1:始まり
「今日から入学式だっ! またみんなに会える!」
藍崎 日茉梨 15歳 誰にでも優しく、頭がよく、りょうりが得意な女の子
そんな日茉梨は真新しい制服に身を包み、家を出た。
今日は春ケ丘高校の入学式。
日茉梨はこの日をずっと待っていた。
なぜなら、日茉梨は中学生になると同時に急な家族の都合により日茉梨の好きなこの春ケ丘町から引っ越さないと行けなくなってしまったのだ。
すぐに心の整理がつかなかった日茉梨は友達に何も言えずに引っ越してしまった。
「お母さん!お父さん!早く、早く行こーよー!」
「はいはい、わかったわよ」
「日茉梨、元気の出しすぎで入学式早々倒れるんじゃないぞ?」
「大丈夫だよっ!!」
そんな会話をしながら、日茉梨たちは春ケ丘高校の校門をくぐった。
桜の花びらが春のそよ風に吹かれひらひらと宙を舞っている。
「綺麗だなぁ〜」
「そうだな」
ボソッと呟いた言葉に対して言葉が返ってきたので声が聞こえた方向に日茉梨は振り返る。
そこにいたのは、背の高い、優しい表情をしていた男の子だった。
「よっ!日茉梨。俺が誰だかわかるか?」
急に話しかけられ戸惑った日茉梨。
(な、なんで名前知ってるの!? あれ...?)
しかし、その顔には見覚えがあった。
懐かしい雰囲気、懐かしい声、見覚えある顔...もしかして!
「...雪斗?」
「そうだよ、久しぶりだな〜、てっきり忘れ去られてるかと思ったぜ」
「忘れるわけ無いじゃん!幼馴染みなんだから」
雪斗、那久茂 雪斗 は幼稚園の頃からの幼馴染み。
バカだけど運動神経抜群で性格もよく男子からも女子からも人気だった。
「へへっ だよな。 あ、おじさん!おばさん! 久しぶり!」
「あら、雪斗君 久しぶりねぇ〜。見ないうちに大きくなって」
「おぉ!久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「はいっ!お陰様で」
「じゃあ、私達は受付してくるわ。日茉梨またね」
「はーい!」
日茉梨の両親はその場を離れ体育館の方へと向かった。
「日茉梨ん家の両親は相変わらずだな〜」
「あんたもね」
「そういや、日茉梨 前と少し違うような....」
「なっ...//あ、あんまりジロジロみないでよっ!!」
「わ、わりぃ...」
「そりゃ、確かに3年も、しかも中学生の時期なんかいろいろ成長するんだから前と変わるなんて当たり前じゃない。」
「まぁ、そうだな。俺なんか中学3年間で身長20cmは伸びたからな!それに声変わりもしたし」
「そういえば、随分背が伸びたよね!!最初誰だかわからなかったよ」
「俺は一発で日茉梨だってわかったけどな〜」
「えっ...そうなの?」
「あぁ、最初は疑ったけどな。でも、日茉梨にしか見えなくて、近づいた時に日茉梨だって確信したんだよな。」
「その確信したところって?」
「え?ないしょ☆」
「気になるんだけど!教えてよ〜!!」
「まぁまぁ、あっ、そうだ!
あっちにクラス分けの発表の紙が貼られてるんだ!行こうぜ!」
「えっ!あっ...ちょっと!」
雪斗は嬉しそうに日茉梨の手をとり走り出した。
「まさか、おんなじクラスだったとはね。」
日茉梨と雪斗は同じクラス、1-B組だった。
「俺もびっくりしたよ。日茉梨と同じクラスか〜!
楽しくなりそうだぜ!」
「またそんなこと言って。あっ、この教室みたいだね」
日茉梨たちは自分たちのクラスの教室を見つけドアの取っ手に手をかけた。
ガラガラッ!
大きく開かれた教室のドアの音にびっくりして教室で楽しく話していた生徒たちが一斉にこちらを向いた。
「ちょっと雪斗っ!!大げさに開けすぎだよ...」
「あぁ、わりぃわりぃ」
(入学式早々カップルが仲良く登校かよ...) (ちょっと、あの女の子可愛くね?) (あの男子背高いね〜ちょっとタイプかも)
などなど、あちこちでそのような会話が聞こえてきた。
「あれっ?日茉梨?」
そんな中一人の女の子が声をかけてきた。
(誰だろう?聞いたことある声...)
「もしかして...優香!?」
「やっぱり日茉梨だっ!そうだよ!久しぶりだね!」
「そうだね!久しぶり!」
声をかけてきた女の子の名は 愛川 優香。小学生の時からの友達で親友でもある。
日茉梨が転校してしまったときに誰よりも早く連絡をしてくれて、たくさん励ましてくれた。とても友達想いな女の子。
「転校してから一度も会えなくて心配してたんだよ〜。元気にしてた?」
「うん!すっごい元気だったよ!」
「そっか!なら良かったよ〜。
にしても、相変わらず、仲のいい幼馴染み達ですなぁ〜」
優香の一言で教室中がざわめいた。
(幼馴染み!?) (カレカノじゃなかったんだ!) (チャンスできたじゃん!)
「や、やっぱりカレカノだと思われてたんだ.....」
「まぁ、いいじゃねぇか。ちとはえぇけど自己紹介しとくか!」
「えっ!?」
「俺は、那久茂 雪斗!こっちは 俺の超仲いい幼馴染みの 藍崎 日茉梨だっ! みんなよろしくぅ〜!!」
「はぁ〜...私まで巻き込まないでよね...恥ずかしい//」
そんな二人を見ながらクラスの生徒たちは笑っていた。所々から
(よろしく!) (よろしくねぇ〜) などと言う声が聞こえてきた。 まぁ、いっか と呆れた日茉梨は
「よろしくおねがいします」
と、照れくさくお辞儀をした。
「あっ、日茉梨!那久茂君!そろそろ入学式始まるよ!行こ行こ!」
「あぁ、そだな。日茉梨行こうぜ?」
「うん!」
3年間という年月が過ぎてしまい少し変わった町並み。
そんな春ケ丘町での何が起こるかまだ誰にも予測不可能な高校生活が今幕を上げる。




