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十一話

更新が五日ほど空いてしまって申し訳ありません!

所要が! すべては所要のせいなのです!

なかなか片付くめどが立たないので、これからはしばらくこのペースになるかもしれません。

ゴメンナサイ……。


「これでシャンプー終わりだよ!」


「あ、ありがとうございました……」


 シャンプーの途中延々にプライベートな質問攻めを受け続け疲れ切ってしまった。

 なんだかんだ俺の身体に触ってこようとかは無かったけど、イジメられている時の精神的なストレスとはまた違ったストレスがあることを今知った。


「お、慎太郎君そしたらここに座ってくれる?」


「はい」


 シャンプーを終え、清野さんのところに戻ると何やら怪しい液体を携えて立っている。


「それを頭にかけるんですか……?」


「そうだよ、これを満遍なく塗布することで髪から色素を抜くんだ。ちょっとヒリヒリするかもしれないけど我慢してね!」


「ええ、痛いんですか!?」


「まあブリーチ自体頭皮に良くないからね」


「……帰っても?」


「まあまあ落ち着いて」


 席を立とうとすると清野さんが肩を押さえつけてくる。

 あれ、力強すぎないかな?

 

「安心してよイケメン君。私たちに任せれば今以上にイケメンになれるんだから!」


 三木さんは無駄にかっこよく手袋をはめて、どや顔をしていた。


「いや、別にかっこよくないですよ?」


 しかし俺の声は届いていなかったのか三木さんは何食わぬ顔で準備を済ませ、


「それじゃあ行きますよ、店長」


「おう」


 劇物(染髪料)を俺の髪に塗り込むのだった。









「そういえば慎太郎君」


「なんですか?」


 髪の色素が抜けるまでの間、清野さんたちと雑談をしていた。


「『ジアース』のスカウト、どうするの?」


「ああ、そのことですか。もちろんお断りするつもりですけど」


「断るの?」


「はい。モデルになれるほど整った容姿をしているとは思えませんし……」


「そんなことないよ! イケメン君はイケメンだよ!」


「うわ! びっくりした! トイレから戻るなり大声は辞めてくださいよ! 後俺は慎太郎です」


「でもイケメン君――じゃなくって慎太郎君はイケメンじゃん。モデルになったら人気出ると思うけど」


 三木さんは不思議そうな顔でモデルを断ろうとしている俺の顔をじっと見つめる。

 そりゃ普通の人ならモデルにスカウトされたら喜んで受けるだろう。

 でも俺はそんな器じゃない。

 どうせモデルになったって他のモデルからイジメられて――


「慎太郎君、大丈夫か?」


 どうやらしばらく黙り込んでしまっていたらしい。

 清野さんが心配して声を掛けてくれた。


「すみません、大丈夫です」


 清野さんは安堵したように笑いながら、「そっか」と言って話を再び始めた。


「でもモデルになるのは慎太郎君の為にもなると思うよ?」


「俺の為、ですか?」


「そう、君の為だ。憶測で人を語るのは失礼なことなんだけど、おそらく慎太郎君は学校でいじめに遭ってないか?」


「え? どうして……」


「やっぱり。いや、最初に会った時あまりにも怯えているのが目に見えてね。ずっとそうかもしれないって思ってたんだ。失礼なことを聞いてごめんね」


「そ、それはいいんですけど……。そこにどうしてモデルが関わってくるんですか?」


「もちろんその憎きいじめっ子に復讐するため――」


「三木はちょっと黙っててくれ」


 突拍子もないことを口にする三木さんの口を手で押さえて清野さんは続ける。

 三木さんが「フガフガ」言っているのは気のせいと言うことにしておこう……。


「それで話を戻すけど。話の本筋は三木の言っていることとあまり変わらない」


「え、本当に復讐するんですか!?」


「いや、復讐なんてそんな手荒なことはしないよ。でもイジメを無くすことくらいならできると思うんだ」


 清野さんはいつになく真面目な顔で語り始めた。


「カットモデルに誘った時も言ったけど、慎太郎君はビフォーとアフターの差がかなりある。それも、いい意味でね? それを利用するんだ」


「利用?」


「うん、慎太郎君が髪を切る前はお世辞にもカッコいいとは言えなかった。でも今の慎太郎君はお世辞抜きでイケメンなんだ。今日学校に行って女の子からの視線を感じなかったかい?」


「まあ、少しは……」


「その視線はビフォーとアフターによるギャップが生み出したものだよ。みんな慎太郎君がかっこよすぎて見惚れてたんだ」


「そんなまさか!」


「いいや、この予想は絶対に当たっていると言い切れるね。それでも慎太郎君が信じられないならそれでもいいけど、実際モデルにスカウトされたのがその事実を証明してるんじゃない?」


「んん……」


「まあ今は飲み込まなくてもいいさ。俺が言いたかったのは、『ジアース』にモデルとして登場することが最も慎太郎君のギャップを活かせるってことなんだから」


「成る程、モデルになったカッコいい慎太郎君を見せることでクラスの連中を見返すってことですね!」


 いつの間にか清野さんの拘束を抜け出した三木さんがそんなことを言う。

 そしてその言葉に俺がずっと押さえつけていた『復讐』の二文字が再び熱を持ち始めた。

 俺をクラスから除け者にしてイジメてきたギャル三銃士、それに媚を売って金を奪っていった手下の男子、それを黙認していた担任やクラスメイト――。

 俺に今そいつらに復讐するチャンスが巡ってきている。

 一度その思考に陥った俺に、それを拒む手は無かった。


「そうですね。モデルのスカウト――受けてみようと思います」


 鏡には嬉しそうに頷く三木さんと、感情の読めない笑みを浮かべた清野さんが映っていた。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

先日総合ポイントが15000を超えまして、この機会にこの作品を読んでくれている方々に改めてお礼を言わせてください。

本当にありがとうございます!

今のところエタらせるつもりは一切ございませんので、これからもこの作品を読んでいただければ幸いです。

それでは。

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