表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/45

主役不在の宴

【注意!】

 ここから先の話は、修正する可能性が高いです。

 (ストーリーは変更しません)


 これまでの分の推敲を終えてから書き始める予定でしたが、自らの更新頻度の低さを省みて、急遽、続きを書くことにしました。

 なので、準備が不十分な点もございます。

 それでもよろしい方は、第二章【まやかしの涅槃ニルヴァーナ】をどうぞお楽しみください。

 

 事態の収拾もつかぬまま、夜を迎えた。

 後夜祭の会場はさわがしく、取材に来ていた新聞記者は苛立いらだちをあらわにしている。

 ウィザーズウォーゲームの社長と社員は応対に必死。


 そんな中、周りから閉ざされたかのように静まり返ったテーブルが一つ。

 そこに、暗い面持おももちの花織とごううつむいて座っている。


 しばらくして、そこへじんがやって来た。


「いやあ、お待たせ。長引いてしまってね。敗者インタビューなんて勘弁してほしいよね、ほんと」

「……」

「それで、すぐる君のことだよね? 悪かったと思ってるよ。しょうさんにもこっぴどしかられてね。君は心が読めるのに、人の気持ちは全然理解してないって言われちゃったよ」


 そのおどけたような話し方に、ごうは反感を覚えギロリとにらんだ。


「お前、本当に反省してんのか?」

「ごめんごめん。本当に悪いと思ってるよ。だから僕も考えたさ。おびにすぐる君は連れて帰るから、絶対」


 そう言って花織に視線を向けるも、顔を合わせる気配はない。

 流れる沈黙。重たい空気。

 数秒後……。


「……すぐるさんは、これ以上私に付きまとわれるのが迷惑なんじゃないですか?」


 ようやく返事が返された。

 その声はよどんでおり、静かで、暗く……重々しく……ある種の恐ろしさすら感じる。

 その迫力はくりょくに、思わずごうでさえひるむ程。


 しかし、じんはそれに気圧けおされることなく、間髪かんはつ入れずに否定する。


「違うよ! すぐる君は、きみたちならもう大丈夫だと、そう思ったから離れたんだ。そこにネガティブな意味合いは決してないよ! だから、安心して僕に任せて! ね?」

「……」

「それじゃ、早速だけど僕は彼を追うよ。待っててね」


 そう告げるやいなや、じんは会場を出て行った。

 しばらくして、ごうは立ち上がり、窓際へ行くと……。


たのむぞ。オレじゃどうにもなんねえんだ。絶対連れて帰って来い! あいつじゃなきゃ、ダメなんだよ……」


 そうつぶやいた。




 一方そのころ

 某所にて、不快に笑う声が響いていた。


「楽しみだなあ。どう壊してやろうかな? なあ、アヤメ」

「あなたに任せる。そういうの得意でしょ? キョウ」

「ああ。最高のショーにしてやるよ。まずは……じんをここへまねこう。たった今入ったばっかりの情報によれば、すぐるを探す旅に出たとこらしいからな」


 再度、気色きしょくの悪い笑い声が響く。

 その横で、アヤメと呼ばれた女性は憎悪ぞうおに顔をゆがませており……。


「本当ににくい。絶対に許さない……!」


 そうつぶやき、くちびるみしめた。




 ――数日後。

 招待状を受け取ったじんは、某都道府県の廃墟はいきょを訪れていた。

 広い屋内を探索たんさくし、数分後……。


「やあ、待ってたよ」


 突如とつじょ、上から届いた声。

 見上げると吹き抜けになっており、そこから四名の影がじんを見つめている。

 その中のリーダー格が名刺を取り出し、投げ飛ばす。

 シュルシュルと回転しながら向かってくるそれを、じんは二本の指ではさんでキャッチ。

 そこには……ニルヴァーナ代表者との肩書かたがきと、裏には真っ赤な文字で凶と書かれていた。


「……前に、すぐる君と一緒にいた人だよね?」

「ああ。その通りだ。キョウと呼んでくれ。そしてこいつらが、リクボウアヤメだ」


 そう告げると、後ろの壁をスクリーン代わりにそれぞれのコードネームが表示される。

 映像はさらに切りわり、とある人物がなげき悲しみ、怒り狂う様子を映し出す。

 それを愉快ゆかいそうにながめ、笑うキョウ


「どうだい? 素晴らしいだろう? なんて芸術的なんだろう。この人は知ってるよね? すぐるが壊れた後、一瞬いっしゅんだけ世界一の天才ゲーマーとしてかがやきを見せた、まことだよ。涅槃の境地(ニルヴァーナ)なんてえらそうな肩書かたがきを名乗っちゃってさ。だから、壊したついでにオレがもらってやった」


 堂々とした悪事の自慢じまん

 その横でアヤメ憎悪ぞうおと殺意をつのらせている。

 残りの二人はニヤニヤと笑うだけ。


 そして、一頻ひとしきり笑い終えると……。


「さて、それじゃ本題に入ろうか。実はな、オレたちはすぐるがどこにいるのか知っている」


 そう、話を切り出した。

 その瞬間しゅんかんじんの表情が変わる。


「何っ!? すぐる君に何をする気だ!」

「まあ、落ち着け。オレたちは親切心で会わせてやろうとしてるだけさ。ただし、条件が一つある。今からオレたちとバトルして勝ったら、どこにいるか教えてやるよ。もちろん、ハンデはもらうぜ? 4対1で戦ってもらう。お前はデッキを4つ使え。それと……オレたちはデッキをシャッフルしない」

「何だと!? ふざけているのか? カードゲームは毎ターン何を引くかランダムだから成立しているんだ。それを根底からくつがえすような、そんなルール……」

「嫌ならいいんだぜ? そしたら、オレたちも教えないだけだ。なあに、天才ゲーマー様にはこれくらい余裕よゆうだろう? こっちはド素人しろうとがちょっと引き運がよくなるだけだ。そんなの、何戦かに一回はあるだろう?」


 とんでもない詭弁きべんを平然と口にするキョウ

 顔をしかめるじんへと、さらにおどしをかける。


「いいのかな? すぐるなら自分で見つけられるからいいと、暢気のんきなこと考えてないよな? 何でオレたちが居場所を知ってるのか、よーく考えることだ」


 そうさぶり、苦悶くもんの表情を浮かべるじんを見て愉悦ゆえつひたキョウ

 数秒後……。


「……わかった。その条件で勝てばいいんだね? 乗った。約束は守ってもらうよ」


 真剣な目つきでじんは宣戦布告した。

 それを受け、キョウはこの上なく嫌らしく笑い……。


「ああ。オレが約束を破るような奴に見えるか?」


 心にもないことを、も当然かのように口にした……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