ずっと一緒に居ます
「タケミ様?」
私は腕に巻き付いたタケミ様を眺める。タケミ様の黒いボディは先程より艶が出た様に感じる。もう、タケミ様を覆っていた黒いもやもやは無い。穢れが祓われたのかな?
「すっごぉーいですわ!」
「さすがいぶき様!」
ヒカリとイナビが口々に私を褒める。が、私は何にもしていない。勝手にというか、えぇと、“私の意志ではない”が正しいかな。
「ささ、とりあえずタケミ様ごと池から上がってください」
今度はヒカリが差し出した手を握り、私は池から上がった。
「・・・いぶき様素敵です!」
イナビがなんだか私を見てポーッとなっている。どうしたのだろうか?私は自分の見える範囲で、おかしな所が無いか確認する。おミヨさんから頂いた着物がピタッとくっついてる以外何もおかしな所は無い。・・・ん?着物がピタッと??着物が張り付いてボディラインがハッキリ分かるようになっちゃってるじゃんか!!
「うわぁぁぁ!?」
私は両腕を胸の前でクロスさせて、ガードの体制に入った。なんで、イナビはこんなにエロいのか・・・!見た目は子どもの癖に・・・。
「ゴクリ、いぶき様・・・ハァハァ・・・・・・ギャース!!!」
生唾を飲み込み、私ににじり寄り、触ろうとしたイナビの手にタケミ様が噛み付いた。噛みつかれたイナビは叫び声をあげた。
そんなやりとりをしていると向こうからクナト様とおとりちゃんが走って来るのが見えた。
「いぶき!さっきの竜巻は君の力だよね?あっ、タケミの穢れが無くなってるじゃないか!」
「あぁっ!!またビショビショじゃない!アナタって本当に水浴びが好きねぇ」
タケミ様はイナビに噛み付いた後に再び私の腕に巻き付いた。その様子を見てクナト様が
「とりあえずタケミはいぶきと一緒に静養するのがいいね」
と言った。あ、でもでもタケミ様の屋敷で静養は嫌だなぁ。
「私はいぶきと一緒じゃなきゃ嫌よ。家で静養してもらいましょうよ」
「小娘!何を言う!いぶき様はタケミ様の屋敷に来るのが当然であろう!」
「そうですわ!いぶき様は私達のいぶき様なんですからね!!」
おとりちゃんとイナビとヒカリが言い争っている。なんというか、この子達はタケミ様の遣いなんだよね?私の事しか言ってない。タケミ様、蛇のままだけど心配じゃないのかな?
「私、おとりちゃんとクナト様のとこに居たい・・・んだけど」
と言った瞬間タケミ様がギュッと私の腕を締め付けた。痛っ!!
私はもう片方の手でタケミ様を撫でてにこっと微笑んだ。
「大丈夫ですから。私はずっとタケミ様と一緒に居ます。タケミ様を元に戻すにはクナト様とおとりちゃんの協力が必要です」
タケミ様は私の顔を見て、スッと巻き付く力を緩めてくれた。
「えぇー・・・いぶき様ぁ」
「ごめんね。でも、何かあったら報告するから」
「・・・わかりましたわ。イナビ帰りますわよ」
「ぶー!ぶー!!」
「・・・(ボソッ)毎日会いに来ればいいのですから」
最後に不審なセリフを呟いてヒカリがイナビを連れて屋敷へと帰って行った。
「なんなのよ!アイツラは!!」
おとりちゃんが地団駄を踏み、怒りを露わにしている。そんなおとりちゃんを宥めるクナト様。
氣吹戸主、これからはタケミ様とずっと一緒に居られるよ。早く出ておいで。私は桜の散る風景での氣吹戸主の幸せそうな顔を思い出していた。
「さて、家に帰って作戦会議でも・・・と思ったが今日は疲れたね。いぶきも濡れたままだしおミヨの家に寄って帰ろうか」
「そうね!頂いてばかりで悪いから、私はおミヨさんの好きな栗きんとん作るわ」
「・・・クナト様、おとりちゃん。どうもありがとう」
二人の優しさに涙が出そうになった。この二人が居なかったら私はどうなっていたのだろう。私は心を込めて感謝の気持ちを伝えた。クナト様がしでかしてしまった事は大変な事だけど、タケミ様、人型になったり話せたりは出来ないみたいだけど、動ける様にはなったし、こちらが言う事は分かるみたいだからやり直せるよ、きっと。
なんてすっかり開き直って楽観的になってしまった私であった。




