異世界 1ー4
カッコいい台詞を言っておいてなんだけど、確認したいことがいくらでもあるが、まずは、借金の事だ。
「借金いくらだよ。金で返せないのか?」
「無理だ、金貨280枚だ。集まるわけないだろ」
「これら仕入れてきたんだろ?だったら仕入れずにそのまんま返せば良かったのでは」
「仕入れた街は通常の3分の2程で仕入れられる。そして、ここから片道3日かかる」
そっかー、じゃ金貨で払うのは難しいか。
金貨集められないのかな?あー御免、金貨って?
「貨幣の数え方、教えてくれない?」
「「「「えっ?」」」」
沈黙が続くと思ったが、すぐにマイクが懐からサイフのようなものを取りだしコインを並べていく。
貨幣は、一番低いのから、アルミ、鉄、銅、銀、そして、金を出して説明してくれた。
アルミ貨が10枚で鉄貨が1枚だ。
順に10枚ずつで次の貨幣に移る仕組みになっている。
これは、俺にはわかりやすい。
アルミ貨・・・・1円
鉄貨・・・・・・10円
銅貨・・・・・・100円
銀貨・・・・・・1000円
金貨・・・・・・10000円
白金貨・・・・・100000円
「280万円か」
「今なんて言いました?280万とか」マイクが聞き返してくる。
「あー280万だろ。アルミ貨が1とした場合の考え方さ」
「あーなるほど、そのように考えたことがありませんでした」
「どうやって280万貯めるかだな、金でも問題ないんだろ」
「そう言われりゃそうだ。何で薬草だったんすか?」
おっと、若いの名をラントといったか、その疑問良いですね。
「そりゃ、ドランの野郎が、店を返してほしくば、薬草で納めろと言ったからだろ」
「そう言って、街中の薬草を買い占めたからでしょ」
「だから、仕方なく外に買い出しに言ったんじゃないか」
皆さん、微妙なところで気づいていない様子、俺の推理があってればだけどね。
「そうやって、外で買わせた薬草の中に毒草を仕込んで、取引を汚したと追い込み、店を乗っ取り、返せない分は奴隷として売っ払うつもりなんだろ」
「最後の追い込みとして、スライム集団を襲わせたんだろ」
ふと思うことを聞いてみた。
「薬草だろうが、金で返すだろうが、口約束じゃないよな。正式な文書で取引してるよな」
「取引場所と時間は?」
「商人ギルドで4日後の午後1時だ」
「はい?」
「何かおかしいですか?」
「おかしくない。おかしくなさ過ぎて反って気味悪い。それとも、薬草を揃えられないと自信があるのだろうか?」
「わかりかねます」
「商人ギルドは、この事すでに承知か?」
「はい、私が街を出る前にその様にギルドと話してきましたから」
「その上で、街中の薬草を買い占めるのを黙ってみてると?」
「そこは、商人らしい言い訳でもあるのでしょ」
「通常銅貨1枚で買い取るところを、銅貨2枚で買い取ってるそうよ」
「ほーそこまでか、よほどの嫁さんなんだな」
「そーよ、私と違ってスッゴい美人よ」
見てみてーっと、まー後で見れるか。
そろそろ、本題に入ろう。
俺が今所持してるのは、微小魔石500スライムの分も合わせて、蜂の針500虫の羽500後は、薪と炭、そして、毒草だ。
スライムポーション200だ。
マイク達には持てるだけ持って、街に帰ってもらう。
ただし、ポーションとスライムポーション、薬草は俺に預けさせてもらう。
そして、俺は、ここらで薬草を集め1万貯まったら街に行き、全てを渡す。
街に戻ったマイク達は、街の中で薬草を集めてほしい。
このような作戦でどうだと聞いてみたところ、考え込まれた。
「俺に信用が無いのは百も承知だが、先程のスライムに囲まれている状態で、薬草集めは皆無だろ?俺だったらスライムを一掃できる。さっき見たよな。それとここいらは薬草の群生地だろ、半径1キロ範囲で約2000本の生えているところが2ヵ所、3000生えてる所が3ヵ所ある。スライムも相当数いるが、いっそうしちゃえば良いだろ。薬草も根っこまで取らなければ普通にまた生えてくるだろ。知識がないから、推測も含まれてる。間違ってるところがあれば、指摘してほしい」
