石さんとか」


「んな!?」


 あからさまに彼女が驚く。

 そこまでワルで有名なのだろうか。


「フフフ、それにOBとかで言えば鬼の清野って言えば分かるかな? まだあったことないけどLONEではいちお友達なんだよね」


 んん? 鬼の清野? どこかで聞いたことあるような……。


「何、鬼の清野だと!? そ、そんな危険な輩と組んでどうする、最後には仲間までタコ殴りにする男と聞いたぞ!」


 思い出した、『futuro(フトゥーロ)』の清野さんだ! あんないい人が鬼の清野な訳無いな。

 一応帰りに聞いてみよう。


「まあリーサルウェポンってこと。それで? あんたはなんか勝算があって来たんじゃないの?」


 勝ち誇ったような笑みで原黒が先輩を挑発した。


「あ、ああ。鬼の清野の所為で話が飛びそうになったが、私の祖父はこの学校の名誉校長ってやつでな。そうなった理由は省くが、この学校にはかなり幅が利く。さあこれが私の武器だ、貴様らはどう出る?」


「めッ、名誉校長!?」


 思わず俺が驚いてしまった。


「そうだ、この高校を作るにあたってかなり多額の金を出資したらしくてな」


「た、確かにこの高校って出来まだ三十年経ってないですけど、まさか先輩が名誉校長の孫だなんて……」


「で、でもそれは肩書だけでしょ!? 何か実力行使できるならしてみなさいよ!」


「そ、それは、だな……」


 徐々に声に張りが無くなっていく先輩。

 どうしたんですか。


「ほら! 名誉校長だなんて言ってるけど実際は何もできないんでしょ! さっさと帰りな!」


「クッ! 柳詩織という名を覚えて置け、必ず榊君を助けに戻るからな!」


「ちょっ! 先輩! どこ行くんですか!」


 半泣きのような顔で教室から出て行ってしまった……。

 それにしても柳詩織先輩か、嫌な名前の覚え方をしてしまったな、そんなことを考えていると、


「おい、陰キャ。放課後あーしについてこい」


 低い声が耳元で囁かれる。

 俺の立場は最後まで変わらなかったのか。

 あまりに暗い現実に足元が歪んだ。

 結局、こいつらに抵抗しないまま終わったな、俺。

 いつもいいようにされてイジメられて、何も変わらなかった。

 キッカケ次第で変われるっていうけど、そんなのは嘘っぱちだ。

 切りたての髪を触りながら席に着く。

 

 ――でも、本当にこれでいいんだろうか。

 

 ずいぶん昔に抑え込んでいた感情が渦を巻いて俺を飲み込もうとする。

 『本当に復讐しなくていいのか?』『お前は悔しくないのか?』『最後ぐらい抵抗してもいいんじゃないのか』……。

 そんなもの、俺だって復讐したいし悔しくて胸が焼き切れそうだ。あのギャルたちだけじゃない、義母も義妹も全部、全部!


 ガタッと音を立てて俺は立ち上がった。

 俺はもう死ぬ。自殺するんだ、何も怖いものは無いんじゃないか?

 そう考えた途端急に胸が楽になった。


「帰ろう」


 一言呟き、鞄を持った俺は昨日同様早退することに決めた。

 昼休みが終わるこの時間帯に家に帰ることは珍しいのでみんなの視線を集めるが、全く気にならない。


「おい、クソ陰キャ。放課後ついて来いって言ってんでしょ、なに帰ろうとしてんの?」

 

 後ろから原黒が走って来て俺の袖をつかんだ。

 今まで恐怖の対象だったあの原黒が途轍もなく矮小な存在に思えた。


「うざいんだよ、いつもいつも。気持ち悪いからくっついてくるな」


 俺は今まで溜まってた鬱憤と共に、掴まれた袖を思い切り振り払うと、玄関に向かって歩き出す。

 ————ああ、なんていい気分なんだろうか。

 心臓は未だにバクバクと跳ねているが、それさえも今は心地よかった。

 足取り軽く廊下を歩いていると、


「ちょっとあんた!」


「唯に何してくれてんの!?」


 後ろから原黒と共にギャル三銃士の残りの二人が走って追いかけてくる。

 なんだ、次から次へと……。

 しかし、今生の別れである原黒の焦った顔が見てみたいと思った俺は、目を細めて振り返った。

 眼鏡が無いのでもう少し近づかないと無理か……。

 一歩ずつギャル三銃士たちに近づいていく。

 コツ、コツ、コツ……。

 近づくたびにギャル三銃士が下がっていく。

 

「おい」


「「「ひいッ!」」」

 

 どうして下がるのかを聞こうと思っただけなのにギャル三銃士たちは見たことも無いような表情で走り去って行ってしまった。


「まあいっか、早く清野さんのところに行こう」


 死ぬと決めた人間は結構強いものだなと、身をもって体験しながら俺は帰路についたのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

ここから少しずつ慎太郎が変わっていければいいなと思っております。

それではまた次回『鬼の清野!?』でお会いしましょう、それでは。

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