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妹と旅する曰く付き異世界  作者: 智慧じゃこ
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最初の街


馬車に乗り山が見える方へ進む事30分程。

途中看板があったので文字を見たら全く読めなかった。言葉が分かったのはなぜだろう、神サービス?だとしたら字も何とかしてほしかったな…まぁあの神様はいろいろ抜けが多そうな神だったししょうがない。

---既存スキル【識字】を1,300Pで会得しますか?---

お、良かった。必要な物なので迷わず会得する。

看板は案内板だったらしく、[北西:亜山(あざん)][北東:パランルーナ]と書いてある。

「おーうーまーの学校は~♪」

あーお馬…じゃなくて亜山…っていうのは山が付くくらいだから山だよな…

「こーやーのー中~♪」

小屋が…小屋?じゃなくてパランルーナが街の名前かな

「そーっと聞き耳立ててごらん~♪」

よし、そーっと北東に行けばいいんだな

「そーっと聞き耳立ててごらん~♪」

よし、馬よ右にそーっとだ!…いや間違えた普通に行ってくれ

「ぶるるんぶるるん聞こえるよ~♪」

くっダメだ…天使の歌声が聞こえてきて俺の頭が上手く回らない。

馬がちゃんとぶるるんぶるるん言ってる所が少し笑えてきた。

これはあの童謡の替え歌かな?平和だ。

馬車が進む速度は速くなく、正直歩くのとスピードは大差ないのだが歩かない分楽ができる。


「この馬車道具屋の馬車っぽい?ポーションとか解毒薬とか入ってるわね」

「おーい、あんまりいじるなよー」

「はーい」


途中からシエラも混じって歌ってたのに飽きたのかその歌声は聞こえなくなっていた。


「日が暮れる前に着きたい所だけど後どのくらい・・・お?」

看板通りに道なりに進んでいき、ちょっとした斜面を登り切った所で街が見える。結構近くまで来てたんだなぁ

「わー綺麗な街ね!」

「むぅ、どんな感じなの?」

馬車を止めてたせいか二人とも後ろで降りていつのまにか前に回り込んで来てたみたいだ。

「そうだな…ドーナッツみたいな形で真ん中が湖になってるよ。山の方から川で繋がってるみたいだ。さっき看板の分かれ道の所に亜山とか書いてあったからそこから来てるのかもね。」

「なるほどなるほど…お兄ちゃんのせいでドーナッツ食べたくなってきた」

「ドーナッツ?なにそれ」

「輪っかになっててね、真ん中が穴空いてるお菓子なんだけど、甘いサクサクにチョコがかかったものとか、ふわさくにクリームが挟んであったりとか、もっちもちの甘いのとかいろんな種類あるんだよ!」

「お、美味しそうな感じは伝わってくるけど、ちょこ?とかくりーむ?とか食べたことない…」

「ははっ。今度作ってあげるよ。」

「「いやったー!」」


クリームにチョコか…この世界にもちゃんとあるのかな?

こっちの食材とか見るの楽しみだ。


街が見えてから緩い斜面をずっと下る事30分。

ようやく門に近づいて来た。

近づくと結構大きい街だということが分かる。

一見門じゃない場所からも簡単に入れそうだが、街の周りに魔力の薄い膜が張ってあるのが見えるので結界みたいな物が張ってあるのかな?

門では検問されるみたいで1人商人っぽい恰好のぽっちゃり男性が兵士となにやらモメてるみたいだ。


「ですから、盗賊に襲われて馬車事なにもかも盗まれてしまってですね…」

「申し訳ないが身分を証明出来るものがないのであれば入れる事は出来ない。これは決まりだ」


身分証明?通行証?まじか!そんなの持ってないぞ…


「ですがこのままですと私は野垂れ死にしてしまいます…通行証がいらない田舎の街なんて遠くてたどり着く前に死んでしまいますよ、どうかお見逃し頂けないでしょうか。」

「ダメだ!ほら、次が待ってるからどいてくれ」

「くぅ…そんな…」


肩をガックリ落とし商人がその場を離れる為かこちらに一歩歩き、俺と目があう。

目線はそこから馬車に移り…


「そ、その馬車は!?」

「ええと、これは盗賊が持っていまして…戦利品として頂戴してきたんですよね。」

「お若いのにあの人数を…お強い…そうでしたか。」


人数ってまだ何も言ってないのに。ビンゴかな?


