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二十三話

お待たせして申し訳ありません。

今回は清野サイドで、慎太郎が『futuro』を出発した後の話になります。

~清野side~


 俺は閑静な住宅街にある、とある民家のインターホンを押した。

 ベルの音が家に響くが誰も出る気配がない。


「おかしいな、母親は働いていないはずだけど」


 もう一度インターホンを押して待っていると、やっと家の中から足音らしきものが聞こえてくる。


「はぁい? また先生? 何度も言ってるけどあのクソガキは帰ってきてないわよ――って、あんた誰?」


 出てきたのは子供が二人いるとは思えないほど乱れた姿の女だった。

 髪の毛はぼさぼさで肌もボロボロ。服はキャミソールの上に毛布か何かを羽織っているようだがいろいろと見えてしまっている。

 たるんだ腹とかセンスのない下着まで。

 少し息が上がっているし、もしかして今ヤッていたのか?

 まさか、こんな奴が慎太郎君の母親じゃないだろうな……。

 

「おい! 早く戻って来いよ! 続きが待てねーぞぉ!」


 奥から男の声か……。

 これは確定だな。

 まさかとは思ってたけどここまで家庭環境が悪いとは……。


「あんた用がないなら戻っていい? 彼が待ちきれないみたいなんだけど」


「ああ、申し訳ありません。私慎太郎君の担任の代わりに参りました、キヨカワと申します。慎太郎君はご在宅ですか?」


 今すぐに殴り飛ばしてやりたいが感情の思うままに生きていたら昔と同じだ、落ち着くんだ。

 そうやって自分に言い聞かせながら当たり障りない話と偽名を使って話を進める。


「だからいないって言ってるでしょ。あんたちゃんと耳付いてるの? 話はそれだけ? なら私は戻るけど」


「えっと、どうして家にいないかはご存じないですか?」


「知らなーい。どうせ家出かなんかでしょ? もしくはどっかで野垂れ死んでるんじゃないの。私的にはもう帰ってこなくていいんだけど」


 その一言で額に青筋が浮かんだのが分かった。

 久々だ、こんなにキレたの。もう帰ってこなくていいだと? お前が今すぐこの家から出て行ってくれないか!

 

「この害悪ババァが……」


「え? なんか言った?」


「いえ! 何でもありませんよ。それでは慎太郎君がお家に帰ってきたらご連絡お願いします――」


「おい、あんた何もんだ?」


 もう怒りが抑えきれそうになさそうだから、とりあえず店に帰ってどう潰そうか考えている時だった。

 彼女の背後から上半身裸の大男が出てくる。

 そのまま俺の目の前に立ち、グイっと胸倉をつかんできたのだ。

 はぁ、こういう輩ともつるんでいるのか。救いようがないな。

 呆れて物も言えないとはこのことか、睨むどころか冷めた目で彼女を見つめると、大男が勘違いしたのか怒鳴り散らし始める。


「なんだその目は! 俺が誰だか知ってんのか、おい! 俺のバックにはなぁ、あの鬼の清野が付いてんだぞ!」


 お前の後ろにいるのはどうしようもなく救いようのないクズの母親だよ。

 そんでその鬼は――。


「前後不覚ですよ」 


 俺の胸倉を掴んだ手を握り無理やり襟を離れさせ、その手を思い切り手前側に引き込む。

 そのまま体を反転させて肩に引っかけてそのまま背負い投げの要領でコンクリートに叩きつけた。

 頭から血が出てるけど、まあほっといても大丈夫だろう。


「ぐああ!」


「まあ、こんなもんか。それでは慎太郎君のお母さん、連絡待ってますから」


 急な出来事に驚いている彼女を襟元を正しながら睨みつければ、


「ひいいい!」


 と情けなく叫んで腰を抜かしてしまっていた。

 これくらいで腰を抜かすなら案外復讐も簡単に済みそうだ。

 

「次は、慎太郎君の義妹かな」


 俺は榊家を去りながら義妹とどうやって話をするかを考えていた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

それではまた次回お会いしましょう。

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