街へ向かう途中
エド族が住む洞窟を出て森を抜ける為に蒼汰達は歩いている。
さて…既に存在するスキルなら思い浮かべれば必要ポイントと取る取らないを選べばいいだけみたいなので、さっき鑑定で見たスキルで必要そうなのを取り合えずとってみる。
【身体強化】……2000P
【風の加護】……6000P
【疾走】……7000P
【落とし穴】……1000P
【大地裂傷】……6000P
【風魔乱舞】……5000P
【風圧爆散】……3000P
結構とってしまった。【風の加護】と【魔力装衣】は併用出来ないみたいなので取らなかった。必要だと思った時とろう
落とし穴は便利そうだ。便利そうなんだけど…全てがレベルⅩってちょっと使いにくいよね…。レベルⅩの落とし穴っていったいどれぐらいの大きさなのかさっぱりだ。試しに使うのも怖い。
そうなるとやっぱり魔法レベルを落として使うスキルが欲しい所だ。
…ん?いやまてよ。もしかしたら【魔力操作】を組み合わせれば出来るかもしれない。後で実験してみよう。
後はそうだな…【槍術】があるなら【剣術】もあるかな?
---既存スキル【剣術】を1,000Pで会得しますか?---
お、あったあった。やっぱり剣だよね。個人的に弓も好きなんだよなぁ
---既存スキル【弓術】を1,000Pで会得しますか?---
…1,000Pだしいいよな!きっと役に立つはずだ、うん。
【創造】で普通そうな弓と普通そうな刀を【次元鞄】の中に創造しておく。普通の刀と弓だがそれぞれ2,000Pした。
あ、でも刀は腰にぶら下げておいたほうがいいか?
そう思い【次元鞄】から刀を取り出す。
「あれ、ソウタって魔法使いかと思ってたけど、剣も使うんだね?」
「ん、あーまあね」
「ふーん…随分と細い剣だね。簡単に折れちゃいそう。」
この世界のカタナはもっと太いのだろうか?エド族の皆は槍だったし日本のカタナをイメージして創ったが…大丈夫かな?
「戦う道具を創ったの?いまいちピンとこないですな~私もお話し混ぜてー」
「おーごめんごめん、カタナっていうのは…んー…野菜とかを切る包丁が長くなった感じだ」
「包丁…!危ないから気を付けてね!でもお兄ちゃんなら包丁使い慣れてるだろうし大丈夫かな?」
「大丈夫だろう、スキルもあるしな。」
「へー【剣術】あるのね?Ⅱくらい?」
妹と話してるとシエラが割って訪ねてくる。ガインさんでさえ【槍術】がⅢなのに俺がⅡとか言っても普通なのかな?てか【剣術Ⅹ】なんだけど…正直に言ったらまずいか?
「まあ、そのくらい。ところで強い人はスキルレベルどのくらいまで行くんだ?」
「えーっと確かおばあちゃんがⅩが最高って聞いたけど、才能が有ってそのスキルだけを生涯磨き続けた人でもⅧまでぐらいしか行けないんだって」
ま、まじか…危なかった。
んでもこれから一緒に旅する仲間くらいには言っても大丈夫かね?…とりあえず保留。
「シエラは【魔力ブースト】がⅧだから魔法を覚えられれば結構な強さになるな。」
「うん…ちょっとずるしてるみたいだけど実はちょっと楽しみだったりして。」
えへへ…と笑顔だ。
「でもなんでこんなに上がったんだろう?不思議ね。強い人からもらう魔力のおかげ?ソウタが使う魔法のレベルっていったいいくつ…」
やば…と思ったがそこで横槍が入る。
ガサガサッ
「結衣、俺の後ろに。…魔物か?」
結衣を後ろに下げ、音が鳴る茂みを注視すると
『チゲエエエエエエ』
そんな鳴き声?と共に尻尾が尖った蛇が現れる。
「ち、違うのか!?」
『チゲエエエエエエエエ』
「・・・ただの鳴き声ね。デナイアルっていう蛇で尻尾が毒になってて割と厄介なの。」
『チゲエエエエエエエエエエエエ』
うるさ!なんだこいつ…威嚇のつもりだろうか?