「すいません、先ほどの兵士さんとの会話を聞いてしまったのですが、もしかしたらこれは貴方の馬車では?」

「あ…はい…そうです、その馬車についてるエンブレム間違いありません。私の商人ギルド『トゥファーレ』の物です。いやいや良かった。盗賊なんぞに使われるくらいなら君みたいな優しそうな人達の手にあったほうがまだいい。…そこで相談なんですが…もしよろしければ私の身分証が椅子の右側の切れ目に隠してあるんですが、それだけ頂けたらと…もちろんお礼は致します。」


この人ものすごい腰の低い人だな。こんな若造に対して敬語なんていいのに。

エンブレムってこの金色の蝶々みたいなマークのやつか。


「いえ、馬車事全てお返し致しますよ。その為にここまで持ってきたので。」

「はい…?そんな、本当ですか!?」

「え、まぁ…当然ですよ。」

「…いやいや、いけませんぞ。盗賊から奪った物はその人に所有権がある。それは君のだよ」

「いえ、いいんです。全てお返しするかわりにお願いしたいことがあるので」

「…それは本当に助かります、ありがとうございます。私に出来る事ならなんでも言って下され」

「はい、実は…身分証も紹介状も無くてですね、中に入れないのでどうにかならないかと…」

「一体どうし…いえ、分かりました。色々あるんでしょう。私の商会はこれでも金星なので、紹介状なら書けます。ただ商会への紹介状になるので商人ギルドへの登録することになってしまいますが…」


金星?というのは良くわからないが金というくらいだから有名な商会なのだろうか?まあ紹介状書いてくれるならありがたいが…ギルドか。


「商人ギルドですか、入ったら何かノルマとかあるのでしょうか?」

「そうですね、詳しくはギルドで教えてくれると思いますがそれ程面倒ではありません。1季に1度税を払うだけですね。ランクが低い程高いので最初は苦労するかもしれません。最初は1季中に金貨1枚払ってもらうことになりますよ。」


馬車で移動中にシエラに聞いた話だと

銭貨・銅貨・銀貨・金貨・白金貨の順に高い金額となっており

銭貨100=銅貨1枚

銅貨100=銀貨1枚

銀貨100=金貨1枚

金貨100=白金貨1枚となっている。

因みに大銭貨・大銅貨・大銀貨・大金貨というのもあり、1枚で大銭貨なら銭貨10枚分となるらしい。

つまり銭貨1枚が1円と考えると銅貨が100円銀貨が1万円金貨が100万円白金貨が1億円。


1季で100万円か。

因みに1季は100日ある。季節は日本と同じで春夏秋冬があり、きっちり全部100日ずつだという。

現在は春季の13日だそうだ。


「なるほど…因みに払えなかった場合はどうなるんですか?」

「その場合は商人ギルドから追い出され2年間は再加入できなくなりますね。身分証明書の為落ちた人は冒険家ギルドに加入する人が多いです。銅の維持なら野草摘みのクエストとか簡単なのを1季に1度すればいいだけですからね」

「冒険家ギルドには紹介はいらないんですかね?」

「そうですね、街に入れさえすれば冒険家ギルドはいつでも人手不足なので簡単に加入できます」


ふむふむ…妹が一緒に居る今あまり危険な事はしたくないしひとまず商人ギルドで頑張るしかないな。


「はい、書けました。これを見せれば入れてくれるはずです。」

「ありがとうございます、1季中頑張ってみます。」

「頑張って下さい、では私は先に入りますね。何かあれば中央湖沿いの南側に私の店があるので寄ってください。因みに商人ギルドは湖を挟んで丁度反対側にありますからね。それでは本当にありがとうございました。」

「いえ、こちらこそ」


二人でへこへこお辞儀をしあう。

馬車持ってきておいて良かった…。

やっと街に入れるな


「身分証か紹介状があるなら見せてみろ」


兵士さんがそういうので書き立てほやほやの紹介状を見せる。


「ふむ…紹介状は問題ないな。」

「紹介状は…?」


なんだろう、まだなにかあるのか?


