タケミ様覚醒!?
クナト様の神社に戻って来た私。あの後おミヨさんが私の惨状を見て何着も着物を譲ってくれた。図々しいし、申し訳なさすぎて後でおミヨさんの家の手伝いでもしようと思った。あ、料理は出来ないけど。
着替える前にお風呂に入る事になった私。私はタケミ様に問いかけた。
「タケミ様、お風呂はどうなさいますか?このまま一緒に入りますか?」
タケミ様のイメージ映像は見たけど、実際には蛇の姿のタケミ様しか見た事が無いため、タケミ様と蛇が同じものだという実感が無い為、この時の私には蛇と一緒にお風呂に入る事に別段抵抗などは無かった。
タケミ様は私を見た後にシュルッと床に降りて、お風呂場に向かって這い出した。あ、お風呂入るのかな?
私も着替えを持ってタケミ様に続いてお風呂場に向かった。
チャポーーーーン
タケミ様をお湯を入れた桶の中に入れ、浴槽に浮かべた。私も浴槽に浸かる。
「タケミ様、大変でしたね。でも、動ける様になってよかったです」
タケミ様は私を見て舌をチロチロしている。こうして間近で蛇を見た事なんて無かったけど、なんか可愛らしく思えてきた。
「ふーっ・・・気持ちいいなぁ」
まだ明るい内からのお風呂はなぜか特別な気分になる。
タケミ様と一緒だというのに、まだ氣吹戸主の記憶は戻らない。
「・・・ごめんなさい。まだ、氣吹戸主の記憶が戻らないんです」
思い出したいのに思い出せない。でも、タケミ様の穢れを祓ったのは間違いなく氣吹戸主だった。
私は本当に氣吹戸主なの・・・?ずっと違和感があった。最初から氣吹戸主に対して客観的にしか思えないのだ。
周りが私を氣吹戸主と呼ぶから私もそう信じ込んでいるだけではないのか。
この身体が本当に氣吹戸主のものだったとして、私の魂が入っているから氣吹戸主が出てこれないのではないか?
私はお邪魔虫なのではないか?私が消えれば氣吹戸主が出てくるのではないか?そうならば、どうすればいいんだろう。どうやったらこの身体から出ていけるのだろう。
タケミ様が桶から身体を伸ばして、私のほっぺたをチロチロ舐めた。
私はいつの間にか泣いていたらしく、私の涙を舐めてくれたのだ。
「もうっ!恥ずかしいですよ。タケミ様は相変わらずですね・・・あっ!」
不意に出てきた言葉に驚いた。不意にだが、確かに私が言った言葉だったからだ。
相変わらずという言葉は、以前のタケミ様を知らなければ出て来ない言葉だ。
もしかしたら桜吹雪の映像でタケミ様が氣吹戸主のほっぺたを舐めたのを見たせいかもしれないけど。
せっかくタケミ様が励ましてくれてるんだし、私一人で考えていても答えは出ないよね。お風呂から上がったらおとりちゃんに相談してみようかな。よし、そうと決まればもう上がろう!
私はタケミ様の桶を持ち、ザバッと浴槽から上がった。しかし、浴槽の中で色々考えてたせいかのぼせてしまったらしい。意識が朦朧として足元がふらつき、身体がグラっと倒れた。
私は咄嗟にタケミ様を守るべく桶をギュッと抱きしめ、衝撃に備えて身体を固くして目を瞑った。
衝撃はあったけど、痛みは無く、怪我をしなくて良かったと思ったその時、ガッシリとした腕に抱きすくめられていた事に気付いた。
え?え?え?
「阿呆。気を付けろ。全くお前こそ相変わらずじゃねぇか」
のぼせていてうまく身体が動かせないけど、どうにか顔を動かして振り向くと、私を後ろから受け止めてくれたのは桜吹雪の記憶の男性だった。
「た、た、た、タケミ様っ!!?」
「・・・ようやく」
「タケミ様、私、お、重たいですからっ!!おろしてくださ・・・い」
「ようやくお前をこの腕に抱く事が出来たのに離すものか」
タケミ様の私を抱いた腕の力が強くなる。タケミ様・・・。でも、私心臓がギュンギュンしてドキドキが止まらなくて死んじゃいそうです!!
だってタケミ様もハダカなんですよ!!ハダカで抱きあっ・・・・・・・・・いやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!
「た、タケミ様!お願いですから、は、離れてくださいっ!恥ずかしすぎてどうにかなってしまいます!」
「いぶき。こっちを見ろ」
タケミ様がそう言って、私を床に寝かせるとその上に覆い被さってきた。
っギャーーーーース!!近い近い近い!!ハダカのイケメンが至近距離で私を見てる!いやもう、ハダカの事しか頭に無くなってるよね。
「どれ程この時を待ち望んだか・・・いぶき」
うわぁぁぁぁ!至近距離のイケメンの顔が更に近づいてくるよぅ!私は思わず目を瞑ってしまった。




