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衛星探索Ⅶ~Road~

 周りはすっかり暗くなり、そしてゴォォォオとまるで悪魔でも出現するかのように風も吹き、空には溢れるほどの我先にと存在を表す星斗がこぼれる。



 一行は一向に宇宙船へ向かった。そうでないと、そろそろ前が見えなくなるのである。




「短期間旅行だったな......」


 ファットは少し寂しそうにして、彼女らとこの「氷星」に向かって声を落とした。

 彼も一人の研究者であり人間だ。ここまで変わった、そして興味深い星とお別れとは悲しいものだろう。




「あなたの言いたいことがわかるわ。短かったわね......」


 それが耳に入った彼女、ルーカスはその場の雰囲気で「過去」の話をしようとするが......



「そうだね......そしてあの鳥はどうするの?生体検査もきっちりとしないと有害かもしれないよ」



 またマーシェルが空気を壊すのか......と思ったが今はまともで真剣な目で二人を見ている。


 少しの疑問と少しの寂しさ。ちょっと異空間で、どこか繋がるような思いの交流は、すらすらと続いていく。がつんと構える土星をまた背景にして。







 こつこつ......こつこつかんかんこつ。


 不規則に変わる音の変化を楽しむ............余裕はなく、本格的に急がないといけなくなってきた。


 

 こつこつこつこつ......からたんたんたんと......。



 彼らが近づくと同時に、宇宙船「TB-Sα」はスリープモードから運転を再開する。熱風が最初からついていたので部屋はどうやら暖かい。


 そして黄色い回転するランプで、存在感を大にして待ってくれる。

 なんとも古臭いような......。





「目的地周辺。音声案内終了です」


 するとAIの声も静まり、ついに三人はその宇宙船へ、無事帰ってきた。



 金属の重いドアがまた、ガラガラガラと音を強く鳴らし彼らを受け入れる。




「......寒いわね。早く中に入ろう」



 久しぶりと感じる程のような、また暖かく温かい場所へ戻った。

 「おかえり」というのは悲しくもAIだが、それでも彼らは何か誇らしげに、思わず話しかけたくなるようなものを持っていた。




 自信のあふれだす彼らとともに、またこの宇宙船は、最後のミッションへと火を暴れさせて飛び立とうとしていた。

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