「そこの子はなんだ?エルフ…とも違うか、まさかエド族か?」

「そうですね」


ああ、シエラが俯いてしまった。堂々としてていいのに。



「君の奴隷かね…?」

「い―「はい、そうです。ご主人様に御遣いしている奴隷でございます。」」

いいえ…と言おうとした所でシエラが遮る。

「ふむ…それにしては奴隷の首輪が無いようだが?」

「森でご主人様に拾われましてまだ未登録なんです」

「そうか、街へ行ったら早急に手続きするように。俺は面倒だから特に報告とかしないが奴隷じゃないエド族が居たら何されるか分からんぞ」

「ご配慮ありがとうございます。では、これで」

・・・

「良かったのか?シエラ」

「うん、気にしないで!人族じゃない且混同種族(ハーフ)だもの。どういう目で見られるかは分かっているわ。それに…だ、だだ大事な人からの扱いが変わるわけじゃないし、いつも通りよ。」

「ふふ、シエラー大事な人ってわたし?ハッもしかしてお兄ちゃん」

「ふ、二人ともよ!からかわないでよーもう…」


シエラいい子やぁ…

さて、やっと街だ。

入ってすぐ左に宿がある。2階建てになっており1階は馬小屋みたくなっていて馬がかなり並んでいる。馬がぎりぎり1頭入れるくらいで柵で区切られていて、馬はストレスが溜まりそうだ。

前を見ると道の脇にズラーっと商人が店を開いていて、奥には湖が見える。並んでいる店だが、一つ一つ簡易な建物っぽくなってると思ったらこれは全部馬車の荷台の部分らしい。

露店がすぐ出せる創りになってるのか…便利そうだな。

お金が一銭もないので冷やかししか出来ないが露店を見て回る。結構人通りが多くて危険なので、結衣は俺の後ろで服を掴みながら付いてきている。シエラはその中間の横に居る。

知らない形の果物かも野菜かも分からないもんがいっぱい並んでいるな…一体どんな味なんだろう。

…やはりお金は必要だよなぁ

露店通りを抜けると透明な水で満たされた湖に出る。


「すごいな…こんな透き通ってるのか」

「綺麗ね…」


あ、結衣の頬が膨らんでる。ごめんて、目が視えるようになったらまた来よう。


「君たちゃここは初めてかい?」


散歩中?のおじいさんが話しかけてきた。


「はい、今さっき初めて来ましたが綺麗な湖ですね」

「そうじゃろそうじゃろ、君たちは運がいいね。毎年春季の15日は月がこの街の真上に来てな、湖が月の光を反射してこの場所からだけ見る月が青く見えるんじゃ。どうなってるのかはよく知らんがの!っほっほっほ」


15日ってことは明後日か。

おじいさんは笑いながら去っていってしまった。

と思ったら近くに居た初めて来たっぽそうな観光客にまた話しかけてる。

この街が好きなおじいさんなんだろうな

…月が青くなるか、ブルームーンって地球にもあったよな。地球では満月が月に2回くる事もそう言ったような気がするけどまぁそれはどうでもいいか。

とにかく商人ギルドにまず行こう。


ぐるっと湖沿いを歩き、商人ギルドへ到着する。商人ギルドという看板が立っていたし扉の上に袋にお金が注がれているマークがあるのですぐ分かった。

中は人はそんなに多くなく、角で頭を抱えてる人や商人同士で情報交換…ではなくあれは腹の探り合いか?をしていたり。受付には誰も並んでいなかったので早速紹介状を見せて登録してもらう。


「では拝見させて頂きます…ギルド『トゥファーレ』のトーリー様の紹介ですね。確かに確認させて頂きました。では登録するにあたって注意事項や説明をさせて頂きますね。」


あの人の名前トーリーっていうのか、そういえば名前聞いてなかった。

トーリーさんの言ったとーりー…言った通り、1季で金貨を1枚納めないといけないという事の他に許可なしに販売してはいけないリストや完全に取り扱い禁止の物も説明してもらった。武器や防具はちゃんとした【武器屋】でしか販売しちゃいけないらしい。物にギルドのエンブレムがついてる奴はそのギルドのみでしか販売してはいけないという物というのも。転売を防ぐ為かな?

