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優勝の決め手

 すぐるの最後の秘策が今、恐ろしい程ゆっくりと表向きへ反転してゆく。

 あれ程(さわ)がしかった会場が静まり返り、みなの注目は一点に集中する。

 固唾かたずむ観客。

 長く感じる時間。


 そして今、その1枚がすぐるの宣言と共に明かされる!!


「カウンター発動。時空のゆがみ……!」


 ついに判明したカード!

 その効果は、レプリカを対象として打ち消し、次のターンまで使用不可能にするといったもの。

 しかし、打ち消されたカードはリザーヴという効果が付与され、ストックゾーンへと向かう。

 それにより、次のターン以降であれば、いつでも好きな時に魔力を支払わずに発動できる状態となる。


 そのカードを見た瞬間しゅんかんじんは目を見開いた!

 観客たちも、先のバトルで見たコンフュージョンの鮮やかな使い道は記憶に新しく、今度は大勢が瞬時しゅんじに理解。

 と同時に歓声かんせいが湧き起こる!


 そして、すぐるの口から今、宣言がされる!


「対象はオレのアルファ博士。これを次のターンに出せば、オレの優位は動かない……!」


 すぐるの言う通り、じんは1ターンの猶予ゆうよをもらっても意味がない。

 そしてなおかつ、この宣言を打ち消すことも不可能。

 なぜなら、じんの用意していたオネスティでは、光のスペルであるディレイを対象にできないから。


 その後、しばらくターンは続いたが、リソース差はくつがえらず、すぐるの勝利が決まった!

 鳴り止まない歓声かんせい

 負けたじんに対しても、熱戦をねぎらう声が飛びう。


 最高の決勝戦となり、観戦した全ての人々に感動を与えた!

 ……ただ、ごく少数の者を除いて。

 その内の一人、キョウが生放送の画面を見ながら舌打ちした。


「……つまらない。せっかく壊したのに、立ち直っちゃってさ。面白くない。もう一度壊してあげないと!! 君もそう思うだろ? アヤメ?」


 そう言って視線を向けるキョウ。

 すると、鬼の形相が目に映る。


不愉快ふゆかいで仕方がないわ。にくたらしい……!」


 その声と目には、殺意がこもっていた。

 視線の向こうでは、表彰式ひょうしょうしきの準備が行われている……。




 ――しばらくの後、閉会。

 すぐるは花織たちにホテルで先に待つよう指示し、みずからはじんのもとへと向かった。

 そして、じんへと伝言をたのみ、会場を出てゆく。


 じんは言われた通り、ホテルで待つ花織たちのもとへと向かう。

 そして、ロビーでその姿を見つけ……。


「こんにちは、花織ちゃん。それと、ごう君。大会お疲れさま」

「あ、じんさん! 準優勝、おめでとうございます!」


 頭を下げる花織。

 隣でそっぽを向くごう

 対し、じんは苦笑する。

 そして……。


「いやあ、すぐる君にはかなわなかったよ。それで、そのすぐる君からの伝言なんだけど……」


 そう話を切り出した。

 伝言……その単語を聞き、花織は違和感を覚える。

 なぜ、面と向かって言わずに、わざわざそんな形を取るのか。

 妙な胸騒むなさわぎと共に、次の言葉を待つ花織。

 すると、じんはこうげた。


すぐる君は、役目を終えたから旅に出るらしいよ」

「え……」


 花織は耳を疑う。

 そして、抗議すべく立ち上がる。


「そんなのウソです! すぐるさんは、私のお母さんの治療費ちりょうひのために戦ってくれると、そう約束してくれたんです! すぐるさんはウソくような人じゃありません! 絶対に信じません!」


 まくし立てる花織。

 対し、じんは落ち着いたまま続ける。


「もちろん、すぐる君はそんな悪い子じゃないよ。だからね……もうとっくに治療費ちりょうひは払ってあるんだって。お母さん、順調に回復しているそうだよ。ただ、大会が終わるまではそのことを花織ちゃんに話さないよう、言ってあったんだって」

「そんな……! すぐるさん……。すぐるさん!!」


 花織は夢中でけだした。

 あわててごうも追う。

 必死に走る二人。

 すぐるがどちらへ向かったかも知らないのに、無我夢中で……。

 息は切れ、それでも走り続け……しまいには転んでしまい、大粒の涙を流す花織。


 その様子をホテル内から見ていたしょうが、すぐるへと電話をかける。


「……もしもし、すぐる君。今どこ?」

「ああ、悪いな。後夜祭は辞退させてもらう」

「そんな話をしてるんじゃないよ!」


 めずらしく声を荒げるしょう

 その勢いのまま続ける。


「花織ちゃんには? ちゃんと話したの?」

じんに伝言をたのんだ」

「ああ、もう!! 何で引き受けるかなあ、じん君も……!」

「……もういいか? 切って」

「よくない! 何でさ!? 何でこんなことしたの!?」

「オレにたよらなくても、もう大丈夫だと確信したからだ。それじゃ、切る」

「あ! ちょっと……」


 その声はむなしくも届かなかった。

 あまりにもやるせない気持ちから、がらにもなく思いきり壁をたたしょう

 取り残され、降り出した雨に打たれる花織たち。


 すぐるの向かった先は、誰も知らない……。

 第一章、完結です!


【デッキ紹介】

 デッキ名:The Answerアンサー

 タイプ:速攻

 使用者:すぐる


【デッキ内容】

 ソーダ味の魔法石:4枚

 心眼の象徴アズライト:4枚

 ワイズパロット:4枚

 畏怖いふの信仰者:4枚

 幼きエスパー:4枚

 コール:3枚

 カーム:2枚

 コンフュージョン:4枚

 パラダイムシフト:4枚

 ディレイ:4枚

 時空のゆがみ:4枚

 オネスティ:4枚

 シヴァルリー:4枚

 アルファ博士:1枚

 超魔術コンフュージョン・リライト:4枚

 超魔術カウンタースペル・リライト:4枚

 超魔術ファルコン・リバース:1枚

 超魔術インサニティー・リバース:1枚


【解説】

 自分のスタイルを思い出し、完成した理想のデッキ。

 カードをテクニカルに使用し、局面をさばききろう!




 【デッキ紹介】

 デッキ名:インフィニティーループ

 タイプ:長期戦

 使用者:じん


【デッキ内容】

 ソーダ味の魔法石:4枚

 幼きエスパー:4枚

 ワイズパロット:4枚

 アンデッド:4枚

 イモータルベビー:4枚

 サクリファイス:4枚

 エマージェンシー:4枚

 パラダイムシフト:4枚

 ディレイ:4枚

 オネスティ:4枚

 シヴァルリー:4枚

 カーム:4枚

 超魔術カウンタースペル・リライト:4枚

 超魔術ネゲイション・リライト:4枚

 アルファ博士:1枚

 万物創生:1枚

 ノエシスの覚醒かくせい:1枚

 リビングデッド:1枚


【解説】

 じんがずっと温めていたデッキ。

 カードを使い回し、入れえ、無限の可能性を引き出そう!

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