「間違っちゃ無いが、ここが薬草の群生地だったとは知らなかった。スライム相手に出来るほどの奴が街にはいないからな」
「薬草が多くあるのは知ってたけど、そういうとこだったのね」
「あーつまり、1万集めるのはわけないと思うぞ」
「でしたら、1万本売ってください」そう必死に言ってくるマイクに俺はこう言った。
「嫌だ」あっみんな固まった。
「マイクには薬草1万本挙げるつもりだ。その上でやってもらいたいことがある。街中で薬草を少しでも高く買い取りをしてほしい。ただし、どんなに良い話があっても現金で買い取ること。そうすれば俺が街につく頃には、良い値段になっているだろう。その売り上げが俺に対する報酬とすることにしよう。もう1つ、必ず現金で買い取らず、何処からかツケで買うと借金が増えるだけだし、悪徳商人に目をつけられるぞ。必要分は必ず俺が、用意する。つまり、本気で薬草を集める事はない。必死に薬草集めに励めばそれで良い。安心して自然に値をあげてくれ」
「わかった」
「3人はどうする」
「ここからなら、馬車だと半日で着くし、薬草持ってなければスライムに襲われることもない。ジュンに付いていく」
「監視のつもりか?だったら信用してほしい。俺から言い出した金の匂いに便乗しただけだから」
「うん、信用できない台詞よね」
「俺も、ジュンに付いていくっす」
「ちょっと、ラント」
「何か面白そうっす」
「さっき、蹴飛ばされてたじゃない」
「あーんと、さっきのは蹴飛ばされていたように見えるっすけど、寸止めでしたよ。ビックリして尻餅ついた自分がいたかったっす。この人についてくと何か面白そうっす」
「私は、マーラが気になるし、マイクと帰るわよ」
「決まりだな、じゃ積み替えるぞ、皆馬車から降りてくれ」
手をかざし1秒で積み替え完了。
「終わったよ、何積んだか言うからメモとってくれ」
「メモ?必要か」
「別に、覚えれれば良いが大丈夫か、じゃ言うぞ。微小魔石500蜂の針500虫の羽500薪あーブナな300kg炭これもブナな300kg」
「えっあの」
「やっぱ覚えられないか?」
「いや、そうじゃなくて、どうやったのか、いや何処から」
「もういいから、早くいけ」
馬車を見送り振り返る。
「どうする」「どうするっすか」
「まずは、薬草を1万本集める。ついてくるか?」
「当たり前だ」「うっす」
「じゃ移動するぞ」
そういうと、ずんずんと草むらの中に入っていく。
暫く行くと、足を止めた。
「ここから、あの辺までが薬草3000群生だ」
「あのーさっきから殺気が、スライム達が集まってるんですけど」
「だろうね、薬草踏んづけながら歩いてりゃ付いてくるよ。2人とも動くなヨット」
瞬時に足元から群生地にエアーカッターのようなものを飛ばし、薬草を元とする草をカット、スライムを一掃するように氷付け、スライム粉砕し全て収納、スライムポーションに薬草に毒草だ。
あとは、名の無い草も。
「3216本だなぁ」
頭を抱え込む2人「なっ」「なんしたっすか」
2人の目には、スライムが凍る、そして破裂すると同時に、草むらが全体一瞬浮いたと思ったら消えたように見えたらしい。
あってるじゃん。
「今、説明欲しい?」
「いや、後で良い」「今すぐ」ゴンッ。
「後で良いっす」
似たようなことを、さっき確認できたところで行った。
太陽が、真上を少し通りすぎた感じに見えるので、お昼過ぎと思う。
朝からなにも食べてないから、聞いてみたところ、薬草と交換なら分けてもらえるとの事。
とはいえ、その辺に生えてるんだけどな。
携帯食は、固いパンと固い肉。
茹でて柔らかくして食べるらしい。
美味しく、頂きました。
「今更だけど、こんなにとっちゃって大丈夫か?絶滅とかないよな」
「ないない、どんなに滅ぼしても、勝手に増えるから問題無いな」
「なら、良かった。どんどんやってくぞ」
そう言って俺は、日が傾くまで街に近づきながら行うこと、37ヵ所まわった。