ギルドのランクは

(カッパー)・ 銀 (シルバー)(ゴールド) 白金 (プラチナ)とランクが上がって行き、 白金 (プラチナ)は年間売り上げが1白金貨以上を維持することとオリジナル商品を作り特許を10個取る必要があるらしい。(シルバー)は税を払えるレベルになってれば普通になれるらしいが、ライバルを増やさない為に(みならい)狩りをする商人が結構いるらしい。同じものを近くで安く売ったりこっそりいたずらしたりと…嫌がらせか。紹介で頭を抱えている問題の一つだそうだ。(ゴールド)は特許3つと年間売り上げ大金貨3枚以上だそうだ。


「それでは最後にギルド名とエンブレムのデザインをどうするかお決め下さい。」

「あ、商会に登録するという事はギルドを設立するということなのか…」

「そうですね。でも深く考えず、ただ店の名前を決めるだけだと思って頂ければと思います」

「なるほど、店の名前か…」


どうしよ、何も考えてないぞ?


「とりあえずエンブレムは結衣(てんし)の顔にして下さい」

「え?お、お兄ちゃん?なんか今私のほう向いて喋ってなかった?ねえ!冗談だよね!?」

「て、てんし…?申し訳ありませんが、人物をエンブレムにすることは出来ません。昔自分の顔をエンブレムにする事が流行ったことがあったのですが、一々商品に顔がついてて気持悪いとクレームが入りまして…」


よ、良かったぁ…と結衣がホッとしてる

ま、まぁ確かにおっさんどもの顔が防具とかにくっついてたら気持ち悪いよな…でも結衣の顔なら皆喜ぶと思う。


「そうですか…んー…人気のマークとかあるんです?」

「そうですね…人気といいますか、昔 白金 (プラチナ)ランクのギルド『フリューゲル』が羽のマークを使っていまして、商人の中では恐れ多く使ってる人はいないんですよね。」

「よし、じゃ羽で」

「怖気ませんね…分かりました。ではそのようにお作り致しますね」

「後は名前か…」


名前…名前ねぇ


「3人の羽で三羽(みつば)とかでいいかね?」

「いーとおもーう!」

「え、3人ってあたしも入ってるの?兄妹での名前にしたら?双羽(ふたば)とか」

「それじゃシエラが仲間外れになってるみたいだなぁ…それに双羽だと虫みたいじゃない?」

「んーどうするか…羽のエンブレムだし羽は付けたいよなぁ…羽じゃなくて翼とかにするか…?苺の翼とか…」

「苺の頭についてるあのフサフサで飛ぶのかな?」

「ヘタでか…苺の翼…駄目だな」

「もう…なんでエンブレム羽にしたの。名前決めてからでも良かったじゃない…」


すいません、ノリです。おっしゃる通りです。だけどもう撤回しにくい

うーむいい案が浮かばない…


「お客様。ギルド名は後程申請して頂いても構いませんよ。ひと先ずはエンブレムだけ作成致します。今は待ちがないので2時間ほどで作れますので時間になったらまたお越しください。」

「あ、分かりました、では宜しくお願いいたします。」


まいったなー名前考えるのあんまり得意じゃないんだよな。

あ。


「すいません、ここって魔物のコアの買い取りはやってますか?」

「商人ギルドではコアの買い取りはしてないですね。コアや魔物の素材は冒険家ギルドへお願いいたします。」

「あ、分かりました。ありがとうございます」


ふう…結局冒険家ギルドへは行かないと駄目か。手持ち0じゃ宿にも泊まれないしあの猪のコア売れたら売ってしまおうっと。


受付の子に冒険家ギルドの場所を聞き、向かう。




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