「蛇なのに毒はしっぽか…さて」
「ここはあたしに任せて!スキルレベルが上がったし、1年も身体動かしてないから試してみたいの。」
「ああ、分かった、気を付けろよ」
「怪我しないでね!気を付けて!」
「うん、大丈夫よ。」
そういえばシエラは武器も魔法も無いけど…あ、素手みたいだな。
右手を構えて思いっきり地面を蹴り、結構な速さで魔物に迫る。
『チ、チゲ?』
「うわわわっとっとっと、す、すごい速い…」
…魔物を通り過ぎてから右手を振り、当然空振りした。
「よし、もう行ける!セーェイ!」
踵を返しそのまま蛇の頭を殴る。
『チッゲェェェ…』
余りの速さに気を取られていたのか、チゲエ蛇…じゃなくてデナイアルという魔物は呆気なく倒された。結構形になってるな、これに魔法を組み合わせたらかなり強くなりそうだ。魔法剣士ならぬ魔法拳士か?
シエラはその倒した魔物にナイフを差し込み何かしている。
ってナイフあったのね。武器ではないのか
「とれたとれた。はい、コアよ。」
「コア…ってあれか。これは大分小さいな」
シエラから渡されたのはさっきの蛇と同じ緑色のビー玉ぐらいの玉だった。
「アレと一緒にしないでよ…魔物には必ずコアがあるから、取っておくとギルドでお金に換えてくれるみたい。コアは頭か体の中心にあることが多いいよ。」
「ほーそうなのか…」
ん?お金?
そういえば俺達この世界のお金なんて持ってないな…。
「お金…か。少し魔物を倒して稼いでおかないとまずいな」
「あら?砂糖をあんなに大盤振る舞いしてたからお金には困ってないかと思ってた。」
砂糖か、売れば多少お金になるか?最悪そうしよう。
「手持ちのお金事態は無いけど何か持ってる物売れば割と何とか大丈夫そうだな、無理に魔物は探さず出会ったら倒すってことで」
「わかった、そうしましょ。」
さて、とっとと森を抜けてしまおうか。
「ひもじいのお」
「ひもじいなあ」
結衣も結構余裕だな。
このまま何もなく楽しい旅をしたい所だ。
そういえば
「そういえばシエラ外ではツインテールなんだな」
「ツインテール?」
あーツインテールとか言ってるの日本だけか。
「ああいや、ほら髪型」
「サイド結びの事?ツインテール…なんか可愛い言い方ね?今度からそう呼ぼうかな」
「どれどれー?さわさわ」
「あ、もう結衣、髪が乱れちゃうでしょーもー」
「えへへごめんごめん。私のも触る?」
「別にいいわよ…その髪飾り可愛いね。そんな形の見たことない!」
「これはお兄ちゃんからもらった大事な髪飾りなんだ~苺っていうフルーツなの。大好物です!」
「へぇーいちご…食べてみたいなーちらちら」
「そんな都合よく………無いよ。」
ポイントで出せなくはないか。
「その溜めが怪しい!隠し持ってるわね!」
「なぬう!お兄ちゃん白状しなさい!」
「分かった分かった、ちゃんと分けるから。」
こんなことに【創造】使ってたら怒られそうだな。
結構無駄遣いが多い気がしてきた…いやでもこれは妹の為だから無駄じゃないな!
次元鞄に【創造】して(1パック600Pした)取り出す。
「おーこれがイチゴですか。やっぱり初めてみるわね」
「イチゴちゃん!早くお口においでーあーん」
「あーんてちょっと大きめだぞ?」
そう言って俺はヘタの部分を取り妹の口に放り込む。
「おっいい、あわーい!こおいいおはああいあえ!」
(おっきい、あまーい!このいちごは当たりだね!)
