異世界 1ー5
無事、異世界に渡り2日目の朝を迎えられた。
昨日夜遅くまで、付き合っていた為か熟睡したと思う。
それにしても、静かな夜であった。
小屋は目立つから、潰しておこう。
このまま、採取しながらいけば、街には昼過ぎにつくとのこと。
ちょっと提案があるといい、話を始める。
「2人は、先に街に戻り、ギルド長と話を付けて欲しい。身分登録をしに来るジュンという人物から、物を受け取り、しっかり検品したものを当日商人ギルドに運んで欲しいと。しかも、秘密裏にお願いしたいと。そして、俺は、当日午前に悪徳商人の所に余った薬草を売りに行く。その売り上げを今回の報酬とするよ。だから、それまでは街であっても知らんぷりして欲しい。良いかな?」
「わかった」「いいっすよ」
「マイク達にも、そのように伝えてくれ。では、ご飯食べていきますか。ご飯代は後日で良いかな」
「あー要らない」
「?何で」
「昨日、あれだけの事を教えてもらったんだ。充分だ。むしろこっちが支払わなければと思うくらいだぞ」
「そういうものか?よくわからないが、効果が出てたらご飯代と相殺で、効果がなかったら支払おう」
「わかった」
暫く歩いていると、2匹のスライムが目の前に現れた。
2人が構える。
見守る俺。
「センヒャク」「マイナスロクジュウ」
詠唱がおかしくなってますよー。つっこみたいツッコミタイ。
スライムの方は、ブスブスと蒸発してスライムポーションに、もう片方は凍りついたままであった。
俺が小石を拾い、渡すと、勢いよく投げて命中と同時に破砕されたスライムからスライムポーションが出た。
2人は喜んだ。スッゴク喜んだ。泣くほど喜んだ。
俺は、退いたけど。
スライムを倒せるのは、ごく一部らしい。
もちろん、ソロでの話だが。
武器も効かないし、魔法も効かないし、攻撃はしてこないから無視してもいいが、倒せるなら倒してポーションをもらいたいのだとか。
その仲間入りが出来たと、大喜び。
俺が、刀をだし、シュパンと斬っちゃうまではね。
「いつまで、固まってるんだ。行くぞ」
遠くに見え始めてる街に近づきながら、採取しまくった。
お昼前に、街についてしまったので、約束通り別れて先に街に入ってもらう。
2人が、門番に2.3言葉を交わし、無事門を通りすぎる。
俺の番が来た。
「止まれ、お前はここムラクモの住人ではないな。何しに来た」
「何しにと言われましても、取り合えず身分書の発行に」
「身分書だと?持ってないのか?」
「はい」
「無くしたのか?」
「いやー(自世界の身分書は持ってたけど)急にこの世界に飛ばされちゃって何も(手には)持たずに来ちゃいました」
「そうか」と言い、ちらっと門の飾りを見た。
門の飾りが、嘘発見機になってとなっているだろう。
特に、反応がない。
「薬草を持って無いか?」
「薬草ですか、手には少し持っていますがこれだけ持ってても仕方ないので、どうぞ」
「これは、我らへの労いか?」
「その様に」
「まあいい。これが仮の身分書だ。身分書発行してもらったらその受け付けに渡せばいい。ギルドはこの道をまっすぐいけばわかるはずだ」
「ありがとうございます」そう言って頭を下げる。
お昼時なのだろう、飲食店が賑やかに繁盛しているそうだ。
活気の無い街では無さそうだ。
確かに迷わず、ギルドに着けた。
木造だが一際でかいし、冒険ギルドって書いてあるしね。
建物の中に入ると、数人の冒険者が振り向くがすぐにもとに戻る。
そりゃそうだろう、普通のおっさんが入ってきたのだからな。
受付と思われる所まで行き、挨拶をする。
「はじめまして、ジュンと言います。身分書等登録したいのですが?」
書類に目を通していた女性は、顔をあげるやちょっと驚いた顔をするも、すぐに平常心になり奥へと案内してくれた。
ギルドの奥に通じる廊下を歩く途中で、人が立っていた。
「あっ副長。こちらがジュンです」
「ほーあなたがジュンですか。ギルド長から話はうかがっております。私についてきてください。あなたは持ち場に戻るように」
「はいっ。あっでも」
「ジュンについてはこちらで全てやりますよ。」
「わかりました。失礼します」
「改めて、はじめまして。私はここのギルドの副長を勤めている、キアラと言います。お見知り置きを」
「はじめまして、ジュンと言います」
「早速ですが、本題に入っても?」
「どうぞ」
「ここでは何です。場所を移動しましょう」
俺は静かにうなずいた。
廊下を歩く音が静かに響いている。
足を留め、目の前の扉を開き、外に出る。
外といっても、渡り廊下で、その先の倉庫のような建物に繋がっている。
副長と一緒に建物に入る。
そこは、何らかの作業場のような場所であった。
1人の男がこちらに気が付いて、よってきた。
「副長、こんなところにお珍しい。どうしました?」
「挨拶ですね。昨日も来ましたがハンス」
一呼吸おく副長そして、「彼はジュン、先程ギルド長がおっしゃってた方です」
「そうか、おいお前ら、ここから先はトップシークレットだ。この街の運命に関わることかもしれない。他言無用守れない奴は出てけ」
かっこいい、俺にとっちゃ小塚い稼ぎなんだけどね。
「いいな、では始める。まずは、ポーションを出してくれ。俺の鑑定が済み次第、この箱に入れていく」
「ほーこの箱はなんだ?」
「知らないのか?」
「知ってたら聞かないよ」
「この箱は、時知らずの箱と呼ばれるものだ。この中に入るもので、蓋をすればこの中は時が止まり物が劣化しなくなる訳だ。基本な」
