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神前式

 裏神栖村は今日も、良い天気。絶好のお祭り日和だ。

私はおとりちゃんとおミヨさんに支度をしてもらう為にクナト様の神社へ向かう準備をしていた。

 タケミ様が復活してから、タケミ様の屋敷へ自由に出入りが出来るようになったので、ヒカリやイナビに付いてきてもらわなくても良くなったんだよね。皆をそっと寝かせておく事にした。


(タケミ様、皆。あとでね)


 コソッと呟いてタケミ様の屋敷を後にした。


 今までだったら徒歩で・・・だったけど、もうクナト様の神社までひとっ飛びであっという間だもんね。らっくちーん♪


 裏神栖村はこんな朝早くからでも既にお祭りムードが漂っており活気で溢れかえっていた。

 わぁ、出店も沢山出ていて楽しそうね!神社から見下ろした村の様子に心がウキウキする。


「おはようございまーす」

「おはよう。今日はいい1日にしましょうね」

「うん」


 おとりちゃんと、私が寝泊まりしていた部屋へ向かうとおミヨさんが既にスタンバっていた。


「いぶき様おはようございます。ささ、お化粧して、花嫁衣装着ましょうね」


 白無垢と角隠しが用意されていた。私、ウェディングドレスを着てみたかったなぁ・・・ってのは我儘だよね。せっかく用意してくれたんだもの、感謝しなくちゃ。


 支度にかかる事2時間ほど。結構重いんだね、角隠し。首が・・・。


「いぶき様キレイだねぇ〜。タケミ様の支度も終わったよ」


 おミヨさんが私を褒めてくれた。へへ、なんか恥ずかしいな。タケミ様いつの間に来て支度してたんだろ。支度終わったのかぁ。いよいよ、だね。凄く緊張するよ〜!


「いぶき、支度出来たか?・・・・・・っ!!」

「タケミ様!・・・・・・っ!!」


 お互いがお互いの結婚衣装姿を見て、見惚れてしまった。黒い紋付袴で現れたタケミ様はすっっっごい格好いいです。


「うっわ!いぶきめちゃくちゃいい女じゃねぇか!このまま連れ去りてぇ・・・」

「タケミ様ったら!」


 抱きついてこようとしたタケミ様を両手でガードしたら、タケミ様は心底残念そうな顔をした。


「式が終わるまではダメです!」

「・・・おぅ。終わったらいいんだよな?」

「もう!!」

「はいはい、そろそろ神前式始まるから、タケミ様といぶきは神社の外に出ててもらえるかしら?」

「?」

「花嫁行列するのよ」

「花嫁・・・行列?」

「そうよ。クナトは神主やるから私がいぶきの親族として参加するわね」

「おとりちゃん・・・」


 私達は外に出て、右側にタケミ様、左側に私という位置で列を作った。

もちろん私達に親族なんていないので、タケミ様と私の後ろには人間に化けられる狢達が並んでいる。

私の後ろにおとりちゃん。おとりちゃんの後ろにヒカリとイナビが並んでいるのを見てこんな時までタケミ様より私優先なんだって思って思わず苦笑してしまった。


「・・・この度は誠におめでとうございます」


 と、私達の前に現れたのはまさかのクレナイだった。


「お前まさか邪魔しに来たんじゃねぇだろうな?」

「ちっ違います。ワタクシは大天狗様に言われて今日の巫女を務めさせて頂く事になったんですわ・・・」


 クレナイが不服そうに呟いた。


「その通りじゃ。タケミ殿、いぶき殿。先日は誠に失礼仕った。クレナイの屋敷が燃えた原因を問い質してみた所、お二人には多大な迷惑を掛けてしまった様で。本日はお二人の為に天狗一族総出で誠心誠意、式を盛り上げてご覧にみせましょうぞ」

「わっ!」


 後ろを振り向くと神社よりも大きな鼻の長いおじいさんが居た。氣吹戸主との融合で、全てを思い出していたとは言え、大天狗様に会ったのは久々の事なので思わずうわって言ってしまった・・・。


「大天狗様、ご無沙汰をしておりました。いぶき戻ってまいりましたのでこれからも宜しくお願いします」

「まぁまぁ、昔の様にじぃと呼んで下され。さぁ、クレナイ、ご案内を」


 クレナイはコクリと頷き、私達を先導して歩き始めました。


「それでは、本殿へ参ります」


 笛の音色や和楽器の音が聞こえてきました。なんか、緊張して背筋がピンとなったよ。

 本殿に入ると赤い天狗のお面を被った方達が楽器を演奏しています。先程大天狗様が言ってた様に、式を盛り上げる協力してくださってるんだね。


 神主の格好をしたクナト様が後から入ってきて私達の前に来ました。

 なんか・・・神様が神主をやるとかシュール過ぎるよね(笑)


 クナト様が何やら呪文のような言葉を唱えました。

 そして、3つの盃に入ったお水を飲みました。これって本当ならお酒なんだよね?おとりちゃんが気を使ってくれたのかしら。


 夫婦になる為の誓いの言葉を交して、部屋に入った時と同じ様に、部屋から退出して私達の結婚式は滞りなく終了したのだった。

 神社の外へ出ると村人達がこぞって私達を迎えてくれました。


「タケミ様、いぶき様!おめでとうございます」

「いぶき様素敵!」

「タケミ様格好いいぃ〜」

「おめでとうございます」


 皆さん口々にお祝いの言葉をくれました。


「おぅ、ありがとなっ」

「皆さん、ありがとうございます。これからも宜しくお願いします」


 私達は皆さんに向かって深くお辞儀をしました。

 私はこの良き日を絶対に忘れたりなんかしないと心に誓った。

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