「確かに当たりだ、うまいな」
「今の何言ってたか分かるんだ…あ、甘酸っぱくて美味しい」
なんかもう…ピクニック気分だ。
そういえば目が視えないから危ないって理由で中々外で遊ぶ機会は無かったよな、楽しそうだ。
っと気を緩めてて魔物に襲われたらたまらない、平和な世界で生きて来たからな…注意しないと。
そこから森を抜けるまでに何回かチゲエ蛇(鳴き声のせいで名前忘れた)に出会うが上機嫌のシエラが1発KOしてサクサク進み、森を抜けた。俺も魔法試したかったんだが…まぁいいか。
んーと確か山が見えるほうに進めば街に着くんだったな?…おや?
山はあったので行く方向は分かったが、後ろからこっちに向かって馬車を引いた人たちが向かってきている。
一応方向合ってるか聞いてみようかな?
だんだん馬車との距離が短くなってきて…
アレ、こいつらちょっと身なりが…?
「おいおいおい!今日はついてるじゃねえか!商馬車をタダでゲット出来てその上こんなところで可愛いお嬢ちゃん達に会えるなんてなあ?」
「おおう!お頭良かったですな!少女趣味なのになかなか外を出歩く子はいないから嘆いていやしたもんねえ!」
「いやー今夜はいい夢見れそうだぜ」
「1人混じりのエド族が居やすがどうしあす?」
「構わん。体の作りは同じだ、ちょっと耳が尖ってるだけだろ」
「それもそうだなっはっはっは!」
「っつーわけで邪魔な男は消しちゃいやすねー運が悪かったな?ボウズ。」
と、盗賊ダッター
話しを聞いてる限り馬車を拾ったっていうのは元々の馬車の持ち主は盗賊に気付いて一目散に逃げたんじゃないだろうか。数は…20人ほど居る。そりゃ普通逃げ出すわな
「うっ、やだ、鳥肌が…」
「お兄ちゃん…」
「ここは俺がやろう」
妹とシエラに少し下がっててもらう。
鑑定してみるか
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ゴルフリート
年齢:18歳
種族:人族
スキル
【身体強化Ⅲ】【疾走Ⅱ】
【斧術Ⅲ】
┗斧の扱いが上手くなる。
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ふむ…リーダーでこんなもんか。
目新しいスキルはないな
「お?やる気だな?いい度胸だ!女の子を守れるかな?騎士様?」
がっはっはっはと笑っている。
ちょっとむかついてきたな…ちょっと所か妹とシエラを性的な目で見られた時点で最大魔力でぶっ放してやろうかと思ってたけどなんとか思いとどまれたが。
ま、Ⅴくらいなら…いや魔力操作で魔力を半分くらい使って発動すればⅤになるかな程度で撃つから実際はどんなもんかわからないけどね。
俺は右手を前に出して
あー馬車は傷つかないようにしたいなと思いながら魔法名を言う
「【大地裂傷】!!」
そう言った途端自分から扇状に100メートルくらいに渡り大地に亀裂が入り盗賊達は体勢を崩す。
「なにッイッ!?」「アイツ今えいしょブッ」「なんなんダッ」
盗賊達は何かを言い切る前に空高く舞い上がっていた。
【大地裂傷】
┗土魔法。対象の地面にヒビを入れ、そこから岩を突き出す。
岩が突き出してきたのだ、電信柱みたいな細さの石が広範囲に渡りズドドドドドドドと。
やべ、推定Ⅴでこれかよ…
盗賊達が鈍い音を立てて落ちてきたが皆うめき声を発しているのでどうやら生きているようだ。
「す、すごい、ソウタすごい!し、しかも詠唱してない…」
「シエラどうなったの!お兄ちゃんなにしたの?うぐぐ…目が視えない事に何の不満も無かったけど最近視えないことでお兄ちゃんのカッコイイシーンを見逃して損してる気がしてきた…」
