蛹《さなぎ》から蝶へ
「ん・・・」
いつの間に眠ってしまったのだろうか。とても温かく優しい夢を見た気がする。
ぼーっと見慣れぬ天井を見て、昨日の出来事が夢なんかじゃなかった事を再認識する。
暫くボーッとした後、明るくなった外を見てみようと起きあがった時になにやら違和感を感じた。
私の髪の毛は耳の下位の長さで髪の毛が垂れるなんて事はないのだが、起き上がった時にサラリとした水色の毛が垂れたのだ。
ん?これ髪の毛・・・?垂れた毛を引っ張ってみると、頭皮がクンッと引っ張られた。
「えっ?何これ!私の髪の毛なの??」
私はガバッと立ち上がっておとりちゃん達の部屋に走って向かった。
スパーーーーーンと音を立てて襖を開けるとクナト様の腕枕で眠るおとりちゃんの姿を見つけた。
わっ!なんか気まずい!・・・けど、それどころじゃない。
「お、おとりちゃん、起きて!」
私が悲鳴に近い声を出すと、おとりちゃんとクナト様がビクッてなって起きた。
「な、なに?どうしたの?いぶき・・・?」
「ビックリした・・・いぶきおはよう。ってアレ?」
「こ、これ・・・!!」
私は起き抜けの二人に両手で水色の長い髪の毛摑んでを見せた。
「お、起きたらこうなってて・・・」
「あぁ、いぶきの身体がここに馴染んできたんだね」
クナト様が背伸びをしながら私の疑問に答えてくれた。
「えっ?馴染・・・?」
「うん、いぶきは元々ここの神様だったから元の姿に戻って来てるんじゃないかな。おとり、いぶきに鏡を貸してあげて」
おとりちゃんが化粧台の引き出しから手鏡を取って私に貸してくれた。私は鏡を見て再び驚いた。
鏡に映る私は、平泉息吹とは全くの別人であった。
水色の髪の毛は腰の位置まで伸びて、目も大きくパッチリしてるし私の年齢よりも少し年上のお姉さんが映っていた。
私が向いた方向に向くし、鏡を持っていない方の手でほっぺたをつねると鏡の中のお姉さんも同じ事をする。
「えぇっ!これが私!?」
「驚いたわ。私よりも少し歳上に見えるわね。これじゃ妹というよりは姉と言ったほうがいいかも。・・・でも身体が大きくなってもいぶきは私の可愛い妹よ」
「おとりちゃん・・・。ありがどうぅ〜〜〜!!!大好きぃ〜〜〜!!」
「まぁ・・・うふふ♪私もいぶきが大好きよ。」
私はおとりちゃんの優しさに居ても立っても居られず、おとりちゃんに抱きついた。おとりちゃんはそんな私の背中を赤ちゃんを癒やすようにポンポンする。
「うーん、ほぼほぼ、いぶきの元の姿になっているね。このままいくと、もしかしたら記憶も戻るかもしれない」
クナト様が私とおとりちゃんの周りをぐるっと一周してしげしげと眺める。クナト様は口さえ開かなければ美形なので黙って見つめられると、イケメン耐性の無い私は少し動揺してしまう。あ、クナト様を好きになるとかそんなんじゃなくて、自然現象ですよ。ここは大事なとこなので、マーカーで線引いておいてくださいね!テストに出るかもですから!
いや冗談言ってる場合じゃなくて。いきなりおとりちゃんを追い越してしまった感が凄いが、なんというか、もはや私は人間ですらなくなってしまうのかという絶望的な状況にある訳で。もう本当に引き返せないんだという感情の方が強い。
「おとりの着物じゃ小さいな・・・」
ボソッとクナト様が私の胸元を見て呟いた。
ふとおとりちゃんと私とで改めて私の身体を見ると、確かに裾は寸足らずだし、お尻もちょっとキツい。何より胸が凄くキツい。
「わっ!胸がボンってなってる!!!」
胸元がはだけて谷間が出来ている。
「く、クナト見るなぁぁ!!!い、いぶき!着替えなくちゃ!!エロ神に見せていいものじゃないわ!!」
「ぶっ!!」
おとりちゃんが足元の布団をクナト様の頭に投げて、私の手を引っぱって私が寝ていた部屋へと向かった。