「そんな物が有るのか。基本なとは?」
「基本木だ。壊れたらそれまでだ」
「結構ボロいが?」
「昔、王様が作らせたものがあったが、それが古くなったってことで新しいのを作ったんだ。そのときに下げ渡されたものだ」
「そうかわかった。何本出せばいい?」
「50本だ」
ポーション、スライムポーションと順調に箱に納めていく。
同様に、一箱千本づつ薬草も収めた。
「ふー疲れたあー。取り合えず、これで数は揃った。後は当日商人ギルド方に届ければ良いのだな」
「疲れたって、鑑定してただけでは?」
「鑑定も、魔力は使う。もう今日は仕事できそうにない」
すると、副長が「これだけの数をこなしてもらえば、無理もないだろ。今日は上がるか?」
「いや、整理とかまだだからもうすこしやっていきますよ」
俺思う。
HpやMpの数値がでなかったからと言って、魔力というもの自体は存在しているのだと。
だったら、俺の体の魔力は言うまでもなく多いはず。
人に分け与えるつもりで、そういうイメージをしてハンスの肩に手をおいて、「そう言わずに頼むよ。毒草沢山あるんだ引き取ってもらいたい」
「だから言ってるだろ。鑑定にも魔力・・・何した!」
「ん?肩に手をおいて頼んでるだけだが?」
「肩に手をおいて頼んでるだけだが、で、魔力が戻るかい。しかし、やっぱり無理だ。毒草などの草は大抵1週間程度で効力を失う。この時知らずも箱がなければ保管不可能だが、箱自体が今ここに1つしか残ってない。これから冒険者たちも納品に来るだろう、少なくとも今日は無理だ。あー毒草を加工して、毒液にするなら買い取れるぞ」
言われて、毒草の加工を試してみる。
収納画面を開き、毒草を1つ移動、1つの毒草の画面を長押し、反応ありました。
毒液作るのに有料だそうです。
残念、そこで、毒液を1つ貸してもらった。
眺めたり鑑定してみる。
そして、もう一度チャレンジすると、無料で加工可能だった。
作ってみると、毒液は見事に瓶入りだ。
どうも、この状態なら1ヶ月は持つらしい。
1ヶ月たつと、効力を失い置物と化するらしい。
置物になった物の瓶の蓋を開けると、チリになって消えるとのこと。
因みに、この毒液は相手を死に至らしめる物ではなく、弱めるに過ぎないものらしい。効力は色々らしく、こと人においては個人差があり、数時間で元に戻るらしい。
摂取量にもよるがとのこと。
瓶の中身を使いきれば、チリになって消えるが、蓋を開けてしまうと、使用してなくても1時間ほどでチリになってしまう。
呑みものに混ぜても1時間ほどで効力を失うものらしい。
これは、ポーションにも同じことが言えるらしく、基本的な考えだと教えてくれた。
ポーションは、薬草で出来るそうなので、やってみたいと思・・・出来ました。
「で、いくつなら買い取れる?」
「何をだ?」
「ポーションとスライムポーションと毒液」
「各1000本までだ」
「じゃ、はい」1000本づつ、3000本出す。
「いきなり出すな。あー全部しまってくれ」
少しガヤつくも、皆手分けしてしまっている中、俺は指差して「あの箱貸してくれないかな、じっくりみたい」というと、戸惑いながら貸してくれた。
「作れないかなー」と呟きながら、ペタペタ触ったりしていると、副長が「作れるはずがありません。これは、何人もの魔術師が集まり特別な場所で作製した物で」「出来たー」「だから、作れるはず・・・はい?」
「はい、ハンス。いい出来でしょ」
「うむ、出来てるな」
「そんなはずは・・・」固まる副長をおいて、
「これ何かわかるか?」
「わかるかってどう見たって、巾着じゃん」
「そうなんだけどな、鑑定すると量知らずの箱って出るんだ。どう見ても袋だろ」
「袋と箱の違いよりも、量知らずってなんだ?」
「そこが、わかんない」
俺は触ったり、ひっくり返したりしたが、何もなさそうに見えた。
手を突っ込んでも空洞になっているだけである。
巾着だから、布地をひっくり返そうとしたが、なかなかひっくり返らない。
壊しても嫌なので、止めた。
聞けば、金持ちのじいさんが肌身離さず持っていたそうだが、亡くなって、息子が二束三文で売りに来たそうだ。
俺は、口を大きく開けた巾着を見ていたら、画面が急に表れたので目をそらしてしまった。
再び見たら、何もなかったが3秒くらいたってまた表れた画面を覗く。
どうやら財布がわりに使っていたのだろう、全ての貨幣が30万枚づつ入っていた。
出し方は、画面の選択肢と数量の選択しOkを押すだけ。
その後、手を突っ込んでもいいし、ひっくり返してもいい。
色々見れたおかげで、量知らずの箱も作れることになった。
そして、時・量知らずの箱という新たなものも作れるようになっていた。
クエストアイテム オークション
唐突に画面が出てくる。
どうやら、クエストアイテムに盛り込まれているが、オークション型式らしく、オークション価格と、書かれているものは作ったものをオークション出来るようになってるらしい。
で、今作れば出せるものは、このようになっている。
クエストアイテム オークション
時知らずの箱 箱の中に入れ蓋をすると、中の物の時が止まる。箱の強度と入れられるものは、箱の素材、作り方で決まる。 1箱 オークション価格
量知らずの箱 蓋の無い箱で、何でも入る。箱の大きさい以上に数倍入るが限界はある。 口以上の大きな物は入らない 1箱 オークション価格
時・量知らずの箱 量知らずの箱に時知らずの機能がついた箱。 1箱 オークション価格
俺は思う。
神様はこれ、要らなくねえ?と。