電信柱みたいな岩の隙間から運よく当たらなかったボスがガラガラと岩を砕きながら出てくる。
「くそ!お前ら大丈夫か!?やってくれたなボウズ…死ね!!」
そう言いながら盗賊のボスは見た目にそぐわない速さで迫り斧を振りかぶってくるが、正直めちゃくちゃ遅く見える。
危ない!とシエラが一歩前へ踏み込む音がするが、その瞬間蒼汰は自分の刀を抜刀するままの勢いで振り上げ斧を弾き、ギャインという音と共に飛んでいった斧が落ちる前に刀の柄部分で腹を突き気絶させた。
剣の柄に触れるた瞬間あらゆる剣の動きが脳に流れ込んで来て何をどうすればいいか分かる。スキルってすごい…
「ゆ、結衣…ソウタかっこいいよ…」
「シエラずるい!ビデオとっておいて!ビデオ!」
「ビデオって?」
「ただいま、なんの話ししてるんだ?」
「え、い、いや別に…」
「お兄ちゃん!ビデオが欲しいです!シエラに持たせて記録を付けましょう!」
「却下!」
「え、お、お兄ちゃん…そんな…」
へなへなと地面にへたり込み「ヨヨヨ…」と泣き真似をする。どこで覚えた?
「それよりもこの盗賊どうするか」
「普通は近くの街に連れてってどうにかするらしいけど…どうしよ?」
「面倒だから縛って置いておくか。」
痛みで動けなかったり気絶してる者だったりを1か所にまとめ、その際得物を取り上げる事を忘れない。
拘束する魔法は便利そうだしとっておいても損はないだろう。
拘束するイメージをすると
---既存スキル【砂束縛】を1,500Pで会得しますか?---
いえす!では早速。
「【砂束縛】!」
砂の輪が現れ、盗賊達の体の中心にガチン…ではなくべちゃりと張り付きコンクリートみたくガチガチに固まる。
そういえば魔力調整し忘れてた…まぁ拘束が解けにくい分にはいいだろう。
これから歩いて行く道にはいくつもの馬車を引いた後が見られるので定期的に誰か通るのだろう。見つけてくれた人になんとかしてもらおう、うん。
私達は盗賊ですという旗も簡単に創って地面に突き刺しておく。これで盗賊ってわかるだろ
【大地裂傷】を使う時に馬車の事を想ったおかげか、馬車に魔法が当たることはなかった。
「さて…この馬車持っていけば持ち主と会えるだろうか?」
その前に馬車なんて運転?できないぞ
---既存スキル【御者】を1,000Pで会得しますか?---
あ、そういうのもあるのね。
馬車を返せれば元はとれるだろうと思い【御者】を会得する。
「それじゃこの先は馬車で移動しますかね。」
「操縦出来るの?」
「大丈夫、ペーパーのゴールド免許だ!」
「ソウタってたまに良くわからない言葉使うよね…」
「馬車…?乗り物なの?」
「そうだよ、アレだよアレ、ヒヒーンの馬だよ。馬がタイヤが付いた木製の荷台を運ぶ乗り物だよ」
動物の鳴き真似ゲームでよくやる真似の一つなので鳴き声で教えてあげるとすぐ分かってくれる。
「あ、馬か!ヒヒーンって鳴かないね?ぶるる!ぶるる!しか言ってないような」
「まあ…そのうち言うんじゃないかな…?」
結衣を抱えて馬車に乗せる。
操縦席はベンチみたくなっており、3人くらい座れそうである。
荷台の部分には布の屋根付きと割としっかりしてそうなタイプだ。結構荷物がギュウギュウに詰まっているので荷台に乗ってる二人は後ろで足をぶらぶらさせる感じで腰を掛けている。
兄ちゃんの隣…空いてますよ?
「それじゃしゅっぱーつ!」
「しんこー!」
「おー!」
「ヒヒーイイイイン」
「「あ、言った。」」
順番に俺、結衣、シエラ、馬の掛け声と共に動き出す。