全ての始まり
この世界は二人の魔王に脅かされている。
一人は自ら村や町を消滅させ
もう一人はモンスターを生み出し、人間を襲わせていた。
その魔王の力は強大で今まで数多くの勇者が討伐に行ったが、誰一人としてその成果を上げることができなかった。
そして今、また魔王に挑む勇者がいた。
「魔王よ、お前らが奪ってきたたくさんの人の命は計り知れない。その罪を今、死んで償うがいい!」
勇者は魔王に対し、剣を向けそう言った。
しかし、それと裏腹に魔王はヘラヘラと笑いながら、勇者に告げる。
–––––無理だ。と。
「そんなもの、やってみないとわからないだろう。私はこの聖剣でお前を倒してやる!」
勇者は目にも止まらぬ速さで魔王に斬りかかった。しかし、魔王には当たらない。何度も何度も斬りかかっても、魔王には当たらない。
「何故だ!何故当たらないのだ!」
「その聖剣は〜特別な力を秘めているから〜期待してたんだけど〜やっぱり〜。」
–––––君、ツマラナイヨ。
次の瞬間、勇者の足が、二本ともなくなっていた。
「ぐあーーーっ!」
悲鳴を上げ勇者は崩れ落ち、必死にもがく。
魔王はそれをみてゲラゲラと笑いだす。
「多分…このままだと死ぬな。せ、せめてこの剣だけでも…。」
勇者は自らの剣を地に突き刺した。そして、
–––––転送‼︎
地に突き刺した剣が光り始め、そして消えた。
「君〜、何をしたの〜?」
「なーに、お前の討伐を次の世代に任せただれけさ。次の世代にな。」
「ほ〜う、それは〜期待して〜良さそうだなぁ。まぁ〜次の世代の奴が〜剣の〜秘密に〜気づけたらですけど〜。」
魔王楽しげにそう言った。
「さ〜て、こっちも片付けちゃお〜?な〜んだ、もう死んでた♪」
勇者はもう、息をしていなかった。
しかし、その顔はとても満足気だった。
一人の男が命を落とした時、新たな命がその小さな体で大きな産声を上げた。