薬草だけで10万5千本程で、スライムポーションは千個ほどである。
夜営をすることになるが、2人は寝袋のようなものを持っていた。
俺の分はもちろん無い。
そうそう、あれだけあったクエストも今のところ無い。
俺は、土魔法じゃなかった、御都合主義スキルで土で出来た小屋のようなもにを作り、ベットモドキを3つ作る。
名も無い草を乾燥させベットにたっぷり引き、小屋の真ん中に炭を燃やすところを作った。
炭に火を付け、招き入れた2人にそれぞれベットをすすめる。
ビックリすることに飽きてきた2人は、素直にベットに腰をおろす。
「ジュン、お前は何者だ」
「その質問は、答えがややこしいので、答えたくない。ただあえて答えるなら、飛ばされてきたとだけ答える。飛ばした方法は俺も全く知らないから答えようがない」
「では、どのようにしてスライムを凍らした。」
「イメージだな、マイナス50度を意識したら凍った。それより上だと凍らなかった」
「いや、いってる意味がわからない」
「何となくわかるっす。氷を更に冷したみたいな感じっすか」
「まー言い方的にはあってる」
感のいい奴なのだが、どこか抜けてるような。
「スキルとか、属性とかあるの?」
「なきゃ困る。」
「そ、そうだよな。2人の属性は?」定番の質問をしてしまった。
「俺は、火だ。どんなに頑張っても薪に火を付けるぐらいにしかならんぞ」
「俺は、水っすね。冷たい水が出るくらいっすか。氷を出そうとかできないっす」
「もしかすると・・・」
ちょっと頭の中で考える。
こういう場合、絶対的質量と言うか、限界が早いと言うか、Mpが少ないと言う話もあるが、圧倒的に知識不足が目立つ場合が多い。
火の場合、火力がない、水の場合、氷にできない、そしてイメージは大体決まった詠唱である。
「そういえば、詠唱はあるの?」
「あるっすよ、でも長くて覚えられないっす。覚えないから氷がでないとからかわれるっす」
「そうか、俺の考えが正しければ今よりいい状態でスキル使えるようになるぞ。無駄かもしれないが聞いてみるか?」
「聞くっす」「聞こう、いや聞かせてくれ」
スキルを使い、土で水槽のようなものを作り、その中に水を張る。
同じものを10個用意した。
0℃から100℃まで、10℃ずつ違うものだ。
「まずは、どうやったという類いの質問は受け付けない。勝手な事して怪我しても、俺は、責任追わない。いいな」
うなずく2人。
「温度というものを知ってるか?」
首を横にふる。
「こっちが一番冷たく、こっちが一番熱いのは見た目でわかるか?」
「それくらいわかる」
「では、ここから、ここまでを順に触ってみてくれ、ただし、無理はしないこと」
そう言って0℃から50℃までを順に触らせる。
「ここまでは日常経験できることだと思う。そして、このお湯がこの中のちょうど真ん中である。50という数字に置き換えよう。そうすると、あっちが100でこっちが0になる。これが水で表せる暖かいと冷たいを数字に置き換えた形だ。この水は飲めるから、触ったり飲んだり数字を見ながら色々してみてくれ。火傷したら薬草あるし」
そう言って寝転ぶ。
一時間はたっただろうか、暇だ。ラノベ読みたい、有料ですけどどうするって聞いてくるのだよ、断ったけど。
数字化と言うものに苦戦していたのだが、わかってきたみたい。
テストとして、11℃の水、38℃のぬるま湯、68℃のお湯を渡す。
「10」「11っす」「40」「37っす」「70」「69っす」
近い温度で合格だよね、なにこの1℃違いの違いがわかるとか、ちょっと退く。
「合格だ。さて、ここからが本題だ。スライムは、このからさらに50冷やさないと凍らない。逆に100から900上げないと蒸発しない。1000だな。ここからは、目で見て判断してもらうぞ、見てみたい温度を口で言うんだ。この中をその温度にしてやる。マイナスは60まで、高温は、1500までだな」
色々な温度を言われながら、夜が更けていった。




