十三話
更新が遅れてほんっとうに申し訳ありません!
前回の投稿から一週間も間が空いてしまったことを謝罪いたします……。
文字数も少ないです。
ただ、明日も投稿します!
「ふう、これで完了だよ慎太郎君。今日は長いことお疲れ様」
清野さんが俺の髪を乾かし終わって、額の汗を拭う。
返してもらった眼鏡を通して鏡を見れば、髪の毛の色は数時間前と想像もつかない変化をしていた。
「ミルクティーっぽい色になったね、イケメン君」
「そうですね、綺麗な色でとってもいいです」
未だキシキシと痛む髪を撫でる。
本当に生まれ変わったようだ。
「それじゃあ最後に写真撮ろうか」
「はい」
清野さんはどこから取り出したのか、デジカメを既に構えている。
「なるべく笑ってくれると嬉しいな」
「笑う、ですか……」
「そー言えばイケメン君今日一度も笑ってなかったね。笑顔って言うのはこ―やって――!」
三木さんが不意に後ろからほほをつまんできた。
「ひょっと! そんなことしにゃくても笑えましゅから!」
無理やり口角を上げられて喋りにくいったらありゃしない。
頭を振って無理やり手を解く。
「じゃあ笑いますよ、いいですか?」
「うん、いつでもシャッター切れるようにしておく」
「それじゃあ……」
俺はここ一年で死んだ表情筋に鞭を打って強引に口角を上げた。
「ニィー」
パシャパシャッとシャッターを切った音がする。
さあどうだ、今のは上手く笑えたのではないだろうか!
期待の籠った瞳で清野さんを見つめた。
しかし、デジカメで撮った写真を見た清野さんは、
「笑わないパターンも撮ろうか……」
そんな!
そしてとうとう写真も無事撮り終わり、『futuro』を後にする時間がやってきた。
「いやあ、慎太郎君には本当に感謝しているよ。君のおかげでいい宣伝になりそうだ」
「いえ、こちらこそ何から何まで……」
「イケメン君これ私の連絡先!」
三木さんは相変わらず俺の名前を呼ぶつもりは無いらしい。
「まあ落ち着けよ三木。慎太郎君は龍との打ち合わせで明日もうちに来るんだから。それにもう遅い時間だし、親御さんも心配しているだろう?」
親御さんが心配か……。
確かにもう夜の十時を回っているし、普通の親であれば心配するのだろう。
しかしうちは普通ではない。
寧ろこのまま家に帰りたくなかったが、これ以上清野さんに心配をかける訳にもいかず、ただ頷いた。
「なんなら私が送るよ!」
「なんで三木が送るんだ。むしろ送られる側だろうに」
「はッ、そうか! イケメン君どうか家まで!」
「はいはい、一人で帰ろうな」
「フフッ」
二人の楽しそうなやり取りに思わず笑みが零れた。
こんないい人たちと知り合いになれてよかったと、心の底から思う。
「ああ! イケメン君が笑った!」
「何!? ちょっとデジカメを持ってくる!」
「いや、俺はもう帰るんで! 写真はまた明日!」
死んだと思っていた表情筋はまだ生きていたらしい。
でも顔が火が吹くほどに熱い。
「それじゃ!」
『futuro』に背を向けて走り出す。
もしかしたら俺の人生はまだ希望があるのかもしれない。
ほんの少しだけ、そう思った。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
明日も投稿します。
そして話を進める!
とんとん拍子で!!
それではまた次回!