次の目的地を捜しに
こうしてエターナ達は盗賊達全員を捕まえた。 彼らの身柄は村の自警団が一時拘束した後に通報を受けてやって来た治安維持隊に引き取られた。
治安維持隊は名前の通りに犯罪を取り締まり等を行い国内の治安を守る組織だ
任務は武力による国防ではなく。あくまで治安を守り市民の暮らしを守る事に限定されていて指揮系統も王国軍とは別である。 作られて歴史も浅いため問題点も多く、充分に役目を果たしているとも言い難いが、それは時間を掛けて解決していくしかないだろう。
盗賊団のリーダーは元は別の仲間と遺跡荒らしをしていたが、ある時仕事でしくじって彼以外は全滅してしまった。
オートマタはその頃に手に入れたものであり、多少なりとも知識があったのはそのためだったのだ。 そのため危険な物であり迂闊に使えば、下手すれば軍にも目を付けられる可能性もあると分かっていたためギリギリまで使い事をしない分別があったのである。
その後はまっとうな仕事にも就く気にもなれず、別の仲間を集めて盗賊となったのが最近の事だ。
「今度はちゃんと反省して真面目に働きなさいよ」
連行されるリーダーに、エターナがそんな言葉を送ると、彼は苦笑しながら「ああ、気が向いたらな?」と答えた。
気持ち良く晴れた空の下、村の外へと向かう道をエターナ・シャインハートとアスト・レイは並んで歩いていた。
「……しかし、本当に僕と一緒に行くのか?」
「うん。 旅は地獄への道連れってゆーじゃん?」
銀髪の頭に乗っかているアインが「地獄は余計ですよ……」とツッコミを入れると、「あれ? そーだっけ?」と笑うエターナである。
「でもさ、昨日も言ったけど僕の旅は別にあてもないんだよ?」
アストは幼い頃から剣の修行に打ち込み、やがては世界一の剣士になりたいという夢を持つようになった。 だが、何をもって世界一とし、どうすればなれるかという事がまったく分からずある日父親に相談した。
『それはお前自身が自分で答えを見つけるしかないな』
それが父の回答であり、そしてその為に旅をして世界を見てくるといいと勧めてもくれたのだ。 それから一年余りか、未だに答えをアストは見つけていない。
「大丈夫よ~あたしだって同じようなもんだしさ?」
エターナが見たいというドラゴンだってどこにいるのか、そもそもこの世界に存在するのかも分からないのだ。 お互いに途方もないものを目指す旅人同士、一緒に旅をするのもいいかもねと、それがエターナの理由だった。
そんなエターナをやっぱり変わり者だなと感じつつも、こういう子と旅をするのも悪くないかもとアストは思えた。
「そうだね。 これからよろしくね、エターナにアインさん」
「うん! よろしくね、アスト」
「ええ、よろしく」
旅の仲間となった挨拶を交わした三人は、やがて揃って村の外へと出る。 次にどこへ向かうのか、それがまだ決まっていなくても、歩き続ければやがてはどこかに辿りつくのだと、エターナはそう考えているのだから。
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