5年後…
俺は町の役員として働いている、安定した仕事についたし、
彼女と籍も入れた、何より母さんが一番喜んでくれた
いつものように業務をこなしていると、電話が鳴った。病院からだった、
「母さんの容態が良くない、早く来てくれ」
との内容に、俺は上司に事情を話すと、急いで役場を飛び出した
タクシーを呼び、すぐに嫁にも連絡した、
嫁は共働きで勤め先にいるため病院まで時間がかかる
俺が病院につくと、母さんの容態は少し落ち着いたようで、
母さんは血管を複数の管につながれ、酸素マスクをつけて、
ベッドで眠っていた
近付くと、母さんは薄っすらと目を開けた。俺がベッドの側にいくと
マスクに何度も手をやりながら、必死に何か喋ろうとしている
俺は言った、
「母さん! いいから、安静にしてなきゃ」
伝えても止めないので、仕方なく酸素マスクを外し、口元に顔を近づけた
母さんのか細い声が頬を伝い耳に入ってくる
「病気する…のも悪いも……のじゃな…ね……立派にな……て……嫁さんもら…て…よか……た、よ……った、悲しいこと、ばかりじゃない、、なんだよ……母さんは……と、くでみま……もること…にしま……」
そう言って母さんは目を閉じた
「母さん! 母さん!!!」
いくら話しかけても、肩を揺すっても全然反応がない
俺は呼び出しボタンを何度も押した
すぐに、看護師と医者が来て蘇生措置をはじめた、
俺は呆然と見ていることしかできなかった
医者が母の死を告げたとき、俺は現実を受け止められず病院を飛び出した
反射的に感情が溢れてくる、俺は訳がわからず病院の外を何度も回っている
視界が黒からグレーにかすみぼんやりとしている、
その時病院に到着した嫁に抱き留められ、
俺は我に返り、そのまま涙が止まらなかった
その日は午後から大粒の雨だった
数日後、訃報の知らせがこの町に響いた
次くらいで完結です




